2020年、コロナ禍で外出が制限されていたころの話。オンライン講座で先生の質問を聞いていなかった学生が、ごまかすつもりでチャット欄に「実は聞こえてなくて、字幕を読んでます」と打ち込んだ。先生はそれを、耳が聞こえないという意味に受け取った。訂正できないまま、補聴器まで買って演じること3か月近く。やがて受講生が実際に集まる日がやってきて、そこで仲良くなった女の子から、ティッシュに書いた一言を手渡される。
何をやらかした?
📌 コロナ禍の2020年、投稿者は学校とは別のオンライン講座を受けていた。物理の授業中に上の空になり、先生に当てられても答えられない。とっさにチャットで「実は聞こえてなくて、字幕を読んでいる」と送ると、先生に「耳が聞こえないとは知らなかった」と受け取られた。否定できないまま補聴器まで買い、3か月近く、耳の聞こえない生徒を演じ続けた。ところが外出制限が解けて受講生が実際に集まることになり、その場で仲良くなったカーラという女の子から、「私と付き合ってくれない?」と書いたティッシュを渡されてしまう。
事の発端
コロナ禍に始めたオンライン講座
3か月ほど前、コロナで外出が制限され始めたころのこと。投稿者は、いくつかの科目をまとめて学べるオンライン講座に申し込んだ。通っている学校の授業とは関係のない講座で、ほかの受講生は10人ほど。全員がこの講座で初めて一緒になった相手で、顔を合わせたことは一度もない。先生もかなりいい人だった。
3日目の物理の授業で上の空に
最初の2日間は何の問題もなかった。つまずいたのは3日目だ。物理の授業が始まってすでに1時間ほどたっていて、投稿者は途中から完全に上の空になっていた。本人いわく、集中力が極端に続かないたちで、1時間の授業でもう限界だった。
やらかしの一部始終
苦しまぎれにチャットで送った言い訳
そこへ、先生に名前を呼ばれて質問を当てられた。何の話をしていたのか、さっぱり分からない。慌ててグーグルで検索しようとしたが、家のネット回線が遅く、なかなか結果が出てこない。返事もせずにキーボードばかり打っている投稿者に、先生はだんだんいら立ってきた。
すっかりパニックになった投稿者は、授業に使っていたGoogle Meet(グーグルのオンライン会議サービス)のチャット欄で、先生に言い訳を送ることにした。伝えたかったのは「今日はパソコンのスピーカーもマイクも調子が悪くて、字幕を読んでいます。字幕が出るまで時間がかかるので、質問がよく分からなかったんです」ということだった。ところが焦るあまり、実際に送った文はずいぶん言葉足らずになっていた。
「実は聞こえてなくて、字幕を読んでます。字幕が出るまでけっこう時間がかかるんです」
先生からの返事はこうだった。
「ああ! ごめんなさい。耳が聞こえないとは知らなかった」
パニックと不安で頭がいっぱいだった投稿者は、そのまま話を合わせてしまう。本人の言葉を借りれば、「我ながら、バカにもほどがある」。
補聴器まで買って、ときどき着ける
これが意外にもうまくいった。自分に向けられた質問には、全部チャットで答えを打ち込んで返した。補聴器まで買って、ときどき授業中に着けた。「ときどき」なのは、毎回忘れずに着けるほどの集中力も根気もなかったからだ。受講生に理由を聞かれると、「補聴器を着けてもほとんど聞こえないから、普段はあまり着けないんだ」と答えた。みんな、それを信じた。
そのうえ投稿者は、クラスですっかり好かれていた。みんなから憎めないやつだとかわいがられ、カーラという女の子には「今まで見た中でいちばんきれいな笑顔」とまで言われた。本人いわく、この時点では「正直、かなりうまくいっていた」。
まさかの対面の集まり
だが、投稿者の思いつきの行動は、たいてい最後に裏目に出る。今回も例外ではなかった。
嘘をついた時点では、逃げ切れると思っていた。受講生と実際に会うことはないはずだったからだ。ところが投稿の1週間ほど前、住んでいる国のロックダウン(外出制限)が解除され、先生がみんなで実際に集まろうと言い出した。
投稿者は一晩じゅう、耳の聞こえない人たちの動画を見て、どうふるまえばいいのかを調べた。耳の聞こえない人の話し方をまねするのは難しそうで、やってみる気にもなれない。そこで、いっそ口もきけないふりをすることにした。
ティッシュに書かれた一言
集まりは何事もなく進み、嘘がばれることもなかった。投稿者はその間ずっとカーラと一緒にいた。実際に会ったカーラは息をのむほどきれいで、頭がよくて、面白くて、優しかった。2人はティッシュペーパーにメモを書いては渡し合い、それが何ともかわいらしい時間だった。投稿者は「生まれてこのかた、こんなに誰かに惹かれたことはない」と書いている。
ところが集まりが終わりに近づいたころ、カーラが1枚のティッシュを差し出した。そこに書かれていたのは、短い一文だった。
「私と付き合ってくれない?」
パニックになった投稿者は、少し考える時間がほしいと返した。カーラはあっさり受け入れてくれた。
翌日には、カーラと会う約束になっている。耳が聞こえず口もきけないふりをしたまま付き合うなんて、どう考えても無理だ。かといって芝居を続けるなら、カーラをあきらめるしかない。それも嫌だ。全部演技だったと打ち明ける手もある。うまくいけば、死ぬほど恥ずかしい思いをしたうえで、すてきな彼女ができる。最悪の場合は最低なやつだと思われて、どのみちカーラを失う。最初の投稿は、この迷いを書いたところで終わっていた。
その後
投稿からほどなくして、追記がついた。カーラから、迎えに来てほしい時間を知らせるメッセージが届いたのだ。会うのは明日ではなく、なんと今夜だった。「考える時間が思っていたよりずっと少ない。自分でも、やらかしが止まらない」。6〜7時間後に報告すると書き残して、投稿者はデートに向かった。
投稿者は準備に全力を注いだ。「嘘を謝るときにふさわしい花」をグーグルで調べて白い蘭を買い、手持ちでいちばんいい服を着て出かけた。
カーラは、2人で筆談するための小さなかわいいメモ帳と、鉛筆を2本持ってきてくれていた。それだけで投稿者の心はとろけたが、緊張と不安で、なかなか本当のことを切り出せない。注文した料理を待っているあいだに、とうとう罪悪感が限界を超え、メモ帳に走り書きした。
「あのさ、どう切り出せばいいか分からないんだけど、実は耳は聞こえるんだ……。それに、口もきける」
カーラからの返事はこうだった。
「耳が聞こえるのは知ってた。でも、おバカなのはほんとだよね」
最後には、にっこり笑った顔の記号が添えられていた。投稿者は思わず「はあ!?」と声に出して言ってしまった。
※注:投稿者のメモの「口もきける」は、原文では「dumb でもない」。英語の dumb には「口がきけない」と「バカ」の両方の意味があり、カーラはそこにかけて「dumb なのはほんとでしょ」と返した。なお、「口がきけない」の意味で dumb を使うのは、今では失礼な言い方とされている。
カーラは笑いながら種明かしをした。投稿者のことをかわいいと思って、ずっと前にネットで検索し、インスタグラムを見つけていたのだという。そこには、ライブ会場で叫びながらノリノリで盛り上がっている投稿者の動画が、プロフィールの目立つところに残っていた。カーラがデートに誘ったのも、投稿者がいつまで芝居を続けるのかを確かめたかったからだった。
つまり、ずっと相手を手玉に取っていたのは、カーラのほうだった。
誘われた理由がそれだけだったと知って、投稿者は少し落ち込んだ。それでも平謝りに謝り、事情を説明するために、海外の大型掲示板Redditに書いたこの投稿をカーラに見せた。コメント欄で何人もが勧めてくれた方法で、本人は「人生最高の一手だった」と振り返っている。
カーラは投稿を読んで、「おバカでかわいい」と面白がってくれた。投稿者は、ここでデートを切り上げたくなっても当然だと伝えたが、カーラは帰らなかった。2人は楽しい時間を過ごし、正式に付き合うことになったわけではないものの、次の水曜日に2回目のデートの約束をした。
ただし、カーラは言うべきこともはっきり言った。不安、とくに人前での強い不安(社交不安)と付き合うのが大変なのは分かるし、なぜそんなことをしたのかも理解できる。それでも、耳が聞こえないふりは少し失礼だったし、補聴器まで用意したのはとくによくなかった。なぜそれが無神経なのかを説明してもらった投稿者は、追記の中で「不快な思いをさせてしまった人がいたら謝りたい。本当にそんなつもりはなかった」と書いている。
2回目のデートでは、罪滅ぼしの意味も込めて、2人で耳の聞こえない子どもたちのための施設でボランティアをする予定だという。追記は「ありがとう、Reddit。みんなのおかげで彼女ができるかもしれない!」という一言で締めくくられていた。
海外の反応
1. やらかし名無しさん
この投稿をそのまま彼女に見せなよ。全部ここに書いてあるんだから。読んでるときの顔をよく見てな。本当にいい子なら大笑いしてくれるはずだし、いつか孫に「おばあちゃんとはね、とんでもないバカをやらかしたのがきっかけで付き合ったんだよ」って話す日が来るかもよ。誰かがこの話でラブコメ映画を撮ってくれるのを楽しみにしてる
2. やらかし名無しさん(>>1への返信)
正直、これがいちばんいい手だと思う。そもそも、だまそうとした相手は先生で、クラスのみんなをだましたかったわけじゃないんだし。彼女もたぶん、こっちと同じくらい笑ってくれるよ
3. やらかし名無しさん(>>1への返信)
(>>1です)追記を読んだ。本当にこの投稿を見せたんだね。最初に「見せろ」って言ったのが自分だと思うと、なんだか妙に責任を感じるけど、それ以上にうれしい。正直に打ち明けて、ボランティアまで決めたのは立派だよ
4. やらかし名無しさん
もう本当のことを言うしかないよ。彼女も、ここにいる何人かみたいに大笑いするかもしれない。好きになってくれたのには理由があるはずだし、もしその理由が「耳が聞こえないから」なら、どのみちうまくいかない。君のことが好きだから嘘はつきたくない、嘘の上に関係を作りたくない、ってちゃんと伝えな
5. やらかし名無しさん(>>4への返信)
これが言いたかった。芝居を続けられないからってだけじゃなく、本当のことを言えばどっちに転んでも損はしないんだよ。ユーモアのある子なら笑ってくれるし、もし「耳の聞こえない人と付き合う理解ある自分」を見せたかっただけなら、それが分かるだけでも収穫だから
6. やらかし名無しさん
海外のコメディドラマを見たことないの? この手の嘘が丸く収まった試しなんて一度もないのに、なんでうまくいくと思ったんだよ
7. やらかし名無しさん(>>6への返信)
(投稿者です)本文から自分の言葉を引用しておきます。「我ながら、バカにもほどがある」
8. やらかし名無しさん
そもそも、なんで先生に「分かりません」って言わなかったの? 自分ならそうする。それでひと言で済む話だったじゃん
9. やらかし名無しさん(>>8への返信)
(投稿者です)それはそれで恥ずかしかったんですよ……。なんでなのか自分でもよく分からない。たまに脳みそがまともに動いてくれないんです
10. やらかし名無しさん
本文に「耳が聞こえず口もきけないふりをしたまま付き合うなんて無理」ってあるけど、朗報だよ。dumb のもう一つの意味(バカ)のほうは、ふりをするまでもなく本物だから。演じなきゃいけないのは耳だけで済む
11. やらかし名無しさん(>>10への返信)
容赦なくとどめを刺しにいってて笑った。投稿者、たぶん画面の前で倒れてる
12. やらかし名無しさん
こういうのはどう?
①芝居を続けたままデートに行く
②下手な字のメモと笑顔で口説き落として、デートを重ねる
③なんで手話を覚えないのかと彼女の友達や家族に聞かれるのをかわしながら、静かで幸せな数年を過ごす。彼女のほうはちゃんと手話を覚える。君も教室に通うけど、やっぱり途中で上の空になる
④結婚して、一生そばにいるという誓いを果たす。生涯ぶんのメモを書き続けて、手首はボロボロ
⑤年老いて臨終の床。そばにいる彼女を手招きして、最後の息で、声に出してこう言う。「怒らないで聞いてほしいんだけど――」
13. やらかし名無しさん
お店の口コミサイトみたいに、人間に星をつけるサイトがない世の中でよかったな。あったら今ごろ、星1つのレビューがずらっと並んでるぞ
14. やらかし名無しさん(>>13への返信)
いや、SNSを検索されたら一発だよ。補聴器なんて一度も着けたことがないのがすぐ分かる。下手したら本人の動画まで出てくる
15. やらかし名無しさん
笑いながら読んだけど、自分にとってはこれが毎日の現実なんだよね。両耳とも聴力の8割を失っていて、手話は使わずに相手の唇の動きを読んでる。今はコロナでみんなマスクをしてるから唇が読めなくて、会話が本当にきつい。悪いことは言わないから、腹をくくって本当のことを言いな。このままじゃろくな終わり方をしない。罪滅ぼしがしたいなら、手話を覚えて、耳の聞こえない人たちの力になるって道もある。がんばれ
16. やらかし名無しさん
耳の聞こえない子や聞こえにくい子を教えていて、今年度はずっとZoomで授業をしてきた。はっきり言うと、この話は作り話だと思う。耳の聞こえない生徒なら、授業の途中で何かのはずみに分かる、なんてことはまずない。前もって伝えて、必要な支援を受けるのが普通だから。それと「耳が聞こえず口もきけない(deaf and dumb)」という言い方は、耳の聞こえない人たちのあいだでは侮辱にあたる言葉とされてる。軽い気持ちで使わないでほしい
17. やらかし名無しさん
人工内耳(耳の奥に埋め込んで、音を電気の信号に変えて神経に伝える装置)を入れている、正真正銘の耳が聞こえない者として、君を許す。ただしバカだとは言わせてもらう。それで手を打ってくれ
18. やらかし名無しさん
補聴器まで買ったってくだりで、さすがに作り話を疑った。あれは安いおもちゃじゃなくて、ちゃんとした医療機器だよ。高いものだと何十万円もする。嘘を固めるためだけに、そんなものをポンと買う?
19. やらかし名無しさん(>>18への返信)
ちゃんとした補聴器じゃなくて、通販で売ってる安い集音器を「補聴器」って呼んでるだけかもね。それにしても、そこまでして嘘を固めにいく根性はすごいけど
20. やらかし名無しさん
オチが最高。3か月近く先生とクラスをだましてたつもりが、カーラにはとっくに見抜かれてて、最後は逆に手玉に取られてたっていう。ネットで名前を検索されたら一発なの、いかにも今どきだよね
21. やらかし名無しさん(>>20への返信)
追記が出る前は「かわいそうなカーラ、徹夜で手話を勉強してきたんだろうな」なんてコメントもあったのにね。手話どころか、ライブで叫んでる動画までしっかり見られてた
22. やらかし名無しさん
白い蘭を「嘘を謝るのにふさわしい花」で調べて買っていくの、まじめなのかズレてるのか分からなくて好き。それに、補聴器の件は失礼だったってちゃんと言ってくれるカーラ、本当にいい子だと思う。2回目のデートがボランティアっていうのも、いい落としどころ
まとめ
授業を聞いていなかった言い訳が言葉足らずで「耳が聞こえない」ことになり、補聴器まで買って引っ込みがつかなくなった。追い詰められて打ち明けたら、カーラはとっくに見抜いていたというオチ。コメント欄は「この投稿を見せろ」「正直に言え」が大勢で、投稿者はそのとおりにして次のデートにこぎつけた。耳の聞こえない人からは、言葉づかいへの注意も届いている。最初に「分かりません」と答えていれば、それで済んだ話だ。

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