「グーグルだとお前、チェビー・チェイスの息子ってことになってるぞ??」20年前にウィキペディアへ書き足した1行が消えない話

「グーグルだとお前、チェビー・チェイスの息子ってことになってるぞ??」20年前にウィキペディアへ書き足した1行が消えない話 SNS・デジタル

2005年のある夜、暇を持て余していた投稿者は、友人と2人でウィキペディアのある有名人のページを開き、「子ども」の欄に自分の名前を1行だけ書き足しました。すぐに誰かが消すだろうと思っていたその嘘は、検索エンジンやプロフィールサイトに写されて広がり、20年たった今もiPhoneのSiriが投稿者を“息子”として紹介するほどに。アメリカのコメディ俳優チェビー・チェイスの“隠し子”になってしまった男の、気の長いやらかしです。

※注:チェビー・チェイスはアメリカのコメディ俳優。1975年に始まった人気コメディ番組『サタデー・ナイト・ライブ』の初期メンバーで、映画『ホリデーロード4000キロ』『サボテン・ブラザース』などで知られる。ウィキペディアは、誰でも書き込めるネット上の百科事典。

何をやらかした?

📌 2005年、友人とふざけてチェビー・チェイスのウィキペディアの「子ども」欄に「ブライアン・パーキンス(息子)」と自分の名前を書き足し、そのまま寝た。すぐ消されると思っていた1行は、検索エンジンや有名人のプロフィールサイトに写されてネット中に広がり、20年後の今もSiriが投稿者を「チェイスの子ども」として答える。とうとうチェイスの家族が公に否定するところまで行ってしまった

事の発端

2005年のウィキペディアは「無法地帯」だった

投稿者いわく、これは今日の話でも、ここ10年の話でもありません。始まりは2005年。若くて、暇で、2000年代半ばのネットならではの怖いもの知らずだったころの話です。

投稿者によると、当時のウィキペディアはほとんど無法地帯のようなものでした。ページを編集して保存を押せば、その瞬間から、たった今でっち上げたことの世界的権威になれる。出典を求められることもなく、目を光らせる管理人もおらず、「出典は?」と騒ぎ立てる自動プログラム(ボット)もいない。あるのはその場のノリだけだった、といいます。

ダイヤルアップのネットと、ほんの出来心

ある夜、ダイヤルアップ(電話回線を使う、当時の遅いネット接続)のパソコンの前にいた投稿者は、友人と一緒にチェビー・チェイスのウィキペディアのページを開きました。理由は特にありません。強いて言えば、ちょっとしたいたずら小僧だったから、だそうです。

やらかしの一部始終

書き足したのは「ブライアン・パーキンス(息子)」の1行だけ

2人は、ページの「子ども」の欄に新しく1行を書き足しました。「ブライアン・パーキンス(息子)」。それだけです。いきさつも説明もなく、本当らしく見せる工夫もしていません。ミドルネームすら付けませんでした。

投稿者は自分の名前を、まるで『ザ・シムズ』(家族を作って暮らしぶりを眺める人生シミュレーションゲーム)のキャラクターでも置くように、チェイス家の家系図にぽんと放り込んで、そのまま寝てしまいました。

検索エンジン、プロフィールサイト、ファンウィキへ

ところが、ここで世界のほうが「まあ、いいんじゃない?」と言い出します。検索エンジンがその1行を拾い、有名人のプロフィールをまとめたサイトが写し、ファンが作る非公式の百科事典(ファンウィキ)がそれを繰り返しました。

気づけばネット全体が「ああ、チェビー・チェイスの謎の4人目の子ども、ブライアンね。もちろん知ってるよ」という顔をしていたのです。投稿者はこのことをすっかり忘れていました。けれども、ネットは忘れませんでした。

その後

何年かがたち、10年がたち、やがて20年。ときどき人から「おい、グーグルだとお前、チェビー・チェイスの息子ってことになってるぞ??」と連絡が来るたびに、投稿者は「いや、ハリウッドの隠し子なんかじゃない。2005年にウィキペディアをいじっただけの、ただのバカだ」と説明するはめになりました。

いちばん笑えるのは、Siriがいまだにこれを信じていることだそうです。チェイスの子どもは誰かと聞くと、投稿者が感謝祭(家族が集まるアメリカの秋の祝日)にチェイス家の屋敷へ顔を出す身内であるかのように、自信たっぷりに投稿者の名前を挙げるといいます。

「この嘘は、そこらの結婚よりも長続きしている」と投稿者。今の自分はアルゴリズムに住み着いた幽霊で、ネットの中のビッグフット(北米の森にいるとされる、雪男のような未確認生物)のようなもの。どこかでチェイスのファンが「なんでこの“息子”は、ガソリンスタンドのコーヒーを買って、暖房の温度設定のことで父親と言い合いしてそうな普通のおじさんなんだ?」と首をかしげているはずだ、と書いています。

投稿者によれば、チェイスの娘を取り上げたアメリカの雑誌の記事にも、投稿者のことが「ニセのきょうだい」として出てきたそうです。コメント欄では「2005年のうちに直されるだろうと思っていたのに、今日まで続いて、家族が公に否定するところまで来てしまった。それがやらかしだ」とも説明しています。投稿の締めくくりは「正直、ネットは僕を手放したくないんだと思う」でした。

投稿が注目を集めたあと、投稿者は追記で、文章を読みやすく整えるのに校正ツール(Grammarly)を使ったことを認めたうえで、「嘘はついていない。2000年代初めのくだらない編集が、こうなっただけ」と説明しました。当時の編集の跡が見つからないという人には「何と言えばいいか分からないけど、どこかに埋もれているはず」。投稿者の顔を知らないまま、別の男性の写真を載せたサイトもあり、「あの人は、自分が巻き込まれていると知っているんだろうか」とも気にしていました。

海外の反応

1. やらかし名無しさん
もうこうなったら、いつか遺言状が読み上げられる日に、しれっと親族の席に座ってればいいと思う。20年もネットで息子扱いされてきたんだから、案外そのまま話が通るかもしれないぞ。

2. やらかし名無しさん(>>1への返信)
その前に“きょうだい”たちとの初顔合わせを段取りしとかないとな。向こうも、ネットで名前だけはさんざん見てるはずだし。

3. やらかし名無しさん
確認した。Siriに聞いたら、本当にチェイスの子どもとして投稿者の名前が出てきた。20年前のいたずら書きが、まだ現役で働いてる。

4. やらかし名無しさん
今グーグルで検索してみたら、まだ普通に載ってたぞ……。しかもご丁寧に写真付きで、チェイスの息子として紹介されてる。

5. やらかし名無しさん(>>4への返信)
投稿者です。笑えるのが、その写真は僕じゃないんです。写っているのは別の人で、合っているのは名前だけ。手抜きのサイトの中には、僕のフェイスブックを見つけて、そこの写真を使っているところもあります。

6. やらかし名無しさん(>>5への返信)
名前だけ見て適当な写真を持ってくるの、手抜きにもほどがある。写真の人からしたら、知らないうちにハリウッド俳優の隠し子にされてるわけで、とばっちりもいいところだな。

7. やらかし名無しさん
ウィキペディアのほうは、ようやく誰かが手を入れたみたいだな。かかった時間は、たったの21年。

8. やらかし名無しさん(>>7への返信)
見てろよ、そのうち誰かが「複数の出典あり」ってまた書き足すから。で、その出典っていうのが、ウィキペディアを丸写ししたサイトたちなんだよ。

9. やらかし名無しさん(>>8への返信)
ウィキペディアの嘘がよそのサイトに写されて、今度はそのサイトが出典になってウィキペディアに戻ってくる。誰も悪気がないのに嘘だけが育っていく、永久機関みたいな仕組みだよな。

10. やらかし名無しさん
どこかのプロフィールサイトに「チェイスはブライアンを自分の息子だと公に認めている」って書いてあって吹いた。誰がいつ認めたんだよ。ネットの伝言ゲーム、怖すぎる。

11. やらかし名無しさん
チェビー・チェイスって気難しい人だって話はよく聞くけど、この件に関しては、本人も腹を抱えて笑ってると信じたい。

12. やらかし名無しさん(>>11への返信)
笑っていられるのも、投稿者が20年分の養育費を請求しに来るまでだろうな。そこから先は本人も真顔になると思う。

13. やらかし名無しさん
怖いのは、AIがネット全体を読み込んで学習してるってこと。この“事実”も、ほかのデマと一緒にAIの中でずっと生き続けるんだよな。何十年もたって当事者を誰も覚えていないころには、これが本当の話として扱われてるかもしれない。

14. やらかし名無しさん(>>13への返信)
皮肉なのは、この投稿の文章もAIを通してるっぽいってことだよ。AIの書いた話をまたAIが覚えて、の繰り返しになっていきそう。

15. やらかし名無しさん
実はチェイスの娘さんの1人と知り合いなんだ。今度会ったら、あなたのことを聞いてみるよ。どんな顔をするか楽しみ。

16. やらかし名無しさん(>>15への返信)
投稿者です。ぜひ聞いてみてください!

17. やらかし名無しさん
娘さんには、ぜひこう言い返してほしい。「私はチェビー・チェイスの子ども。で、あなたは違う」。チェイスが『サタデー・ナイト・ライブ』のニュース風コーナーで言っていた決めゼリフ「私はチェビー・チェイス。で、あなたは違う」のもじりね。

18. やらかし名無しさん
で、これのどこがやらかしなの? ただ面白い話を披露したかっただけに聞こえるけど。

19. やらかし名無しさん(>>18への返信)
投稿者です。やらかしなのは、2005年のうちにたぶん直されるだろうと思っていたことです。まさか今日まで続いて、家族が公に否定するところまで行くとは思っていませんでした。

20. やらかし名無しさん
うちのきょうだいがあなたをグーグルで調べたら、俳優で映画にも出てたって出てきたらしい。本当に出演してたの? それとも、その映画のウィキペディアにも自分の名前を書き足した?

21. やらかし名無しさん(>>20への返信)
投稿者です。それは、80年代後半から90年代前半にかけて、B級映画の制作会社トロマ(『悪魔の毒々モンスター』で知られる会社)の作品に出ていた、同姓同名の俳優さんだと思います。皮肉なことに、僕は2004年から2005年にかけて、そのトロマで少しだけ働いていたんです。営業とDVD制作の部署でしたけど。

22. やらかし名無しさん
この投稿が上がってすぐの時間に居合わせたことを、後々まで自慢させてほしい。チェビー・チェイスの息子ブライアンは実在しなかった、と明かされた歴史的瞬間に立ち会ったんだから。

まとめ

すぐ消されるはずのいたずら書き1行が、写され、引用され、20年かけて“事実”のように扱われてしまった投稿者でした。海外の反応では、遺言状の場に出てみろという悪ノリや、Siriで確かめたという報告のほか、写したサイトがまた出典になって嘘が戻ってくる仕組みや、AIがデマを覚え込む怖さを指摘する声も。書いた本人が忘れても、ネットは覚えているという話です。

元ソース: ネットに20年間「チェビー・チェイスの隠し息子」だと信じ込ませてしまった話

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