朝6時半、まだ薄暗い寝室で、枕元に置かれたスマホの画面がふっと明るくなった。彼女が見ている前で、メッセージアプリがひとりでに開き、文字が入力され、そして送信される。宛先は、その画面をのぞき込んでいる彼女自身だった。書いた本人は、すぐ隣でいびきをかいて眠っている。4か月のあいだ毎朝届き続けた「おはよう」の正体が、この数秒で全部わかってしまった話である。
※注:iPhoneには「ショートカット」というアプリが最初から入っている。「毎朝この時刻になったら、この文章をこの相手に送る」という段取りをあらかじめ登録しておくと、持ち主が寝ていても、時刻が来ればそのとおりに実行される。日本でいえば、毎朝の「おはようLINE」を自動で予約送信しておくようなものだと思えばいい。なお本文中の「メッセージ」は、iPhone同士でやりとりされる標準の連絡機能のことで、日本でいうLINEにあたる位置づけである。
何をやらかした?
📌 朝10時まで起きられない男性が、毎朝6時に起きる彼女のために、自分で書いた30通の「おはよう」を自分のスマホに登録し、6時15分から6時45分のあいだにそのうち1通が自動で送られるよう設定した。4か月間、一度も途切れずに届き続け、彼女は毎朝ハートの絵文字で返していた。ところが彼女が泊まった日の朝6時半、枕元のスマホがひとりでにメッセージを送るところを、本人に最初から最後まで見られてしまう。彼女の言い分は「あのメッセージには何も入っていなかった」。彼の言い分は「30通は自分で書いたし、君のことを考えていたからこそ用意した」。彼女が返した「あなたは、愛を自動化したのね」の一言に、投稿者はいまだに返す言葉を見つけられていない。
事の発端
10時に起きる彼氏と、6時に起きる彼女
投稿者は、朝がとにかく苦手な男性である。目が覚めるのは、だいたい10時。対して交際中の彼女は、毎朝6時にはもう起きている。そして彼女には、ひとつだけ譲れない好みがあった。目を覚ましたときに、彼からの短い「おはよう」が届いていること。それが一日の始まりとして、いちばん嬉しいのだという。
言うまでもなく、この二人の時間割はまるで噛み合っていない。彼女が起きてから彼が起きるまで、毎朝4時間の空白がある。彼女は誰からも連絡のない朝を過ごし、彼が10時にようやく目を覚まして「おはよう」を送る。悪気はなくても、それが届くのは彼女の午前がとっくに始まったあとだった。
AIに聞いてみたら、手順まで教えてくれた
ここのところ投稿者は、身のまわりのことを何でもAIに相談するのが面白くなっていた。それでChatGPT(質問すると文章で答えてくれる対話型のAI)に、こう聞いてみた。毎朝決まった時刻にメッセージを自動で送る方法はないか、と。
返ってきたのは、iPhoneに最初から入っている「ショートカット」というアプリの使い方だった。決めた段取りを、決めた時刻に代わりに実行してくれる機能である。持ち主が寝ていようが出かけていようが関係なく、時刻が来れば設定どおりにメッセージが送られていく。
ここから先、投稿者はそこそこ真面目に取り組んでいる。まず「おはよう」のメッセージを30通、自分で書いた。「おはよう、きれいな人。今日がいい一日になりますように」「目が覚めて最初に思い浮かんだのが君だった 💛」——そういう文面である。それを一覧にして、毎朝6時15分から6時45分のあいだのどこかで、その中の1通をランダムに選んで彼女に送るよう設定した。毎日きっちり同じ時刻に、同じ文章が届く——それではさすがに不自然に見えると考えたのだろう。
やらかしの一部始終
4か月間、一度も途切れなかった
結果から言えば、この仕組みは見事に働いた。彼女は毎朝ハートの絵文字で返事をくれる。投稿者は10時に目を覚まし、枕元のスマホでその返事を眺めてから起き上がる。自分は寝ていられて、彼女は毎朝嬉しい。誰も損をしていない——本人いわく「自分は天才だと思っていた」。
そしてこれが、4か月続いた。4か月である。一度の不具合もなく、雨の日も休日も、毎朝きっちり届き続けた。
泊まった日の朝6時半、枕元の画面が明るくなった
ある晩、彼女が彼の部屋に泊まった。スマホはいつもどおり、ベッド脇の台の上に置いてある。
朝6時半。先に目を覚ましていた彼女の視界で、その画面がふっと明るくなった。彼女が見ている前で、メッセージアプリがひとりでに開き、文字が入力されていく。
「起きて、きれいな人 ☀️ 君は僕の一番好きな人だよ」
そして、そのまま送信された。宛先は、目の前にいる彼女である。文章を書いた当人は、そのすぐ隣で、いびきをかいて眠っていた。
「あなたは、愛を自動化したのね」
彼女は彼を揺すり起こした。目を開けた投稿者が見たのは、これまで人の顔で見たことのない表情だったという。訳が分からないのと、傷ついているのと、笑うのをこらえているのとが、全部同時に出ている顔である。
そこからの言い分は、きれいに食い違った。彼女の側は「あのメッセージには何も入っていなかった」。毎朝の「おはよう」は、彼が起き抜けに自分のことを思い出してくれた証拠だと思っていたのに、実際には設定が時間どおりに実行されていただけではないか、と。
投稿者の側の言い分はこうだ。あの30通は、自分が机に向かって一通ずつ書いた文章である。誰かに代筆してもらったわけでも、どこかから拾ってきたわけでもない。そもそも彼女のことを考えていたからこそ、わざわざこんな仕掛けまで用意したのだ、と。
それに対して、彼女が返した一言がこれだった。
「あなたは、愛を自動化したのね」
投稿者はいまだに、この一言に返す言葉を思いついていない。
その後
現在、二人は「少し距離を置こう」という状態にある。別れたとも、別れていないとも書かれていない。彼女のほうから切り出した、しばらく連絡を控えて頭を冷やす期間である。
投稿者がこの一件を友人に話したところ、返ってきたのは慰めではなかった。「どうせ独り身になったんだから、その設定の作り方をネットで公開してやれよ」。友人としては笑わせるつもりだったのだろうが、投稿者はこれを告白の締めくくりにそのまま書いている。自分でも、笑い話にでもしないと持たないところまで来ている自覚はあるらしい。
本人が最後まで整理できずにいるのは、たぶんこの点である。手間をかけたのは事実だ。文章を30通書き、送る時刻に幅まで持たせ、4か月間ちゃんと動くように面倒を見てきた。しかし彼女が毎朝受け取っていたのは、文章そのものではなく「今この瞬間、君のことを考えている」という合図のほうだった。4か月ぶんのその合図が、まとめて4か月前に用意されたものだったと分かった朝、彼女の中で何かがひっくり返った。かけた手間の量と、相手が受け取っていたものの中身は、必ずしも同じではなかったのである。
海外の反応
1. やらかし名無しさん
やり方はもう一段あったよね。寝る前に自分で一通書いて、朝の時間に届くよう予約送信にしておけばいい。「もう寝るけど、これを読む頃には君はきれいな朝日を見てるんだろうな」とかさ。彼女がたぶん一番こたえてるのは、メッセージが前もって書かれていたことじゃなくて、自分のために4時間も早く起きてくれてると思い込んでいた部分が消えたことだと思う。
2. やらかし名無しさん(>>1への返信)
そこだよね。文章の中身が本物かどうかの話じゃない。「毎朝わざわざ起きてくれてる人」だと思っていたのに、実際は自分だけが起きて待っていたことになる。4か月ぶんまとめてそう気づかされるの、けっこうきついと思う。
3. やらかし名無しさん(>>1への返信)
最初の1通のあとに白状してれば、たぶん全然違ったんじゃないかな。「今朝のあれ気に入った? 実は君が早起きなの知ってるから、前の晩に書いて自動で届くようにしたんだ」って。その場で書いた文章には負けるけど、かわいい工夫として受け取ってもらえたと思う。4か月黙ってたから重くなった。
4. やらかし名無しさん
これは認めざるを得ない。あんた天才だし、同時に完全にやらかしてる。両立するんだな、こういうことって。
5. やらかし名無しさん(>>4への返信)
友達の「どうせ独り身になったんだから設定の作り方を公開しろ」がいちばん効いてて笑った。慰める気ゼロだし、そのうえ本人が締めの一行にそれを選んでるのが、もう完全に自棄になってる人の書き方なんだよな。
6. やらかし名無しさん
技術的な話で悪いんだけど、自動送信ってそういう見え方はしないよ。画面が勝手に開いて、文字が一文字ずつ打たれて、送信されるところが見える——そんな動き方はしない。裏で静かに送られて終わり。目の前で全部見えたっていう部分だけ、ちょっと話がうまくできすぎてる。
7. やらかし名無しさん(>>6への返信)
自分も同じような設定を使ってるけど、画面は真っ暗のままだよ。あとから履歴を見て「あ、ちゃんと送られてる」と分かるだけ。だからこの朝に実際に起きたのは、送信音か通知の音で彼女が気づいて履歴を見た、あたりじゃないかな。バレたことに変わりはないけど。
8. やらかし名無しさん
逆に気になったんだけど、彼女のほうも4か月間ずっと不思議じゃなかったのかな。いつもは10時まで起きない人が、急に毎朝6時半に「おはよう」を送ってくるようになったんだよ。人が変わったのかと思うレベルの変化だと思うんだけど。
9. やらかし名無しさん(>>8への返信)
というか、この4か月で泊まったのが今回が初めてってことなのかな。そっちのほうが自分は引っかかった。朝まで一緒にいる機会が一度でもあれば、もっと早く気づいてたはずだよね。
10. やらかし名無しさん
気持ちは分かるけど、自分は彼女が正しいと思う。その時刻に自分の手で送っていないなら、あれは「送ったつもり」であって、送ったことにはならないんだよ。「愛を自動化した」は言い得て妙だと思った。ただ、そこで終わりにする話でもない。ちゃんと座って「その角度で見えてなかった、両方得すると思ってた」と言えばいい。あと、そもそも朝に弱い人に毎朝6時の連絡を期待するのも無理がある。
11. やらかし名無しさん(>>10への返信)
寝る前に送っておく案、地味にいちばん現実的だと思う。「今日はこういう一日だった、もう寝る。君が起きる頃にはこれが届いてるはず」って書けるから、文面もその日ごとに変わるし、嘘もつかなくていい。しかも朝が弱いままで成立する。
12. やらかし名無しさん
正直に言うと、自分だったら感動する側かもしれない。朝型の相手に合わせようとして、自分の睡眠を壊すんじゃなく別の方法を探したわけでしょ。しかも文章は全部本人が書いてる。自動なのは配達だけだよ。黙ってたことには腹が立つけど、手間をかけてくれたこと自体は認めたい。
13. やらかし名無しさん(>>12への返信)
「自動なのは配達だけ」、いい言い方するね。手紙と同じで、書いたのは本人で、運んだのが郵便屋さんだったというだけの話ではある。まあ相手が受け取っていたのは、手紙じゃなくて毎朝のノックのほうだったんだろうけど。
14. やらかし名無しさん
女だけど、これは別れるほどの話じゃないと思う。ただ、しばらくは疑うと思う。この人が普段くれる言葉のどれが本気で、どれが前もって用意されたものなのか。一度そういう目で見はじめると、なかなか元には戻らない。時間はかかるよ。
15. やらかし名無しさん
言い返す言葉なんて要らないよ。よかれと思ってやった、相手はそう受け取らなかった、それだけの話で、そこで身構えずに認められるならむしろ収穫だと思う。個人的にも、あらかじめ用意された「おはよう」より、何も来ないほうがまだいい。朝の一通って「目が覚めた瞬間に君のことを考えてた」を伝えるためのものだから、予約されている時点で、伝わるのは「昔いっぺん考えた」までなんだよね。それなら昼前でいいから、本人がその場で打ったものが届いてほしい。
16. やらかし名無しさん(>>15への返信)
そこは意見が分かれるところだと思う。毎朝手で打ってる「おはよう」だって、半分は歯磨きと同じ習慣でしょ。中身なんて三日で使い回しになる。この人は少なくとも30通ぶん、何を言われたら彼女が嬉しいかを考えて座って書いてるわけで、一回あたりの密度でいえばむしろ濃いほうだと思うよ。
17. やらかし名無しさん
ものすごく身も蓋もないことを言うと、先に起きたほうが「おはよう」を送ればいいだけの話では。彼女のほうが4時間早く起きてるんだから、彼女から送って、彼が10時に返す。それで何か困ることある?
18. やらかし名無しさん
関係を戻したいなら、言い訳の順番を変えるといい。こんな感じで。「君の言う『愛を自動化した』は、こっちからは全然そう見えてなかった。君が何時間も起きてて自分からは何も届かない、それが嫌だっただけなんだ。文章は全部自分で書いた。送るところだけ機械に任せた。それが不誠実に見えるのは今なら分かる。ばかだったのは認めるけど、書いた言葉は一つ残らず本気だった。ごめん」。順番として、まず相手の見え方を認めてから自分の意図を置くこと。逆にすると全部言い訳になる。
19. やらかし名無しさん
自分も家族のグループ連絡で同じことをやろうとして、結局やめたクチ。よく考えたら、起きた瞬間に「おはよう」って打つのは3秒で終わるんだよな。3秒を節約するために設定を作り込む時間のほうが長いことに気づいて、そのまま画面を閉じた。あのとき作らなくて本当によかったと今日思った。
20. やらかし名無しさん
結局いちばんの問題は、AIでも自動送信でもないと思うんだよ。「自分は朝10時まで起きられないから、毎朝6時の連絡は無理だ」と正直に言えなかったこと。それを4か月隠し通す手間をかけたのが、この話のいちばん切ないところ。言えば1分で終わってた話なのに。
まとめ
自分で30通書いた「おはよう」を、毎朝6時台に自動で送るよう設定した。その手間だけ見れば、たしかに愛情の証明にも見える。ところが4か月後、彼女は自分が受け取っていたのが文章ではなく「今この瞬間、君を思い出した」という合図のほうだったと気づいてしまった。コメント欄は「気持ちは分かる、配達を任せただけだ」という擁護と、「その時刻に送っていないなら送ったことにならない」という指摘で真っ二つ。そのうえで多くの人が同じ結論に落ち着いていた。朝が弱いと正直に言えば、1分で済んだ話だった。

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