「件名:A列について確認したいのですが」——最大の取引先から来たメールに、本文は一文字もなかった

「件名:A列について確認したいのですが」——最大の取引先から来たメールに、本文は一文字もなかった 職場

「件名:A列について確認したいのですが」——最大の取引先から届いたメールには、本文が一文字もなかった。あるのは画面を撮った画像が一枚と、疑問符がひとつだけ。その画像には、取引先本人の名前と、横で赤く光る「5」という数字、そして誰にも見せるつもりのなかった一行のメモが、きれいに並んで写っていた。この告白は、投稿者が会社の4階のトイレの個室から、震える手でスマホに打ち込んだものである。

※注:表計算ソフトの「列を非表示にする」は、データを消す機能ではない。画面の上でその列を見えなくするだけで、中身はファイルにそのまま残っている。受け取った側が列を選んで「再表示」を押せば、隠していた内容は全部出てくる。もうひとつ、この話に出てくる「条件付き書式」は、セルの数字に応じて色が自動的に変わる設定のこと。「5なら赤」と決めておくと、その数字だけが表の中で赤く目立つようになる。

何をやらかした?

📌 取引先から資材を仕入れる部署で働く投稿者は、業務用の連絡先台帳ファイルのA列とB列に、取引先ごとの「面倒くささ」を5段階でつけた点数と、口に出せない本音のメモを書きためていた。2年分である。その2列は常に非表示にしてあり、ファイルを開くと表はC列から始まるので、見た目は完全に真面目な業務資料だった。ところが上司に急かされて、最大の取引先にこのファイルをそのまま送信。相手が全体を選択して「再表示」を押した結果、自分の名前の横に赤い「5」と「自己愛の強い駄々っ子」というメモが並んでいるのを、本人に読まれた。そのメールには上司と、さらにその上の上司にもCcが入っていた。

事の発端

王様みたいな相手ばかりの、退屈でデータばかりの仕事

投稿者が働いているのは、取引先から資材を仕入れて、供給の流れを管理する部署である。本人の言い方をそのまま借りれば「退屈で、データばかりで、そして自分が世界の中心だと思っている取引先を相手にする仕事」。この2年、正気を保つために、彼は業務ファイルにちょっとした個人的な工夫を足しはじめた。

A列とB列に作った、自分だけの逃げ場

使ったのは、取引先の連絡先をまとめた台帳ファイルだった。その一番左、A列に彼が新しく作った列の見出しは、たった4文字である。「PITA」。英語の悪態「Pain In The Ass(死ぬほど面倒なやつ)」の頭文字だ。中身は1から5までの単純な点数で、1は聖人。5は——本人の説明をそのまま借りると——「金曜の16時55分に電話をよこして、書類の文字の大きさに文句をつけてくるタイプ」である。

その隣のB列は「備考」。ここには、口が裂けても言えないことを書いていた。「計算は必ず検算しろ、この人はできない」「値引きは絶対に出すな、ハッタリだ」。ひとことだけ「ろくでなし」と書かれた行もあった。

そしてこの2列は、常に非表示にしてあった。ファイルを開くと、表はC列から始まる。誰が見ても、体裁の整った業務資料でしかない。何年もこうやってきた、と彼は書いている。「ちょっとした心の逃がし方だったんです」。

やらかしの一部始終

「体裁は気にしなくていい、今すぐ送れ」

その日、上司が血相を変えて席に飛んできた。会社にとって最大の取引先——ここでは仮に「ゲイリー」としておく——が、社内監査に使うので第4四半期の生データを今すぐ寄こせと言ってきたのである。上司の指示はこうだった。「マスターファイルをそのまま送ってくれ。体裁は気にしなくていい、向こうは今すぐ欲しがってる」。

頭のなかで「非表示」が「削除」にすり替わった

投稿者は完全に「できる社員モード」に入っていた。ファイルを開き、第4四半期のぶんだけを絞り込み、「名前を付けて保存」を押す。

問題はここである。彼の頭のなかでは、「非表示にしてある」が「もう無い」と同じ意味になっていた。列は削除していない。隠したまま保存しただけである。しかも、こう考えていた——ゲイリーは、ビデオ会議のたびに自分のマイクのミュートを解除するのにもたついている人だ。あの人が気づくはずがない、と。

添付して、送信。「今日はいい仕事をした」と思ったそうである。

20分後、件名は「A列について確認したいのですが」

メールが返ってきたのは、その20分後だった。差出人はゲイリー。Ccに投稿者の上司。そして、さらにその上の上司まで入っていた。

本文は、なかった。貼り付けられていたのは、画面をそのまま撮った画像が一枚だけである。ゲイリーは受け取ったファイルを開き、どういうわけか表全体を選択して「再表示」を押していた。

画像には、ゲイリー自身の名前が写っていた。その横に、条件付き書式のせいで真っ赤に染まった「5」。さらにその隣、備考の列には、投稿者が先週書き込んだ一行がそのまま残っていた。

「自己愛の強い駄々っ子。前倒しの出荷を頼まれたら、在庫は押さえてあって動かせないと言え」

メールに文章はひとつもなかった。画像と、疑問符がひとつ。それだけである。

その後

そのメールが届いてから30秒ほどで、上司が自分の席から立ち上がった。画面を見て、投稿者を見て、そして顔が真っ白になった。何も言わなかった。ただ、自分の部屋を指差した。

投稿者は腹を押さえて、トイレへ走った。

この告白は、そのトイレのなかで書かれている。4階の、いちばん奥にある広い個室。すでに20分が経っている。人が出たり入ったりする音が聞こえてくる。手が震えて、まともに文字が打てない。

「もう別の国に引っ越すしかないと思う(笑)」——投稿の最後の一行である。この話には、まだ続きが書かれていない。上司は自分の部屋で待っていて、投稿者はまだ個室から出ていない。

海外の反応

1. やらかし名無しさん
これを実際の業務ファイルに、しかも非表示にしただけで持っていた時点で、正直まったく同情できない。しかもよりによってA列とB列でしょ。表がC列から始まってたら、表計算に慣れてる人ほど「じゃあAとBは何なんだ」って気になるに決まってる。自分でも間違いなく再表示を押してる。

2. やらかし名無しさん(>>1への返信)
そこの指摘が的確すぎる。C列から始まるファイルって、何か隠してますと自分から白状してるようなものなんだよな。むしろ堂々とA列から表が始まってたら、誰も触らなかったと思う。

3. やらかし名無しさん(>>1への返信)
自分は同情する側。同じことをやってる人は絶対に他にもいる。ただ全員、外に出すときは別のファイルに移してるだけ。その一手間をサボったかどうかの差でしかないと思う。

4. やらかし名無しさん
とにかく今すぐ自分から認めること。それ以外に残ってる選択肢は「自分じゃありません」で最後まで押し通すことくらいで、そっちはまず通らない。逃げ道はもう無い。

5. やらかし名無しさん(>>4への返信)
認めるのは同意だけど、言い訳を一切足さないのが大事。「ストレス発散のつもりで」まで言うと、他の取引先ぶんのメモも同じように存在しますと自白することになる。それは絶対に言わないほうがいい。

6. やらかし名無しさん
話の筋が合わない気がする。取引先全部の連絡先が載ってるマスターファイルなら、そもそも一社に送る種類の書類じゃない。隠し列より、他社の情報を丸ごと渡したことのほうが会社的にはよほど大問題では。

7. やらかし名無しさん(>>6への返信)
自分もそこで引っかかった。四半期の生データがなんで連絡先の台帳に入ってるんだ、という話でもあるし。まあ現場のファイルって、気づいたら何でもかんでも1枚に詰め込まれてたりするから、あり得なくはない。

8. やらかし名無しさん
上司の部屋で何を言われたか、落ち着いたら必ず報告してほしい。それと転職活動のほう、いまのうちに始めておいて損はないと思う。健闘を祈ります。

9. やらかし名無しさん
そのファイルを持っていること自体は否定しない。ただし、外に出す用のファイルは必ず別に作れ。元の台帳から必要な列だけ新しいファイルに貼り直して、そっちを送る。この一手間だけで一生ぶんの事故が防げる。

10. やらかし名無しさん
気になって仕方ないんだけど、実際のところ「在庫は押さえてあって動かせない」って本人に言ったことはあるの? 続報より先に、そこだけはどうしても知りたい。

11. やらかし名無しさん
手が震えて打てないと言っているわりに、投稿の文章は段落まできれいに整ってるんだよな。そこはちょっと引っかかる。まあ、それはそれとして続きは気になるので待つけど。

12. やらかし名無しさん(>>11への返信)
個室にこもって20分あれば、推敲する時間としては十分すぎる。人間、極限まで追い込まれると意味のない方向に集中力を発揮したりするので、自分はわりと信じてる。

13. やらかし名無しさん
これは正真正銘のやらかし。中途半端に言い訳できる余地がひとつも無いぶん、いっそ清々しいまである。個室から出て、そのまま上司の部屋に行ってこい。正直に話して、あとは野となれ山となれだ。

14. やらかし名無しさん(>>13への返信)
時間が経てば経つほど「トイレに隠れていた」が事実として積み上がっていくのがきつい。処分の重さとは別のところで印象が悪くなるので、今すぐ行ったほうが100倍マシだと思う。

15. やらかし名無しさん
こういう時に天井の通気口をこじ開けて脱出できるのは映画の中だけなんだよな。現実は4階のトイレの個室で詰む。窓から降りられる高さでもない。

16. やらかし名無しさん
まあ、誰かが本人に一度は言ってやるべきだったことではある。せっかくなので、リーダーシップ研修の受講料として請求書を送っておけばいい。但し書きは「A列に関するご説明」で。

17. やらかし名無しさん
条件付き書式で赤くしてたのが、この話のいちばん効いてる部分だと思う。相手が再表示を押した瞬間、よりによって自分の名前の横だけが真っ赤に光ってたわけでしょ。演出として完成されすぎている。

18. やらかし名無しさん(>>17への返信)
しかも数字が5。1が聖人だと分かる作りの表だから、5が何を意味するかも一目で伝わる。説明書きが一行も要らない資料としては、業務上かなり優秀と言わざるを得ない。

19. やらかし名無しさん
文章が上手すぎて作り話だと疑う声も分かるけど、自分は職場でこれに近い事故を実際に見たことがある。非表示じゃなくて、白い文字で書いた社内向けの注意書きが、相手の画面で全選択されて浮かび上がってきた。原理はまったく同じ。

20. やらかし名無しさん
「できる社員モード」で動いてる時ほど確認が飛ぶ、というのがこの話のいちばん怖いところ。急かされている時こそ、送信ボタンを押す前にもう一度ファイルを開き直したほうがいい。他人事だと思えない。

まとめ

2年かけて書きためた本音が、たった一度の「今すぐ送れ」で本人の手に渡った。海外の反応は、同情と冷たさが半々である。「A列とB列に置いた時点で自業自得」という厳しい声がある一方、「同じことをやっている人は絶対にいる。違うのは、送る前に別ファイルを作るかどうかだけ」という指摘も多かった。そして何より多かったのが「続きが知りたい」だった。急かされている時ほど、送信ボタンの前でもう一度ファイルを開き直す——この話に教訓があるとすれば、たぶんそれだけである。

元ソース: 最大の取引先に、その人の評価を書いた非表示の列ごと表計算ファイルを送ってしまった

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