「記念日に、スマートリングを贈ろう」。ただそれだけの話だったはずだ。彼女のジュエリーボックスの前でメジャーを広げ、指輪のサイズを聞いた。彼女は「6〜7くらいかな」と軽く答えた。それから一週間、投稿者の周りでは静かに、しかし確実に、ある一大イベントの準備が進んでいた。本人だけが何も知らないまま。
※注:スマートリングは、睡眠時間や心拍数を記録してスマホのアプリで確認できる指輪型の健康管理端末。本文中の「6〜7」はアメリカの号数で、日本の号数でいうとおよそ11〜14号にあたる。また投稿者は彼女の両親のことを、スペイン語で義理の両親を意味する「スエグロス」と呼んでいる。まだ結婚していないのに、である。
何をやらかした?
📌 記念日の贈り物にスマートリングを選んだ投稿者が、彼女の指輪をメジャーで測っているところを本人に見られた。「サイズが知りたくて」と正直に答えたところ、彼女はそれを婚約の前触れだと受け取り、自分の両親に報告。一週間後には周囲の全員が「もうすぐプロポーズ」だと信じ込んでいた。指輪の正体は、ただの健康管理グッズだったのに
事の発端
ダンス教室で出会い、2年間「付き合っているかどうか」を知らなかった
二人が出会ったのは、ダンス教室だった。投稿者の住む地域では木曜日がダンスの日とされていて、その界隈がいちばん盛り上がるのも木曜の夜だ。二人はそこで顔を合わせ、そのまま何年も一緒に出かけ続けた。付き合っているという自覚は、どちらにも無かった。互いに「仲のいい遊び仲間」のつもりだったからだ。
転機はおよそ2年後に訪れる。知人から「二人はいつから付き合ってるの?」と聞かれ、顔を見合わせて固まった。——私たち、付き合ってるの? その場で確認し合った結果、どうやら付き合っているらしい、という結論に落ち着いた。ただ、開始日が誰にも分からない。そこで記念日は「3月14日」ではなく「3月の第2木曜日」に決めた。木曜日は、二人が出会った曜日だからだ。そして交際は4年目に入っていた。
記念日の贈り物は、健康を測る指輪に決めた
彼女は体を動かすのが好きで、機械にも強い。投稿者はその二つに刺さる贈り物として、コストコの店頭で安くなっていたスマートリングを選んだ。値段も手ごろで、彼女の趣味にもぴったり合っている。我ながら良い選択だと思った。問題は一つだけ残っていた。指輪である以上、サイズが要る。そして投稿者は、彼女の指のサイズをまったく知らなかった。
やらかしの一部始終
ジュエリーボックスの前で、メジャーを広げる
思いついたのは、彼女が普段つけている指輪を直接測るという方法だった。ジュエリーボックスを開け、裁縫用のメジャーを当てる。そこに本人が入ってきて、当然こう聞く。「何してるの?」。投稿者は正直に答えた。「指輪のサイズが知りたくて」。深く考えてはいなかった。隠すつもりも、もったいぶるつもりも無かった。
彼女の返事も、驚くほどあっさりしていた。「6〜7くらいだと思う」。それだけである。会話はそこで終わり、投稿者は「よし、サイズは分かった」と満足して、その日のことをすっかり忘れた。
一週間後、彼女の両親から電話が鳴る
異変が表に出たのは、それから一週間後だった。彼女はあの一件を自分の両親に話していたのだ。投稿者がメジャーを持って、自分の指輪をこっそり測っていた、と。その情報が親の耳に入れば、導き出される答えは一つしかない。両親は大喜びで電話をかけてきた。気づいたときには、周囲の全員が「もうすぐ婚約」だと信じきっていた。
ここで投稿者は、自分が踏んだ地雷の大きさをようやく理解する。しかも彼は、彼女の両親を普段から「スエグロス」と呼んでいた。義理の両親、という意味である。まだ結婚していないのに、だ。追い詰められた頭に浮かんだ解決策はただ一つ。「もう本当に指輪を渡すしかないのでは」。彼女は物分かりのいい人だから、説明すれば分かってくれるはずだ。ただ、少なくとも気まずくはなる。そう書き残して、投稿者は掲示板に助けを求めた。
その後
正直に打ち明けたら、隠しきれない落胆が見えた
寄せられた助言は、ほぼ全会一致だった。話せ。今すぐ話せ。投稿者は覚悟を決め、彼女に全部打ち明けた。両親が喜んで電話をかけてきたこと、あの指輪は婚約指輪ではなく健康管理用のスマートリングだったこと。彼女は「大丈夫だよ」と言い、冗談まで返してくれた。「じゃあその指輪、私を追跡するための位置情報端末ってこと?」「別にスマートリングでプロポーズしてもいいんだよ」。それでも投稿者には、彼女の奥のほうにある落胆がはっきり見えてしまった。彼はこう答えた。結婚したい気持ちはある、前にも二人で話した通りだ。でも今じゃない。それに、正直あまりかっこよくないあの指輪でやることでもない。
サイズが合わないので、返品しに行った
話はそこで終わらなかった。二人はその夜、これまで踏み込まなかったところまで話し込んだ。投稿者は仕事の安定への不安を打ち明け、子どものこと、どこに住みたいかまで、初めて言葉にした。話せば話すほど、自分がこの人と噛み合っていること、そして何より友達として好きなことを再確認した。
そして翌日。コメント欄で何人にも指摘された通り、スマートリングのサイズ表記は普通の指輪の号数と一致しない。苦労して聞き出した「6〜7」は、そもそも使えなかったのである。二人は指輪の交換のため、ミモザ(スパークリングワインをオレンジジュースで割ったカクテル)用の酒を買うついでに、コストコへ戻った。売り場には「購入前にサイズ確認用のリングで試してください」と大きく書かれた注意書きがある。それを完全に無視していたことは、幸い店員に指摘されなかった。
宝石売り場を通りかかった二人
返品を済ませて店内を歩いていると、宝石と婚約指輪の売り場に差しかかった。彼女は冗談めかして指を差す。「プロポーズするなら、ああいうのね。あれは違う、あっちも違う。あのくらいシンプルで可愛いのがいい」。投稿者は店員を呼び、その指輪を出してもらった。実物はとてもきれいだった。「つけてみたら」と勧めると、彼女は断った。婚約指輪を試着するのはとても縁起が悪いのだという(メキシコの言い伝えらしく、投稿者も初耳だった)。
それを聞いた投稿者は、指輪を手に取り、その場でプロポーズした。最初、彼女は冗談だと思った。次に、本気だと気づいた。そして、なんとも言えない表情のまま黙り込んだので、投稿者は断られる覚悟を決めた。返事は、はい、だった。事情がまるで飲み込めていない店員から、これがドッキリなのか本気なのか判断しかねる顔のまま、小さな祝福を受け取った。
承諾の直後、彼女は三つだけ文句を言った
一つ、買う前に聞いてくれて助かった。断っていたら、高い買い物が丸ごと無駄になっていたから。二つ、指輪が大きすぎるのでサイズ直しに出さないといけない。三つ——プロポーズするなら、こちらがちゃんと爪を整えている日を選んでほしかった。全部冗談で、あの場の空気をやわらげるための言葉だった。サイズ直しと爪の手入れが済んだら写真を上げる、と投稿者は書いている。「まるで不条理な海外ドラマの一話みたいだ」と誰かに言われたそうだが、本人もまったく同感らしい。
海外の反応
1. やらかし名無しさん
「もう指輪を渡すしかない」。そこ以外に選択肢が無いと思い込んでいる時点で、相当あわてているのが伝わってくる。まず話せ。落ち着いて、順番に話せ。
2. やらかし名無しさん(>>1への返信)
「今の状況を直す方法が指輪しか思いつかない」——大人なんだから言葉を使え。ちゃんと説明すれば、たぶん全部丸く収まる程度の話だぞこれ。
3. やらかし名無しさん
次回予告。投稿者、卓上ロールプレイングゲーム(紙とサイコロで遊ぶ対面型のゲーム)のキャラクター名を決めたくて、彼女に「赤ちゃんの名前の候補ってある?」と聞いてしまう。そして半年後、また同じ掲示板に戻ってくる。
4. やらかし名無しさん
さらっと「義理の両親」って書いてるけど、まだ結婚してないよね? その一語だけで、もう半分は入籍しているようなものだと思うんだが。
5. やらかし名無しさん(>>4への返信)
本人の中ではとっくに家族なんだよ。呼び方だけが本音を先に漏らしているパターンで、こういうのは周りから見ると一番わかりやすい。
6. やらかし名無しさん
先延ばしにするな。健康管理用の指輪だったと今すぐ言え。そのうえで「結婚の話が消えたわけじゃない、今じゃないだけだ」と添えておけ。そもそも恥ずかしいのは「指輪といえば婚約指輪しかない」と思い込むほうであって、サイズを知りたがることじゃない。
7. やらかし名無しさん
彼女に指輪のサイズを聞く。この一手を指した先で何が起きるか、一度くらい読まなかったのか。チェスでいえば、初手でいきなり王手を宣言しているようなものだぞ。
8. やらかし名無しさん(>>7への返信)
逆に読めていたらこの投稿は存在しないので、我々は読めなかった彼に感謝すべきなのでは。
9. やらかし名無しさん
しかも残酷な事実として、スマートリングのサイズ表記は普通の指輪の号数と一致しない。つまりこれだけの犠牲を払って手に入れた「6〜7」は、最初から使えない情報だった。
10. やらかし名無しさん(>>9への返信)
だからメーカーは、サイズ確認用のプラスチック製の輪っかを何本も送ってくる。数日つけ比べて決める仕組みなので、メジャーの出番は最初から一度も無かったんだ。
11. やらかし名無しさん
婚約指輪じゃなくて健康管理用の指輪だよ、と正直に言えばいい。そのうえで「でも君がプロポーズだと思ってくれたのは、これまでの人生で一番うれしい勘違いだった」と付け足しておけ。それで十分だ。
12. やらかし名無しさん
君の名前はチャンドラーか、それともロスか。海外ドラマ『フレンズ』に出てくる、恋愛のこじれた勘違いを毎回やらかす二人のことなんだが。
13. やらかし名無しさん
明るい面を見よう。彼女がわざわざ親に報告したということは、少なくとも君と結婚することに反対ではないわけだ。……よかったな? 健闘を祈る。
14. やらかし名無しさん
問題を解決するために婚約指輪を渡すな。彼女と人生を一緒に過ごしたいから渡すんだ。この程度の行き違いすら話し合えないなら、うっかり始まった結婚生活のほうが先に持たなくなる。
15. やらかし名無しさん(>>14への返信)
そのうえで「いつかはそうしたい」と本当に思っているなら、正直に言えばいい。今回の騒ぎは、本番のプロポーズのときに笑い話として使える最高の持ちネタになる。
16. やらかし名無しさん
追記を読んだ。逃げずにちゃんと話したのは偉い。それに対して「じゃあこれ、私を追跡するための指輪ってこと?」と冗談で返せる彼女、普通に人間ができすぎている。
17. やらかし名無しさん(>>16への返信)
がっかりした気持ちを見せないまま冗談に変換するの、一番やさしくて一番せつないやつだ。彼女の株がここで一気に上がった。
18. やらかし名無しさん
やるならやる、やらないならはっきり言う。彼女はもう答えを待つ側に立たされてしまったんだから、宙ぶらりんのまま置かれるのが一番きつい。そこだけは早めに決めてやってくれ。
19. やらかし名無しさん
追記2で完全にひっくり返った。返品カウンターからそのまま宝石売り場へ流れて、彼女が冗談で指差した指輪でその場でプロポーズ。脚本家でもこの筋書きは書かないぞ。
20. やらかし名無しさん(>>19への返信)
「婚約指輪の試着は縁起が悪い」と断られた直後に本番へ持っていったの、流れが完璧すぎる。試着しないという言い伝え、中南米では割とまじめに信じられているらしい。
21. やらかし名無しさん
彼女の返しがいちいちうまい。「買う前に聞いてくれてよかった、断ってたらお金が無駄になってたし」「サイズが大きすぎる」「プロポーズするなら、こっちが爪を整えてる日を選んでほしかった」。この人と結婚するのは、たぶん正解だと思う。
まとめ
記念日にスマートリングを贈ろうとしただけの男が、指輪のサイズを聞いたせいで婚約寸前まで追い込まれ、正直に打ち明け、そして数日後、返品カウンターの先にある宝石売り場で本当にプロポーズしてしまった。コメント欄の助言は最初から最後まで「まず話せ」で一貫していたが、話した結果ここまで転がるとは誰も予想していない。サイズの測り方を間違えた話が、「そもそも付き合っているのか」から始まった二人にいちばん似合う結末になった。
元ソース: 彼女に指輪のサイズを聞いてやらかした

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