車を離れたのは、ほんの十数秒だった。海外の掲示板に投稿された今回の話は、家の玄関のドアを閉めるために運転席を降りた母親が、振り返った瞬間に自分の車が動き出しているのを見た、という体験である。しかも中には子どもが2人乗ったまま。見えているのに、手が届かない。読んでいるこちらまで息が詰まるが、先に書いておく——子どもたちは全員シートベルトをしていて、無傷だった。
※注:アメリカの家の「私道」は、玄関前から前面道路までをつなぐ自宅敷地内の通路のこと。日本の1台分の駐車スペースと違って十数メートル以上あることも珍しくなく、道路に向かって緩い下り坂になっている家も多い。また、原文にある「フットボール場ぶんの距離」はアメリカンフットボールの競技場の長さのことで、日本語にすると約100メートルにあたる。
何をやらかした?
📌 私道をバックで出ようとしていた投稿者は、家の玄関のドアが開けっぱなしなのに気づいて車を降りた。後部座席では2歳のマーベリック君がおもちゃのかごと格闘していたので、ドアを開けてかごを取り上げ、ドアを閉め、振り返った。その瞬間、子ども2人を乗せた車が、無人の運転席のまま私道を後ろ向きに滑り出していた。シフトレバーがパーキングに入りきっていなかったのである。車は自宅の庭のフェンスを突き破り、さらに3枚のフェンスをなぎ倒して、約100メートル先の角の柱でようやく止まった。子どもたちは2人ともシートベルトをしていて、どこにも怪我はなかった。
事の発端
少し遅れていた、いつもどおりの朝
投稿者は子ども2人を車に乗せて、出かけるところだった。時間には少し遅れていて、頭はもう次の予定に向かっている。後部座席では2歳のマーベリック君がおもちゃのかごを相手に不機嫌になっていて、そちらも気になる。本人はのちに「急いでいて、ほとんど何も考えないまま車を出そうとしていた」と振り返っている。誰にでもある朝の風景で、特別なことは何も起きていない。バックで私道を出ようとしたそのとき、家の玄関のドアが開けっぱなしなのが目に入った。閉めてこよう——それだけのことだった。
アメリカの私道は、日本の駐車場より長くて、傾いている
ここで、この話の舞台を頭に入れておきたい。日本の感覚では、家の前の駐車スペースは車1台ぶんで、動き出したところで数十センチの話である。ところがアメリカの住宅では、玄関から前面道路まで十数メートル以上ある私道が普通にあり、しかもその多くが道路に向かって緩い下り坂になっている。つまり、いったん転がり始めた車には、止まる理由が何一つない。この地形の差が、このあと起きたことの大きさをそのまま決めてしまった。
やらかしの一部始終
振り返ったら、車が動いていた
投稿者は車を降り、マーベリック君のドアを開けておもちゃのかごを取り上げ、ドアを閉めた。そして振り返った。悲鳴が聞こえたのはそのときである。自分の車が、子ども2人を乗せたまま、後ろ向きに私道を下っていた。シフトレバーがパーキングの位置まで入りきっていなかったのである。手応えとしてはいつもどおりで、運転席を離れる時点では、それに気づくきっかけが何一つなかった。
ドアは開けられた。それでも乗り込めなかった
投稿者は走って追いかけた。距離はまだ近く、ドアには手が届いた。実際にドアを開けることもできた。それでも、乗り込むことができなかった。車は後ろ向きに下っていて、自分は車の前側にいる。動き続ける車の前で、開いたドアにしがみつきながら運転席へ体をねじ込むのは、物理的に無理だった。しかもその間に、車はもうフェンスに当たり始めている。目の前にいて、声も顔もはっきり分かる子どもたちに、どうやっても手が届かない。投稿者はこのときのことを「本当に、心の底から怖かった」と書いている。
フェンス4枚を突き破って、角の柱で止まった
車はまず自宅の庭のフェンスを突き破り、そのまま隣の敷地へ入り、3枚のフェンスを続けざまになぎ倒しながら進み続けた。最後に角の柱にぶつかって、ようやく止まった。走った距離は、投稿者の表現でフットボール場ぶん——およそ100メートル。人が全力で走って十数秒かかる距離を、誰も乗っていない運転席の車が、子ども2人を乗せて後ろ向きに進んだことになる。
その後
結論から言えば、子どもたちは2人ともシートベルトをきちんと締めていて、どこにも怪我はなかった。この一行が、この話のすべてである。壊れたのはフェンス4枚と車の後部だけで、車はその後も普通に走った。夫と、夫の祖父が現場に出てきて、車を引き出し、倒れたフェンスを直してくれた。誰も投稿者を責めなかった。それでも、投稿者本人はまだ落ち着いていない。「もしこうなっていたら、と考えると、まだ震えが止まらない」。そして、これからは短い時間でも車を離れるときは必ずパーキングに入れ、サイドブレーキも引くと決めた、と書き添えている。
海外の反応
1. やらかし名無しさん
何より、お子さんたちが無事で本当によかった。読んでいるあいだ心臓が縮んだけれど、最後まで読んで息を吐いた。フェンス4枚が身代わりになってくれたと思うことにしよう。
2. やらかし名無しさん(>>1への返信)
本当にそれ。フェンスは直せるし、車の後ろも直せる。直せないものが一つも壊れなかったのは、結局シートベルトのおかげだったと思う。
3. やらかし名無しさん
自分も同じことをやった。子どもを保育園に送ったとき、パートナーが買ったばかりの押しボタン式の車で、ボタンを押しきれていなかったのか別のを押したのか、パーキングに入っていなかった。車はそのまま保育園の建物に、ごく静かにぶつかった。
4. やらかし名無しさん(>>3への返信)
どちらにも傷ひとつ付かずに済んだのは相当な幸運。建物が受け止めてくれる場所だったのが大きい。うちの近所でそれをやったら、坂の下まで行っていたと思う。
5. やらかし名無しさん
だから自分はサイドブレーキ(パーキングブレーキ)を必ず引く。もう考えてすらいなくて、体が勝手に動く。どの順番でやっているか聞かれても答えられないけれど、引き忘れたことだけは一度もない。
6. やらかし名無しさん(>>5への返信)
うちの車は、走行に入ったままドアを開けるとうるさいくらい警告音が鳴る。ただメーカーと年式で差が大きいので、自分の車が鳴らないタイプなら、鳴らない前提で習慣を作るしかない。
7. やらかし名無しさん
アメリカの私道は本当に長いし、傾いている家が多い。実家の私道も緩い下り坂で、動き出したら道路まで一直線だった。「ちょっとそこまで」の距離のつもりが、実際には坂を一本まるごと転がることになる。
8. やらかし名無しさん(>>7への返信)
しかも下がりきった先は道路。今回はフェンスが4枚も間に入っていたから止まったけれど、間に何もない家だっていくらでもある。そう考えると、この4枚は本当に運がよかった。
9. やらかし名無しさん
この話で一番怖いのは、見えているのに手が届かないところだと思う。ドアは開けられた、でも後ろ向きに下がる車の前側にいたら乗り込めない。想像しただけで血の気が引く。
10. やらかし名無しさん(>>9への返信)
しかも無理に飛び込もうとする方が危ないやつでもある。転んで自分が巻き込まれたら、助けられる人が一人もいなくなる。頭では分かっていても、自分の子が中にいたら足が出てしまうと思う。
11. やらかし名無しさん
40年以上前、アンカレッジで似たことをやった。夜勤明けの寝不足で、スリッパと部屋着のまま夫の手袋を届けようと車を降りたら、すでにバックに入れていたのを忘れていて、氷の上で盛大に転んだ。車は私道を下って、向かいの家の空いた私道に自分で収まった。見下ろしている夫と目が合ったので、とりあえず手袋を渡した。
12. やらかし名無しさん(>>11への返信)
落ちが完璧すぎる。走り去る車より、氷の上で転んだまま手袋を差し出している絵の方が忘れられない。無事だったからこそ40年語れる話になっているのがいい。
13. やらかし名無しさん
最近の押しボタン式の車は、走行に入ったまま運転席のドアを開けたりベルトを外したりすると、自動でパーキングに入るようになっている。まさにこういう「置き去りの車が動き出す」事故を防ぐための機能で、ここ数年で当たり前になってきた。
14. やらかし名無しさん(>>13への返信)
うちの車は2019年式だけれど、その機能は付いていない。年式が近くてもメーカーによって付いたり付かなかったりするので、付いている前提で油断しないほうがいい。取扱説明書で一度確かめておく価値はある。
15. やらかし名無しさん
「ちょっとだけ」が一番危ない。エンジンを止めて鍵を抜いて降りるのが面倒に感じる距離ほど、そのまま降りてしまう。今回みたいに玄関を閉めるだけなら、なおさらそうなる。
16. やらかし名無しさん
子どもたちがきちんとシートベルトをしていたのが本当に大きい。フェンスに4回当たって止まったなら、車内はかなり揺れたはず。短い距離でも必ず締めるのは、まさにこういうときのためなんだと改めて思った。
17. やらかし名無しさん(>>16への返信)
チャイルドシートも、正しく固定されていて初めて意味がある。今回はそれがきちんと効いた例だと思う。週末に自分の車の取り付けを見直すことにした。
18. やらかし名無しさん
自分の間抜けな話も置いておく。鍋を火にかけたまま家を出た。何も燃えなかったけれど家中が煙くて、猫がしばらく口をきいてくれなかった。上には上がいると思って、少しだけ気を楽にしてほしい。
19. やらかし名無しさん
車を降りる前に、ブレーキから足を離して、車が動かないことを一呼吸置いて確かめる。これを習慣にしてから、変な冷や汗をかくことがなくなった。急いでいる日ほどよく効く。
20. やらかし名無しさん
夫と、その祖父が、責めるより先に車を出してフェンスを直したというのがいい。事故のあとに必要なのは犯人探しではなくて、こういう手だと思う。家族としてかなり強い。
21. やらかし名無しさん
投稿者がまだ震えていると書いているのが、この話で一番誠実なところだと思う。誰にでも起こりうるし、起こらなかった未来を想像して怖くなるのも当然だ。次から必ずパーキングとサイドブレーキ、それで十分だと思う。
まとめ
玄関のドアを閉めに、ほんの十数秒だけ車を離れた。それだけで、子ども2人を乗せた車が私道を後ろ向きに約100メートル滑り、フェンスを4枚なぎ倒した。海外の反応も「よく無事だった」でまず一致し、そこから先は投稿者を責める声ではなく、自分も同じことをやったという告白と、サイドブレーキを引く・降りる前に一呼吸置いて車が動かないか確かめる、という具体的な習慣の話に流れていった。壊れたのは直せるものだけで、子どもたちを守ったのはシートベルトだった。どんなに短い距離でも、車を離れるならパーキングとサイドブレーキ。そして、子どもを乗せたまま運転席を離れない。書いてしまえば当たり前のことだが、今回の分かれ目はまさにそこにあった。
元ソース: 車をパーキングに入れ忘れてやらかした

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