「目的地は200メートル先、左方向です」11時間走ってナビが指した先に建っていたのは教会だった

「目的地は200メートル先、左方向です」11時間走ってナビが指した先に建っていたのは教会だった SNS・デジタル

「目的地は200メートル先、左方向です」。11時間走ってようやくたどり着いた村の、車一台分しかない細い路地。言われたとおりに左を見ると、そこに建っていたのは教会だった。ヨーロッパ中の留守宅を渡り歩いて暮らしている夫婦が、その日、車のナビを信じきったまま踏み抜いた落とし穴の話である。入力した村の名前は、たしかに合っていた。ただし、同じ名前の村がもうひとつあった。

※注:この夫婦がやっているのは、留守にする家の管理とペットの世話を引き受ける代わりに、その家へ無料で泊まらせてもらう仕組み。飼い主はペットホテル代が浮き、旅する側は宿代が浮く。ピレネー地方は、フランスとスペインの国境沿いに走るピレネー山脈のふもと一帯を指す。

何をやらかした?

📌 ヨーロッパ各地で留守宅とペットの世話を引き受けている夫婦が、フランス・ピレネー地方の滞在先へ向けて車で11時間を走った。ところが到着した村でナビが指し示したのは、滞在するはずの家ではなく村の教会。ホストに電話して住所を突き合わせた結果、同じ名前の別の村を目的地として入力していたことが判明する。本当の滞在先は、そこから400km先にあった。

事の発端

宿代が浮くから、ヨーロッパ中の留守宅を回っている

投稿者は妻と二人で、ヨーロッパ各地の家を渡り歩きながら暮らしている。旅行というより、これがもう生活の形そのものである。留守にする家の管理とペットの世話を引き受け、その代わりにその家へ無料で泊まらせてもらう。宿代がまるごと浮くので、移動はたいてい自分たちの車だ。

だからこの日の朝も、手順はいつもどおりだった。荷物を車に積み、必要なものを一通り確認し、家の戸締まりをして、運転席に乗り込む。カーナビに目的地の住所を入力して、発進。ここで考えることは何もない。何十回とくり返してきた出発である。

11時間の先に待っているのは、歓迎の食事と猫2匹

今回の行き先はフランスのピレネー地方。所要11時間。車での移動に慣れているこの夫婦にとっても、かなり長い部類の道のりである。

それでも気は重くない。長い運転の先には、たいてい同じ景色が待っているからだ。ホストの家族に会って、歓迎の食事をごちそうになり、家の中をひととおり案内してもらい、これから世話をすることになるペットを紹介される。今回は猫が2匹だと聞いていた。二人ともそれを楽しみに、長い道のりを走っていた。

やらかしの一部始終

「目的地は200メートル先、左方向です」

日が落ちて、あたりが暗くなり始めた頃、ようやく目的の村に入った。ヨーロッパの古い村にありがちな、車一台分の幅しかない路地が続く。対向車が来ませんようにと祈りながら、案内される方向へゆっくり進んでいく。

そこでナビが言った。目的地は200メートル先、左方向です。

速度を落として、左を見る。そこに建っていたのは、教会だった。

11時間の運転の終着点として、これほど間の抜けた光景もない。滞在先の家が教会の隣にある、という話でもなさそうだった。二人はとりあえず車を停めた。

電話の向こうのホストと、住所を突き合わせて

住所を確認しようと、ホストに電話をかけた。通りの名前を読み上げ、村の名前を確かめ、どの道から入ってきたかを説明する。ところが、いくら話しても互いの言っていることが噛み合わない。相手が言う目印が、目の前のどこにも見当たらないのである。

何度かのやりとりの末、二人はようやく事実にたどり着いた。村ごと間違えていたのだ。目的地として入力した村の名前は、たしかに正しかった。ただフランスには同じ名前の村がもうひとつあって、ナビはその片方へ、11時間かけて忠実に案内してくれていた。

本来向かうはずだった村までは、そこからさらに400km。

その後

投稿者の告白は、ここで終わっている。最後に書き残しているのは「みんな、カーナビに入れた目的地は二度確認したほうがいい」という一言だけだ。残りの400kmをその晩どう片づけたのか、電話の向こうのホストが何と言ったのかは書かれていない。

ただ、コメント欄での本人の受け答えを拾っていくと、その後の暮らしぶりは見えてくる。あの一件以来「今はものすごく慎重になった」と書き、フランスでの滞在が続いたせいでコレステロール値がよろしくない、と冗談を言っている。フランスの家々を回るのは、どうやらその後もやめていないらしい。

この夫婦がこれまでに引き受けた留守番は45件以上。イタリア、フランス、モロッコ、スペイン、ポルトガル、イギリス、スイス、ギリシャ。ホストはみないい人たちで、美しい家に何度も泊まらせてもらった、と本人は書いている。今の拠点はポルトガルの小さな町で、そこでは逆の立場も経験した。石畳の細い道が入り組んでいるせいで、訪ねてくる相手が何度も迷子になったのだ。今は分かりやすい場所の地図のピンを先に送っておいて、自分たちが車で迎えに行くことにしているという。

ナビは、入力された行き先へは正確に連れて行ってくれる。問題は、その行き先が合っているかどうかまでは面倒を見てくれないことだ。

海外の反応

1. やらかし名無しさん
ジュネーブ寄りのフランスの町に住んでいるけど、パリの近くにまったく同じ名前の町がある。あっちには動物園まであるからタチが悪い。フランスだと本当によくある話で、ついでに言うとどの町にもだいたいヴィクトル・ユーゴー通り(『レ・ミゼラブル』の作家の名前)がある。住所は郵便番号で確認するのが一番確実だよ。フランスの郵便番号は最初の2桁が県を表すから、そこを見るだけでとんでもない方向へ走っていないかすぐ分かる。

2. やらかし名無しさん(>>1への返信)
ロンドンでも同じことが起きてる。シェイクスピアゆかりの何かを見ようとして、東部のストラトフォードに降りてしまう観光客が毎年いるらしい。本命は同じ名前でも、ロンドンからだいぶ離れた内陸のストラトフォード・アポン・エイヴォン(シェイクスピアが生まれた町)のほう。

3. やらかし名無しさん(>>2への返信)
アビイ・ロードもまさにそれ。ビートルズのファンが地下鉄のアビイ・ロード駅に向かうんだけど、ジャケット写真の横断歩道があるアビイ・ロード・スタジオはそこから1時間近くかかる。というか仮に同じ道路だったとしても、道路というのは離れた場所と場所をつなぐためにあるものなんだから、駅が目当ての場所の近くにあると思い込むほうが不思議だと思う。

4. やらかし名無しさん
仕事で車を出すときは、上司に必ず郵便番号を出させることにしてる。町の名前が何だろうがどうでもいい。番号さえ合っていれば、少なくとも違う県に着くことはないので。

5. やらかし名無しさん(>>4への返信)
カーナビに郵便番号を入力するという発想が今までまったくなかった。ずっと施設名と町名で検索していた。次の遠出から試してみる。

6. やらかし名無しさん(>>4への返信)
アメリカはそれで解決してる。こっちは同じ名前の町が山ほどあって、創設者の名前だったり、その人の出身地だったり、近くの先住民の言葉(だいたい「湖」か「川」の意味)だったりで名付けられているから、全国に同じ名前が散らばることになる。しかも同じ州の中に同名の町があることすらある。州もそうならないように気をつけてはいるらしいんだけどね。

7. やらかし名無しさん
ピレネーの地元民だけど、これはうちの地方の名物みたいなものだよ。同じ名前の村同士は地図の上ではそんなに離れていないのに、あいだに谷がいくつも挟まっているせいで、実際に走ると果てしなく遠い。地元の人間だってたまに引っかかる。だからそこまで落ち込まないでほしい。救いがあるとすれば、この辺りはどの道を走っても景色がいいこと。いい滞在になりますように。

8. やらかし名無しさん
11時間も走っているあいだに、一度も住所を見返さなかったんだろうか。出発前に画面の住所と手元のやりとりを並べて見比べるだけなら5秒で済むのに、そこを飛ばすと400kmになって返ってくるわけで。

9. やらかし名無しさん(>>8への返信)
11時間運転したあとの頭で冷静な確認なんてできないよ。しかもナビは最後の最後まで自信満々に案内してくるので、疑う理由がどこにもない。人間が疑い始めるのは、たいてい目の前に教会が出てきてからです。

10. やらかし名無しさん
友人たちがF1のグランプリを見に行くのに、サーキットのあるニュルブルクリンクではなく、名前の似たニュルンベルクの宿を予約していた。390km離れてる。レース前夜なのに町がやけに静かで、理由が分からないままバーで首をかしげていたら、バーテンダーに笑われながら事実を教えられたそうだ。

11. やらかし名無しさん(>>10への返信)
うわ、それを知らされた瞬間の空気がキツすぎる。それでその一行は、ドイツに着くまでに何キロ走ったあとだったの。

12. やらかし名無しさん
私はライン地方の中世風クリスマスマーケットを目当てにシュトルベルクへ行こうとして、ナビの候補の一番上をそのまま押した結果、450km離れたハルツ地方のシュトルベルクに案内された。救いは、そっちにもちゃんと素敵なマーケットがあったこと。

13. やらかし名無しさん
2012年にアルプスへスキーに行ったときの話。全員バラバラの国から来るので、宿で落ち合う約束にしていた。夜になっても一人だけ来ない。そのうち電話が鳴って、「山が見えないんだけど」と言う。「今どこにいるの」と聞くと、降りるはずだった駅の名前を答える。「じゃあケーブルカーで上まで来て」「だから山がないの。海岸にいる。カモメが飛んでる」。似た名前の場所が2つあって、確認していなかった。翌日には無事に合流できたけど、そのあと何が起きたかはまた別の話。

14. やらかし名無しさん
兄がフランスからドイツ行きの切符を買おうとして、フランス語がまったく話せないまま窓口で頑張った結果、イタリアに着いた。

15. やらかし名無しさん(>>14への返信)
ニューヨークで空港行きの電車に乗ったときのことを思い出した。荷物を見た人が「その電車、たぶん逆方向だよ」と声をかけてくれた。あの一言がなかったら飛行機に間に合っていない。

16. やらかし名無しさん(>>15への返信)
知り合いはイギリスからアメリカへ飛んだんだけど、便の行き先はオレゴン州のポートランドで、ホテルとレンタカーの予約はメイン州のポートランドだった。大陸を横断する距離で予約が割れている。

17. やらかし名無しさん
ダイアナ元妃の親族がヒースロー空港に着いて、そのままチェルシーの試合へ向かおうとしたら、タクシーがヨークシャーのスタンフォード・ブリッジまで連れて行ってしまった、という話を聞いたことがある。チェルシーの本拠地スタジアムと同じ名前の地名が、ずっと北にあるらしい。

18. やらかし名無しさん(>>17への返信)
それはさすがに作り話っぽいな。ロンドンを知っているイギリス人の一家なら、方向が違うことに早い段階で気づくはずだよ。

19. やらかし名無しさん
話の本筋とは関係ないんだけど、留守宅とペットの世話を引き受けると宿代が浮くって、そんな仕組みが本当にあるの。旅の仕方として普通にうらやましいんだけど。

20. やらかし名無しさん(>>19への返信)
別のところで本人が書いてた。飼い主と留守番役をつなぐサイトを使っているらしい。飼い主のほうもペットホテル代が浮くから、お互いに得という話。イタリア、フランス、モロッコ、スペイン、ポルトガル、イギリス、スイス、ギリシャと、これまでに45件以上まわってきたそうで、道理で長距離の運転に慣れているわけだ。

21. やらかし名無しさん
400km離れた村に着いてしまったわけだけど、そこのチーズだって本来の目的地のチーズに負けてはいないはずだよ。フランスってそういう国だし、その一点に関してだけは損をしていない。

まとめ

11時間走った先の細い路地で、ナビが「200メートル先、左」と告げ、そこに教会が建っていた。それだけの話なのに読んでいるこちらの背筋がひやりとするのは、この失敗を防ぐ手順が「出発前に住所をもう一度だけ見比べる」で済んでしまうからだろう。コメント欄は同じ穴に落ちた人たちの告白で埋まった。サーキットから390km離れた町に宿を取ってF1を見に行った一行、クリスマスマーケットを目指して450km反対側へ案内された人、スキー場に着くはずが海岸でカモメを眺めていた友人。ピレネーの地元住民からは「谷が多いせいで、地図で近く見える村ほど実際は遠い。地元の人間でも引っかかる」という慰めが届いていた。ナビは目的地まで正確に運んでくれる。その目的地が合っているかどうかだけは、最後まで人間の担当である。

元ソース: やらかした——本当の目的地から400km離れた、名前が同じだけの村に着いてしまった

コメント