近所で生まれた半野良の子猫を、1匹だけ家に迎えた。世話係を買って出たのは、動物アレルギーを持つ22歳の男性だった。それから3週間、鼻をすする程度だった不調は少しずつ形を変えていき、ある日の午後、彼は胸の痛みで昼寝から目を覚ます。病院からの帰り道に手元へ残ったのは、5,000ドルの請求書だった。傷ついた動物は1匹もいない。傷ついたのは本人だけである。
※注:舞台はアメリカ。日本のように国民全員が公的医療保険に加入する仕組みがないため、救急でその日のうちに処置を受けただけでも5,000ドル(約75万円)規模の請求が届くことがある。窓口で数千円を払って帰る日本の感覚とは前提がまるで違う。
何をやらかした?
📌 動物アレルギーを持つ22歳が、半野良の子猫を引き取って自室で世話をしていたところ、12日かけて呼吸が悪化し、救急に運ばれた。本人は「風邪をこじらせただけ」と思い込み、市販の抗アレルギー薬を1日3錠飲みながら耐えていた。病院で示された血中の酸素の値と心拍数は、いずれも本人の想像よりずっと悪かった。子猫のほうは無傷で、いまも同じ家で暮らしている。
事の発端
大所帯で生まれた子猫を、街ぐるみで何匹か助けようとした
投稿者が住んでいるのは農業地帯の小さな集落で、飼い主のいない猫がそのへんのネズミを食べて生きているのは、それほど珍しい光景ではないという。そんな中、家の前の通りで半野良の猫が子どもを産んだ。しかも一度の出産としてはかなりの数だった。さすがに全部が生き延びるのは難しい。近所の人たちの間で「何匹かだけでも引き取ろう」という話がまとまり、投稿者の家にも1匹がやってきた。
本人の表現を借りれば「毛玉みたいな小さいやつを誘拐してきた」。体重は2kgにも満たない。かわいい。文句のつけようがない。そして家族の中で世話係に手を挙げたのが、22歳の投稿者だった。
アレルギー持ちだが、市販薬でしのげていた
ただし投稿者には動物アレルギーがある。家にはすでに2匹の動物がいて、それでもなんとか一緒に暮らしてこられたのは、母親がまとめ買いしてくる市販薬のおかげだった。アレグラ(日本でも同じ成分の市販薬が売られている、花粉症などに使われる抗アレルギー薬)を1日3錠。本人いわく、この飲み方でずっと問題なく過ごせていたそうだ。
だから今回も大丈夫だろう、と考えた。ところが実際には、この家にこれまでいた猫は避妊手術を済ませたメスばかりで、新入りの子猫だけがその条件から外れていた。本人がそれに気づくのは、ずっと後になってからである。
やらかしの一部始終
5日目に、呼吸が鳴りはじめた
子猫が来て数日すると、鼻をすするのが止まらなくなった。次に咳が出はじめ、夜もうまく眠れなくなる。子猫を自室に入れて5日目には、息をするたびにゼーゼーと音が鳴るようになっていた。
投稿者はもともと体調を崩しやすい体質だった。だから「またいつものやつだろう」と判断して、市販の咳止めを飲みはじめる。念のため病院の予約も取ろうとしたが、いちばん早い枠が10日後だった。それなら仕方ない、と予約だけ入れて、そのまま待つことにした。
この時点で、まとまって眠れるのはせいぜい数時間。息が浅くて、それ以上は眠れない。
「寝不足だから昼寝しよう」が、いちばん危なかった
最初の症状から12日目、呼吸が鳴りはじめてから7日目。投稿者は限界まで消耗していた。シャワーを浴びて何か食べようとしたが、ベッドに座って食事をするという動作そのものに体力が足りない。
本人はこのくだりに、投稿の中でわざわざ注釈をつけている。「もしいま同じ状態の人がいるなら、これは自分と同じことをするなという話です。病院に行ってください」。
だがその日の彼はそう考えなかった。「ずっとまともに眠れていないんだから、昼寝すれば少しはマシになるはずだ」。起きてからまだ2時間しか経っていない午前11時、彼はもう一度ベッドに入った。
目が覚めたのは午後4時。胸が痛かった。肺のあたりだけではなく、胸そのものが痛む。立ち上がるのもつらい。彼は電話をかけた。
「胸が痛い」と聞いて、看護助手のきょうだいがため息をついた
電話の相手は、看護助手として働いているきょうだいだった。投稿者は車の運転ができないので、そもそも自力で病院に行けない。電話越しに「胸が痛い」と聞いたきょうだいは、また大げさに騒いでいるのだろうと思ってため息をついたという。それでも、とりあえず様子を見に来てくれた。
そして家に一歩入ったところで、考えを改めることになる。投稿者の呼吸音が、離れた場所からでもはっきり聞こえたからである。家にいた妹には「肺の感染症だと思う、病院に連れていく」とだけ伝えて、二人は家を出た。
救急のベッドで読み上げられた数字
幸い、その日の救急は空いていた。受付を済ませて12分でベッドに通され、機器につながれる。そこで示された血中の酸素の値は80で、しかもまだ下がっていた。心拍数はずっと128のあたりだったという。
投稿者は、自分の消耗はそもそも寝不足ではなく血液に酸素が足りていなかったせいで、それを補おうとして心臓が働きづめになっていたのだろう、と書いている。昼寝から目が覚めたのも同じ理由だったのではないか、とも。
両親はその週ずっと家を空けていて、看護助手のきょうだいも夜9時まで仕事だった。「あのまま目が覚めていなかったら、たぶん眠り続けていたと思う」というのが、本人が投稿に書いた一文である。
その後
処置そのものは早かった。投稿者によれば「5種類くらいの薬」を入れられて、1時間ほどで普通に呼吸ができるようになったという。
では、22歳の成人男性をここまで追い込んだのは何だったのか。投稿者が説明を受けたところによると、犯人は新入りの子猫だった。猫のアレルギーの原因になるものには大きく分けて毛と、毛につく分泌物の2種類があり、その量は猫によってかなり違う。避妊手術を済ませたメスは少ない傾向があるらしい。そしてこの家にいた猫は、これまでずっと避妊済みのメスばかりだった。つまり投稿者は、たまたま「反応しにくい猫」としか暮らしたことがなかったのである。
本人の言葉を借りれば「体重2kgにも満たない生き物が夜に寄り添ってきただけで、いい大人が墓場に片足を突っ込んだ」ということになる。
いまは緊急用の吸入器を手元に置いているので、子猫はそのまま家にいられることになった。全員にとってのハッピーエンドである。財布を除いては。
海外の反応
1. やらかし名無しさん
で、その子猫の写真はどこですか。命を危険にさらしてまで面倒を見た相手の顔を、我々には見る権利があると思うんですが。
2. やらかし名無しさん(>>1への返信)
投稿者本人がコメント欄に写真を上げてました。乾燥機のフィルターから出てくるホコリの塊に目がついたみたいな見た目で、これは確かに人生を懸ける価値がある。
3. やらかし名無しさん
ペットのためなら死ねる、ってみんな軽く言うけど、あなたのはほぼ文字通りになりかけてるんだよ。そこは比喩のままでやめておいてほしかった。
4. やらかし名無しさん(>>3への返信)
それに対する投稿者の返事が「自分を好きでいてくれるペットのためなら、もう一回くらい死にかけてもいい」で、いや、そういう話をしているんじゃないんだよ。
5. やらかし名無しさん(>>4への返信)
その理屈で本当に倒れられると、こちらへの子猫の写真の供給が止まってしまうので困るんですよ。自分のためでなくていいので、我々のために生きてください。
6. やらかし名無しさん
12日間も引っ張ったのがすごい。鼻水と咳までは分かるけど、息をするたびに音が鳴りはじめた時点で、それはもう風邪の話をしていないんだよな。
7. やらかし名無しさん
自分は喘息持ちなので、3日というルールを決めている。3日経って良くならなければ、その日のうちに病院へ行く。判断を自分の体調に任せると、体調が悪いときほど判断が甘くなるので、最初から日数で切ってしまうことにしている。
8. やらかし名無しさん
1日3錠? 箱に書いてある目安は1日1錠のはずなんだが。この話のやらかしの本体、そこなんじゃないかという気がしてきた。
9. やらかし名無しさん(>>8への返信)
投稿者の返事が「箱の説明は読んでいないので、自分には適用されません」で、そういうところだよ。笑ってしまったけど。
10. やらかし名無しさん(>>8への返信)
茶化すのもいいけど、これは真面目に一度お医者さんに相談したほうがいい。市販薬でも量を増やして長く続けるのは体のどこかに負担が回るという話をよく聞く。子猫の環境を整えるより先に、そこを確認してほしい。
11. やらかし名無しさん
猫のアレルギーを抑えると言われているキャットフードがあるので、調べてみるといいかもしれない。仕組みが面白くて、まず鶏に猫のアレルギーのもとを覚えさせて、その鶏が産んだ卵の黄身を猫に食べさせる、という流れらしい。農業地帯なら、鶏を飼っている家も近所にありそうだし。
12. やらかし名無しさん(>>11への返信)
これ、うちで実際にやってる。婚約者が猫アレルギーなんだけど、フードを変えてから明らかに平気でいられる時間が伸びた。ただ普通のフードよりだいぶ高いので、鶏を確保できるならそのほうがいいのは間違いない。
13. やらかし名無しさん
冒頭の注意書きに「医療の話、死の話、そして誤字」って並べてあるの、いちばん誠実な前置きだった。実際そこそこ誤字があるところまで含めて完璧だと思う。
14. やらかし名無しさん
寝るときに寄ってこられるのがいちばんかわいいのは分かるけど、この先も一緒に暮らすつもりなら、寝室にだけは猫を入れないようにしたほうがいい。一日のうちで同じ場所に長くいるのは、結局そこなので。
15. やらかし名無しさん(>>14への返信)
投稿者はもう飼うと決めているし、吸入器も手に入れているんだよ。他人の家の猫の居場所まで外から決めようとしなくていいと思う。
16. やらかし名無しさん(>>15への返信)
手放せなんて誰も言ってないでしょ。寝室のドアを閉めるかどうかの話をしているだけで、それはむしろ猫と長く暮らすための提案なんだが。
17. やらかし名無しさん
「病院から5,000ドルの請求書を持って帰ってきた」という一文だけで、読者全員が国を特定できてしまうの、導入としてなかなか強い。正直、金額のほうがよほど心臓に悪い。
18. やらかし名無しさん
自分も似たようなことをやった。咳が2週間止まらなくて、忙しいからと放っておいたら肺炎だった。しかも診断されるまで「そのうち治る」と本気で思っていた。悪くなり方がゆっくりだと、悪くなっていること自体に気づけないんだよな。
19. やらかし名無しさん
猫のアレルギーは、同じ猫と暮らしているうちに反応しなくなることがあるらしい。自分の場合は3か月くらいゼーゼー言っていたけど、そのあとはその子に関しては平気になった。ただ家具の下にたまった毛をかき出すと、今でもきっちり反応する。
20. やらかし名無しさん
とにかく無事でよかった。ため息をつきながらも駆けつけてくれたきょうだいには、子猫と同じ回数だけ感謝を伝えてあげてほしい。あと、名前がまだ決まっていないなら「アレグラ」という有力候補があると思う。
まとめ
動物アレルギーを抱えたまま子猫の世話係を引き受け、市販の抗アレルギー薬を1日3錠飲みながら12日間耐え、最後は救急のベッドで血中の酸素の値を読み上げられることになった。子猫は無傷。投稿者は緊急用の吸入器を手に入れたので、その子はそのまま同じ家で暮らし続けている。
コメント欄は大きく三つに割れた。まず「写真を出せ」「かわいい」の一派。次に「息が鳴りはじめた時点で病院に行け」「1日3錠は多い、医者に相談してほしい」と、笑いながらもきっちり心配する一派。そして、猫を寝室に入れるかどうかで小さく揉める一派である。共通していたのは、投稿者を責める声がほとんどなかったことだった。体調がゆっくり悪くなっていくとき、悪くなっていること自体に気づけないのは、たぶん誰にでも起こる。皆さんは何日目で「これはいつもの風邪じゃない」と思いますか。

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