「そして私は、自分へのごほうびにブランチへ出かけた」子ども向けクイズゲームを公開した朝、戻るとメールが1000通以上届いていた話

「そして私は、自分へのごほうびにブランチへ出かけた」子ども向けクイズゲームを公開した朝、戻るとメールが1000通以上届いていた話 職場

1997年ごろのカナダ。公共の教育テレビ局で、子ども番組の人気クイズコーナーをオンラインゲームにしたチームは、高得点ランキングの名前欄に汚い言葉を書かれないよう、「載せてはいけない言葉」を500語以上集めて一覧にした。ところが公開日の朝、チームリーダーはその一覧を、クイズのデータと取り違えてアップロードしてしまう。子どもを守るために作った一覧が、そのまま子どもたちの画面に映し出された。約30年前の土曜の朝をふり返る告白である。

※注:TVOntario(TVオンタリオ)は、カナダ・オンタリオ州の公共の教育テレビ局。TVOKids(TVOキッズ)は、その子ども向けの放送枠。この記事では、ランキングに載せてはいけない言葉を集めた一覧を「禁止語リスト」と呼ぶ。

何をやらかした?

📌 テレビの人気クイズコーナーをもとにした子ども向けオンラインゲームを公開する朝、クイズのデータと禁止語リストを取り違えてアップロードした。画面の回転盤には、6つのジャンル名の代わりに、子どもに見せてはいけない言葉が6つ表示され、回転盤を回すたびに新しい6語に入れ替わった。投稿者がブランチに出かけていた数時間のあいだに数万人の子どもがそれを目にし、怒った保護者からのメールは1000通を超えた。

事の発端

「インターネットは教育に使えるのか」を探る仕事

話は1997年ごろにさかのぼる。投稿者は当時、カナダ最大級の公共放送局のひとつである教育テレビ局、TVOntario の「オンライン・グループ」という部署にいた。役目は、「この新しいインターネットというものが、教えることに役立つのかどうか」を確かめること。制作の責任者だった投稿者にとって、これ以上ない任務だったという。

人気コーナー「サンダーホイール」をオンラインに

当時、カナダの広い地域で、数百万人の子どもたちが毎日午後になると TVOKids にチャンネルを合わせていた。番組の合間に登場する司会者たちは、当時も今も大スターである。なかでも人気だったコーナーのひとつが「サンダーホイール」。子どもが電話で参加し、司会者がルーレットのような回転盤を回す。止まったところのジャンルからクイズが出て、子どもが答える。

チームは、これのオンライン版を作ることにした。全編がアニメーションで動く、まんが調のゲームである。ジャンルと問題はデータベース(データの入れ物)から呼び出し、ジャンル名は、扇形に区切られた回転盤の枠に重ねて表示する。ランダムに選ぶ仕組みも入れた。何度か遊びに来た子に、同じ問題が出ないようにもなっていた。動きを付けたのは、Macromedia Flash(当時のアニメーション制作ソフト)。1997年にしては最先端の作りだった。

ランキングを守るための「禁止語リスト」

子どもたちが楽しめるように、高得点ランキングも付けた。上位の点数を出した子は、もっと高い点の子が現れるまで自分の名前を載せておける。ゲームセンターのゲーム機と同じだ。

ただし、これには危険があった。名前の代わりに汚い言葉を、あの手この手で書き込む子が出てくる。公的なお金で運営されている教育機関として、それをみんなの目にさらすわけにはいかない。とはいえ、人工知能が登場する30年も前の話である。

そこでチームは、名前欄に書き込ませない言葉の一覧を、自分たちの手で作ることにした。若いメンバーが集まり、思いつくかぎりの汚い言葉と、その一語ごとに考えられるつづりの変形を、丸一日かけて洗い出した。さらにパブへ場所を移し、何杯か飲んで、一覧をもっとひどいものにした。「私たちは徹底していた」と投稿者は書く。一覧は500語を超え、どんなに口の悪い人でも読めば悔い改めそうな代物だったという。しかも、締め切りは目の前に迫っていた。

やらかしの一部始終

土曜の朝、2つのデータベースをアップロード

ゲームが終わったとき、点数が十分に高ければ、みんなが見るランキングに自分の名前を載せられる。汚い言葉は、禁止語リストに引っかかって載らない。少なくとも、そう動くはずだった。

公開予定の土曜日の朝。チームリーダーでもあった投稿者は、クイズの問題を最後にもう一度読み直し、それから公開前の最後の作業を済ませた。2つのデータベースのアップロードである。ひとつは、数百問の教育クイズとその解説。もうひとつは、英語とフランス語でこれまでに口にされた最悪の言葉の一覧だった。

「そして私は、自分へのごほうびにブランチへ出かけた」

戻ってみると、メールが1000通以上

数時間後に戻った投稿者は、わくわくしながらメールを開いた。チームからお祝いの言葉が届いているだろう。アクセスが集中してもサーバーは持ちこたえているだろうか。

ところが届いていたのは、かんかんに怒った保護者からのメール1000通以上だった。ほとんどが「誰かをクビにしろ」と求める内容で、しかも1分ごとに増えていく。なかには、あの2つ目のデータベースで覚えたのかと思うような言葉を使っているメールもあった。

どうしてそんなことができたのか、投稿者はもう覚えていない。だが、とにかく2つのデータベースを逆にしていたのだ。

回転盤を回すたびに、新しい6語

その数時間のあいだ、回転盤を回すボタンを押した人は、誰もがとんでもないものを見せられた。回転盤には、6つのジャンル名の代わりに、子どもが決して読むべきではない言葉が6つ書かれていた。もう一度ボタンを押すと、新しい6語が出る。さらに6語。また6語。

このゲームのことは、テレビで告知してあった。しかも土曜の朝である。投稿者がテラス席でフレンチトーストを食べているあいだに、どれだけ遊ばれたかは想像がつく。データベースを元に戻すまでに、数万人の子どもたちが、しゃれた新しい言葉をいくつも覚えてしまった。

その後

投稿者は、保護者たちに心をこめて事情を説明した。よりどころにしたのは「ハンロンの剃刀」(悪意のせいにする前に、うっかりや能力不足で説明できないか考えよ、という経験則)である。ありがたいことに、保護者のほとんどは、この騒ぎを誰かの悪意ではなく、投稿者の不手際のせいだと受け取ってくれた。何年もあとになって知ったところでは、警察も同じように受け取っていたという。

実際、チームがしようとしていたのは、子どもたちを守ることだった。働きづめの20代の若者たちが頭の奥底からひねり出した、あの一覧から。

投稿者いわく、子ども向けのクイズの回転盤は、ほんのいっとき「カナダでいちばん効果的な、汚い言葉の教材」になってしまった。

海外の反応

1. やらかし名無しさん
当時まだ子どもで、あの日ちょうどこのゲームで遊んでいたという人が、ここに現れてくれたら最高なんだけどな。

2. やらかし名無しさん(>>1への返信)
投稿者です。私も同じことを願っているよ。その書き込みが、どうか掲示板の神様に届きますように。

3. やらかし名無しさん
サンダーホイール、大好きだったなあ! 電話で参加して賞品をもらったこともあるんだ。豆知識が載った小さな本のセットで、すごく気に入っていた(笑)。オンライン版のこの騒ぎは見ていないんだけどね。見ていたら大笑いだっただろうな。

4. やらかし名無しさん
その禁止語リスト、控えは残っていないの? 教育目的で欲しいんだ。ここで言う教育目的とは、誰かにとびきりきつい悪口をぶつけたくなったときのため、という意味だけど。

5. やらかし名無しさん(>>4への返信)
投稿者です。残っていたらどんなによかったか。あれば額に入れて飾るよ。地下室の奥に30年前のバックアップ用のCDがあるかもしれないけど、もう読めないだろうね。そもそも、CDを読み込む機械がもう手元に無い。

6. やらかし名無しさん(>>5への返信)
30年前のバックアップって、どういうこと? 97年なんて、つい10年前の話でしょ!!

7. やらかし名無しさん(>>6への返信)
念のため言っておくと、この騒ぎを覚えていそうな当時の子どもたちは、いま30代半ばから40代前半だからね……。

8. やらかし名無しさん
公開できたのがうれしくて、ほめてもらえるつもりでブランチに出かけ、戻ったら一転、自分のしたことに青ざめる。この落差が最高だ。子どもたちのほうは、新しい言葉を覚えて大喜びだったんだろうけど。

9. やらかし名無しさん(>>8への返信)
自分は、新しいものを公開したあと30分ほどは席を離れないことにしている。トイレも食事も、公開のボタンを押す「前」に済ませるんだ。

10. やらかし名無しさん
「ねえママ、この言葉ってどういう意味?」。土曜の朝、あちこちの家でこの質問が飛んだのかと思うと、保護者に同情する。

11. やらかし名無しさん(>>10への返信)
投稿者です。しかも、同じ言葉のつづりをわざと変えた別バージョンまで、何通りもそろえてあったからね……。

12. やらかし名無しさん
30年たった今だから笑って読めるけど、あの日メールを送った保護者の気持ちも分かる。公共の教育テレビ局がテレビで告知したゲームなら、親は安心して子どもに遊ばせるものだから。

13. やらかし名無しさん(>>12への返信)
自分は9歳のころにはもう汚い言葉を使っていたよ。子どもは遅かれ早かれ、どこかで覚えてくるものだ。投稿者さんも、そんなに落ち込まないで。

14. やらかし名無しさん
おもしろいのは、公開前のテストはちゃんとやっていたらしいところ。やっていなかったのは、公開した「あと」に本番のゲームを自分で遊んでみることだけだった。

15. やらかし名無しさん(>>14への返信)
投稿者です。テストはあらゆる角度からやったよ。ただ、最後の最後の一手で私がしくじるのを防ぐ仕組みが、どこにも無かったんだ。

16. やらかし名無しさん
データを最後の最後までアップロードしていなかったのなら、どうやってテストしたの? 取り違えるところまでは分かる。でも、中身が入れ替わったのに、ゲームがエラーも出さずに動き続けたのが不思議だ。2つのデータは同じ形をしていたの?

17. やらかし名無しさん(>>16への返信)
投稿者です。データは前にもアップロードしてあったんだ。最後にもう一度読み直したら間違いが見つかったので、アップロードし直した。プログラムを書いたのは私じゃないし、30年前のことで細かいところは覚えていない。ただ、記憶が正しければ、データは項目を区切って並べただけの、文字だけの単純なファイルだった。正しいほうのデータは最初の行がどれもジャンル名で、その書式が、もう片方に並んだ言葉とまったく同じだったんだ。言い訳をさせてもらうと、私たちは文字どおり、技術そのものを作りながら進んでいたんだよ。

18. やらかし名無しさん
ソフト開発の仕事を15年以上やっている。どこの現場も手順やテストがきっちり整っていると思われがちだけど、現実は今でもまちまちだよ。90年代後半なら、行き当たりばったりの現場はもっと多かったはず。いま当たり前になっている安全策の多くは、こういう失敗があったから生まれたんだ。それに、公開の作業こそいちばん気がゆるむ。全部テストしたつもりになっているからね。うちでも経験の浅い人が更新先のフォルダを間違えて、開発用サーバーの中身をまるごと消してしまったことがある。だからこの話、自分は信じるよ。

19. やらかし名無しさん
ほぼ同じころの1998年にも、子ども向けの作文学習ソフトで似た騒ぎがあったよ。書いた文章を音声で読み上げてくれるはずのソフトが、ある条件のもとで汚い言葉を読み上げてしまったんだ。あなただけじゃない。

20. やらかし名無しさん(>>19への返信)
投稿者です。ああ、私たちだけじゃなかったんだ! いやはや……。教えてくれてありがとう。

21. やらかし名無しさん
ちょっと待って、「インターネットが役に立つかどうかを確かめる」のが仕事だったの? それって最高の仕事じゃないか。それに、TVOKids の司会者たちは本当に伝説だったよ。

22. やらかし名無しさん(>>21への返信)
投稿者です。そうなんだ。私たちに与えられた方針は、文字どおり「子どもが何かを学べる、おもしろいものを作れ」だった。絵を描く人、教育の専門家、文章を書く人、プログラマーがそろった、最高のチームだったよ。

まとめ

子どもを汚い言葉から守るための禁止語リストを、クイズのデータと取り違えて公開してしまった投稿者。コメント欄では、ブランチから戻って青ざめるまでの落差を面白がる声のほか、開発の仕事をしている人から「いまの安全策の多くは、こういう失敗があったから生まれた」という声も上がった。「公開したあと30分は席を離れない」という心がけは、フレンチトーストを注文する前に思い出したい。

元ソース: 数万人の幼い子どもたちに、人類が知るかぎり最悪の汚い言葉を教えてしまった

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