面接は、母語でやっても十分に緊張する。それを外国語で、しかも頭の中で母語から訳しながら喋るとなれば、難易度は一気に跳ね上がる。今回の投稿者は、その国で最大手クラスの法律事務所のインターン面接で、自分が打ち込んできた女性の権利活動について語っている最中だった。伝えたい中身ははっきりしていた。ただ、それを表す英語の一語だけが、どうしても出てこなかった。
※注:投稿者の国は英語圏ではないが、この面接はほとんど英語で進められた。また、この規模の法律事務所では学生インターンがそのまま採用につながる実質的な入り口になっていて、法学部生にとっては就職活動の本番に近い位置づけになっている。
何をやらかした?
📌 英語が母語ではない学生が、大手法律事務所のインターン面接で「性暴力の被害者のほうが後ろ指をさされてしまう風潮」について説明しようとした。ところが、その侮蔑のきつさまで含んだ英語の言い方がどうしても思いつかず、文の途中で10秒近く沈黙。最後は母語でいちばんきつい蔑称をそのまま口に出してしまい、面接が終わってから青ざめている。
事の発端
頭の中で翻訳しながら受ける面接
投稿者の国は英語圏ではない。それでも大手法律事務所の選考ともなると、やり取りはほぼ英語で進む。母語で考えたことを英語に組み直しながら喋る、という二重作業が会話中ずっと走り続けている状態だ。面接官は2人。序盤は問題なく進んでいた。
聞かれたのは、学生団体での活動のこと
中盤に入って、面接官の1人が投稿者の学生時代の活動に触れた。投稿者は学部内で立ち上がった団体に参加し、女性の権利のために活動していた経歴がある。どんな問題を訴えてきたのか、なぜそれが重要だと思うのか——面接官はそこを具体的に掘り下げてきた。
志望動機や人となりを見るにはいちばんいい質問で、投稿者にとっても本来は得意な話題だったはずである。答えたテーマは、インターネット上で女性が標的にされる暴力だった。
やらかしの一部始終
説明したかったのは、被害者のほうが責められる構造
投稿者が伝えようとしたことは、いたって真っ当な内容だ。自分の国では、性暴力の被害に遭った女性に対して、加害者ではなく被害者の側を「身持ちが悪い」「汚れている」と見なす空気がいまだに根強い。だからこそ、その空気そのものと闘う必要がある——そういう話である。日本でも被害者バッシングという言葉で語られる、あの構造だ。
問題は、その「見なされ方」を英語でどう言うかだった。世間が被害者に投げつけている言い方を、投げつけられているままの強さで再現しないと、話の芯が伝わらない。柔らかく言い換えれば角は立たないが、同時に「これは侮辱として使われているんです」という肝心の部分が抜け落ちてしまう。
10秒の沈黙のあとに出てきた一語
投稿者は文の途中で完全に止まった。本人の記憶では、たっぷり5秒から10秒。面接の場での10秒は、体感ではもっと長い。あまりに固まっていたので、面接官のほうから「母語で説明してもらってもかまいませんよ」と助け舟まで出されたという。
それでも投稿者は英語で押し切ることを選んだ。そして結局、母語で使われているいちばんきつい蔑称を、そのまま英語の文の中に落として口に出した。同じ含みを持つ言い方が、どうしても他に思い浮かばなかったからである。真面目な話を、真面目に伝えようとした結果だった。
その後
面接が終わり、部屋を出て、頭が冷えたところで投稿者は青ざめた。志望度が高かったからこそ、なおさらだ。学生にとっては第一志望クラスの就職先であり、その入り口である面接で、公の場ではまず口にしない類の言葉を自分から出してしまったことになる。
あの一語で全部台無しになったのではないか。使わなくて済む言い方が、本当はあったのではないか。投稿の時点では結果はまだ出ておらず、彼はひたすら自分の口を悔やんでいる状態だった。
ただ、この告白を読んだ人たちの受け止め方は、本人の悲観とはかなり違っていた。
海外の反応
1. やらかし名無しさん
文脈を考えれば、たぶん大丈夫だと思う。あなたは誰かを罵るためにその言葉を使ったんじゃなくて、世間がどういう言葉を被害者に投げつけているかを説明しただけだ。
2. やらかし名無しさん(>>1への返信)
しかも「どんな問題に取り組んでいたのか」と具体的に聞いてきたのは面接官のほうだからね。実際に使われている言葉を引用しただけの人が責められる筋合いはない。
3. やらかし名無しさん(>>2への返信)
法律の世界で働いている人間なら、もっとひどい言葉は日常的に耳にしている。書面にも証言にも普通に出てくるんだから、あの程度で眉をひそめる面接官がいたらむしろ驚くよ。
4. やらかし名無しさん(>>3への返信)
耳にしているどころか、その手の言葉が飛び交う事件を仕事として引き受けている人たちだよ。面接室で聞いた単語ひとつで動揺していたら、たぶん仕事にならないよ。
5. やらかし名無しさん
あなたは他人がやっていることを報告しただけで、自分の意見として誰かを貶めたわけでも、場を驚かせて注目を集めようとしたわけでもない。この線引きは、聞いている側にもちゃんと伝わっているはずだ。
6. やらかし名無しさん
というか、その文脈でその単語が出てきたことを落ち着いて受け止められる程度には、大人であってほしい。相手は法律事務所の採用担当であって、大学のサークルの飲み会ではないんだから。
7. やらかし名無しさん
自分が面接する側だったとして、あの話の流れでその言葉が出てきても一切気にならない。むしろ現場で何が起きているのかを具体的に説明できる学生だと受け取る。抽象論だけ並べる人よりずっといい。
8. やらかし名無しさん(>>7への返信)
面接する側をやっている人間として同意する。取り繕わずに現実を話せるのは長所だよ。それで落とすような事務所なら、入ったあとも息苦しいだろうから、こっちから見限っていい。
9. やらかし名無しさん
自分は、その場に必要だけれど強すぎる言葉を使うとき、「言葉遣いが乱暴で失礼します」と一言だけ挟むようにしている。これだけで引用なのか自分の意見なのかの区別がはっきりして、話がなめらかに進む。
10. やらかし名無しさん(>>9への返信)
英語には「Pardon my French」という決まり文句がある。直訳すると「フランス語で失礼」だが、実際は「お下品な言い方をしてすみません」という意味の前置きだ。指で引用符を作る仕草を添えれば、自分の言葉ではないと伝わる。
11. やらかし名無しさん(>>10への返信)
それをやった直後に、面接官が本当にフランス人だったというオチが待っている可能性もあるけどな。
12. やらかし名無しさん(>>10への返信)
個人的には、あの前置きは汚い言葉そのものより軽薄に響くことがあると思っている。真面目な話をしている最中なら、素直に「不快な言い方になりますが」と断ったほうが伝わる。
13. やらかし名無しさん
うちの妻はカナダのケベック出身なんだが、英語で話しているときに「英語で失礼」と前置きしてから、フランス語の罵り言葉を機関銃みたいに並べてくる。前置きの意味が完全に失われている。
14. やらかし名無しさん(>>13への返信)
あの地域の罵り言葉は教会関係の単語ばかりなんだよな。祭壇に置く聖なる箱だの、儀式で配るパンだの、教会の道具の名前がそのままきつい言葉になっている。英語圏の罵倒が下ネタと体の部位に寄っているのと比べると、その文化で何が抑え込まれてきたかがそのまま出ていて面白い。
15. やらかし名無しさん
言い換えるなら「性的にふしだらだと決めつけられる」くらいの表現でも意味は通ったと思う。ただ、それだと世間が実際に投げつけている言葉のきつさは伝わらないので、悩ましいところではある。
16. やらかし名無しさん(>>15への返信)
そこなんだよな。上品に言い換えた瞬間に「これは侮辱として使われている」という肝心の部分が消える。何と闘っている団体なのかを説明する場面なら、生々しさを残した判断のほうが正しかったと思う。
17. やらかし名無しさん
面接官が「母語で説明してもいいですよ」と言ってくれたのに英語で押し切ったの、律儀すぎて逆に好感が持てる。そこは甘えてよかった場面だけど、その粘り方は仕事でもそのまま出るところだよ。
18. やらかし名無しさん
厳しいことを言うと、法律事務所を目指すなら語彙は増やしておいたほうがいい。言葉を選ぶことそのものが商売になる場所だから、そこは今回の反省として持っておいて損はないと思う。
19. やらかし名無しさん
自分だったら、単語よりも5秒から10秒の沈黙のほうが気になる。でもよく考えたら、適切な言葉を探して黙り込んだ沈黙って、何も考えずに喋る人より誠実に見えるんだよな。
20. やらかし名無しさん
いい知らせがある。あなたのことは面接官の記憶にしっかり残った。今日会った学生を全員思い出せる面接官なんていないけれど、あなたは確実に思い出してもらえる側だ。
21. やらかし名無しさん
自分は本当に面接での失言で落ちたことがある。あれは完全に文脈の外だったから自業自得だ。でもあなたのは、聞かれたことに答えた結果の言葉選びなので、話がまったく違う。落ち着いていいと思う。
まとめ
母語ではない言語で、それでも中身のある話をしようとしたときに起きた事故だった。伝えたかったのは「被害者のほうが責められてしまう空気を変えたい」という真っ当な主張で、そのためにどうしても必要だったのが、いちばん口にしたくない一語だったという皮肉。海外の反応はほぼ「その文脈なら何の問題もない」で一致し、法律の世界ならもっとひどい言葉を毎日扱っている、という指摘も相次いだ。一方で「ひと言だけ前置きを挟めば印象は変わる」という実用的な助言や、「言葉を選ぶ仕事を目指すなら語彙は鍛えておけ」という辛口も出ている。結果はまだ分からないが、少なくとも面接官の記憶には確実に残ったはずである。


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