「MacBookを無料であげます。送料だけ負担してください」——大学のサークルのチャットにそんな投稿が流れてきたら、あなたはどうするだろうか。今回の投稿者はニュージーランドに住む19歳の女性。手元のパソコンはもう限界で、送料だけなら、と手を挙げた。そこから彼女は、貯金のほぼ全額にあたる約8万円を、一度も届かない荷物のために払い続けることになる。しかも本人は、途中で何度も「これ、詐欺じゃないよね?」と確認していた。
※注:Discordは、サークルや友人グループが連絡に使っている通話・チャットアプリ。PayPalの「友人・家族宛て送金」は、手数料がかからない代わりに、買い物の補償(品物が届かなかったときの返金保証)がまったく効かない送金方法で、商品代金をこれで払うと支払った側には何の保護も残らない。金額は1ニュージーランドドル=約90円、1米ドル=約150円で換算した。
何をやらかした?
📌 ニュージーランド在住の19歳の女性が、通っている大学のサークルのチャットに投稿された「MacBookを無料であげます」に応募。送料45米ドル(約7,000円)だけのはずが、「配送所での追加料金」「返金手数料」と請求が続き、最終的に900ニュージーランドドル超(約8万円、貯金のほぼ全額)を支払った。品物は一度も届いていない。
事の発端
壊れかけのパソコンと、サークルのチャットに流れてきた投稿
先週のことだ。投稿者が入っている大学のサークルのチャットに、あるアカウントが書き込みをした。「MacBookを無料であげます」。しかも、家のいろんな場所に置いたMacBookの写真が何枚も添えられていた。机の上、ソファの脇、キッチンのカウンター。いかにも「実際に自分が持っている一台を手放そうとしている人」に見える写真だった。
投稿者は19歳の女性。使っているパソコンはかなり古く、あちこち動かなくなり始めていた。学生にとってパソコンは課題を出すための命綱で、買い替えたいけれど、そのお金はない。そこへ「無料であげます」である。しかも見ず知らずのネットの海ではなく、自分が所属しているサークルのチャットに流れてきた投稿だ。ここが一番の落とし穴だった。同じサークルの中にいる人の投稿なら、と、警戒の目盛りが最初から一段下がってしまう。
「送料の45ドルだけ払ってくれればいい」
手を挙げた投稿者に、相手はこう言った。品物はタダでいい、ただ送料だけ負担してほしい。金額は45米ドル、日本円にして約7,000円ほど。ニュージーランドの学生にとって決して軽い額ではないが、まともなノートパソコンが手に入るなら、と考えれば飲み込める範囲ではある。
ここで相手が指定してきたのが、PayPalの「友人・家族宛て送金」だった。振り込む側からすると手数料がかからないので一見お得に見えるのだが、実際には「これは買い物ではなく個人間のやりとりです」と自分から申告しているのと同じで、品物が届かなくても返金の申し立てができなくなる。投稿者はのちに、これを1つ目の危険信号だったと振り返っている。ただし、その意味を19歳がその場で理解できたかというと、それはかなり酷な話だ。
やらかしの一部始終
写真は届いた。だから、信じた
投稿者は投稿者なりに、ちゃんと疑っていた。「自分は賢く立ち回っているつもりだった」と本人は書いている。詐欺かどうか確かめるために、MacBook本体の写真を送ってほしいと要求したのだ。相手はあっさり写真を送ってきた。届いた写真を見て、投稿者は納得し、送金した。
——けれど、これは確認になっていない。写真を要求されて困るのは、写真を持っていない人だけだ。手口として最初から用意されている側は、何枚でも出してくる。ネットから拾った画像でもいいし、そもそも一台を実際に持っていて、それを何十人にも見せているだけかもしれない。「証拠を出せ」と言われて証拠が出てきたことで、投稿者の中の疑いは、むしろこの時点で消えてしまった。
「配送所で追加料金が発生しまして」
ここからが2つ目の危険信号だ。相手が「配送所に着いた」と連絡してきたあと、追加料金の話が始まった。金額はそのたびにバラバラで、しかしどんどん積み上がっていく。梱包の費用、保険の費用、国際便の手数料——理由をつけては請求が飛んでくる。
投稿者は、もう一度確認しようとした。今度は配送所の写真を送ってほしい、と。写真を求めて、写真が来て、また払う。この繰り返しである。本人の言葉を借りれば「もう引き返せないところまで来てしまった気がした」。すでに払った分を取り戻すには、あと一回払うしかない。そう思わされる構図に、完全にはめ込まれていた。
そしてついに、次の請求に応じられなくなった。手元のお金が尽きたのだ。投稿者は相手に、配送をキャンセルして返金してほしいと頼んだ。この時点で払った額は約700ニュージーランドドル、日本円で6万円強。貯金のほとんどだった。
「返金します。ただし返金手数料を先に」
3つ目の危険信号は、ここで顔を出した。相手はこう答えた。返金するには手数料がかかるので、その分を先に送ってほしい——。
いま冷静に読めば、誰でも「そこで止まれ」と言いたくなる場面だ。だが投稿者はもう追い詰められていて、返ってくるかもしれない唯一の道がそれだと言われれば、すがるしかなかった。「打ちのめされて、必死だった」と本人は書いている。手数料を払い、あとは待った。相手には状況を逐一報告しながら、待った。
待って、待って、待った。お金は、一円も戻ってこなかった。
その後
投稿者はそこで一度、腹を括った。自分はやらかした。お金はもう戻ってこない。そう認めて、失ったことと折り合いをつけた。ここで話が終わっていれば、痛い授業料で済んだかもしれない。
ところが投稿当日、相手からまた連絡が来る。「郵便局に行って、局長になぜ返金が届いていないのか聞いてきた」。そして——4つ目の危険信号——また追加のお金を要求してきたのだ。
今度は投稿者も抵抗した。嘘じゃないなら請求書を見せてほしい、と食い下がったのだ。相手が出してきた請求書は見るからに怪しく、届くまでにやたら時間もかかった。それでも投稿者は、最後にもう一度だけ折れてしまう。「今度こそすぐに返金する」という言葉を信じて、さらに約200ニュージーランドドル(約1万8千円)を送った。すぐには、当然ながら戻ってこなかった。
合計で900ニュージーランドドル超、約8万円。19歳の貯金はほぼ空になり、荷物は一度も存在しなかった。投稿者はこの話を、身元が分からないように作った使い捨ての匿名アカウントから書き込んでいる。恥ずかしくて友人には一人も相談できず、それでも誰かに言わずにはいられなかった、ということだ。文章はこう締めくくられている。「本当に自分が馬鹿だと思う。みんなは元気ですか?」
海外の反応
1. やらかし名無しさん
まず引っかかるのがそこなんだけど、なんで別の国に住んでる人が、あなたの大学のサークルのチャットにいて配り物をしてるの。物を配る相手を、わざわざ海の向こうから選ぶ理由がないんだよね。
2. やらかし名無しさん(>>1への返信)
たぶん招待リンクが外に流れてて、部外者が普通に入ってきてたんだと思う。ああいうサーバーって管理が緩いところが多いから、「中にいる=身元が確かな人」には全然ならない。
3. やらかし名無しさん
最初の分かれ道は写真じゃなくて、PayPalの「友人・家族宛て送金」を指定された時点だったと思う。あれは手数料が浮く代わりに、品物が届かなかったときの返金申請の権利をこちらが自分から捨てる送金方法だから。
4. やらかし名無しさん(>>3への返信)
そうそう。買い物なのに友人宛てで送ってと言われたら、それは「補償を消してから払ってください」と言われてるのと同じ意味なんだよね。ここだけは覚えて帰ってほしい。
5. やらかし名無しさん
写真を要求したのは、確かめようとした行動だから責められない。ただ残念ながら、写真を求められて困るのは写真を持ってない人だけなんだ。この手の相手は写真フォルダを最初から用意してる。
6. やらかし名無しさん(>>5への返信)
まだできることがあるとすれば、送られてきた画像をそのまま画像検索にかけること。まったく別の出品や別の国のページで同じ写真が出てくることが本当によくある。
7. やらかし名無しさん
鉄則その1、うますぎる話はだいたいうますぎる。鉄則その2、話の途中で追加のお金を求められたら、そこで断る。ネットで買い物をする以上は必要な額だけ入れた専用のカードを一枚作っておくのが一番安全だと思う。
8. やらかし名無しさん
「穴に落ちたことに気づいたら、まず掘るのをやめろ」という言葉がある。この人生の知恵、本日200ドルでお譲りしますよ。
9. やらかし名無しさん(>>8への返信)
というか自分に100ドル送ってくれれば、失ったお金を全額取り返してあげられますよ。信じてください。……念のため書いておくと冗談です。この文章がまさに、そっくりそのままの手口だという話ね。
10. やらかし名無しさん
これ、心理学でいうサンクコストの誤謬そのものなんだよな。「ここまで払ったんだから、いま引いたら全部無駄になる」という気持ちが、いちばん高くつく。7,000円で降りるより8万円払うほうを選ばせるのがこれ。
11. やらかし名無しさん(>>10への返信)
そしてこの手の詐欺は、その心理を狙って設計されてる。最初の請求をわざと安くして、あとから小刻みに増やしていくのは全部そのため。引っかかった人が愚かだったんじゃなくて、そう転ぶように作られてる。
12. やらかし名無しさん
「返金しますね、まずは返金手数料を払ってください」。……ここで止まれていたら、と読みながら思ってしまった。でも実際、追い詰められてると人の判断力って本当に落ちるから、他人事だとは思えない。
13. やらかし名無しさん
実務的な話をすると、まずPayPalと自分の銀行の両方に連絡してほしい。友人・家族宛て送金だと補償の対象外なのは事実だけど、記録を残す意味はある。ニュージーランドならNetsafe(ネット被害の相談窓口)にも通報を。
14. やらかし名無しさん(>>13への返信)
補足で、相手のアカウント名とやりとりの画面を全部保存しておいて。腹が立って消したくなるけど、通報するときも大学に報告するときも、残ってる記録がそのまま武器になるから。
15. やらかし名無しさん
ひとつ警告しておくと、この手の連中は「引っかかった人」の連絡先を仲間内で共有する。一度払った人はまた払う可能性が高いと知られているので、これから来る知らない連絡には全部気をつけて。
16. やらかし名無しさん(>>15への返信)
特に多いのが「詐欺被害の回収を代行します」という連絡。同じ相手か、その仲間が名前を変えて来てるだけのことがほとんど。手数料を先に払わせる時点で、もう答えは出てる。
17. やらかし名無しさん
今からでもいいから、大学とサークルの運営に報告してそのアカウントを追い出してもらってほしい。同じチャットに何十人もいるなら、次の誰かが同じ目に遭う。あと、応募する前にサークルの誰かに「これ本当?」と一言聞ければ最強だった。
18. やらかし名無しさん
自分も20歳のとき、行きたかったライブのチケットで4万円くらい溶かした。当時は世界で自分だけが馬鹿なんだと思ってたけど、大人になるほど「実は自分も」と言い出す人が周りにどんどん出てきたよ。
19. やらかし名無しさん
大半の人は人生のどこかで一度は引っかかる。授業料としては高すぎるけど、この経験があると「うますぎる話」と「危険信号が多すぎる話」に対して一生ぶんの嗅覚がつく。次にお金が貯まったとき、その額があれば十分に使える中古のノートパソコンが普通に買えることも、覚えておいてほしい。
20. やらかし名無しさん
19歳で貯金が全部飛ぶのは本当にきつい。しかも恥ずかしくて誰にも言えないのが一番こたえるやつだ。ここに書いてくれてありがとう、と言いたい。これを読んで踏みとどまる人が絶対にいるから。
まとめ
「無料のMacBook」に応募した19歳が、送料・追加料金・返金手数料と払い続け、貯金のほぼ全額にあたる約8万円を失った話。海外の反応は、責める声よりも手口を分解する声が圧倒的に多かった。危険信号は4回あった。友人・家族宛ての送金指定、届いてもいないのに増える請求、返金のための前払い、そして「もう一回だけ」の追加請求。写真を求めたのに引っかかったのは、確認が甘かったからではなく、確認できたことで安心してしまう順番に手口が組まれていたからだ。「ここまで払ったんだから」——この一言が頭をよぎったら、そこがもう穴の底だと思っていい。

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