南米の街の、日が落ちきった帰り道。声をかけてきた男が、すぐ近くで何かを小声でつぶやいた。うまく聞き取れなかった投稿者は、身長185センチの体を少しかがめて、ごく丁寧にこう聞き返したという。「すみません、なんて?」——結果として、面食らったのは相手のほうだった。数年前にペルーのアマゾン地域を訪れたニュージーランド出身の旅行者が、危ない場面を「うっかり」通り抜けてしまった夜の話である。
※注:イキトスはペルーのアマゾン川流域にある街で、周囲をぐるりと密林に囲まれているため陸路では入れず、船か飛行機でしか行けないことで知られている。また赤道に近い土地では、日が傾き始めてから真っ暗になるまでがとても短く、夕暮れがゆっくり続く日本の感覚でいると、思わぬ時間に夜が来て面食らうことがある。
何をやらかした?
📌 アマゾンの自然保護区を見に行ったニュージーランド出身の旅行者が、暗くなった帰り道で見知らぬ男に「金を出せ、さもないと刺す」と小声で告げられた。ところが聞き取れず、身をかがめて「すみません、なんて?」と丁寧に聞き返してしまう。相手は完全に固まり、言い直したところで意味を理解した投稿者が思わず声を張り上げ、男は走り去った。本人は今も「素直にお金を渡したほうがずっと安全だった」と反省している
事の発端
船か飛行機でしか行けない街へ
投稿者はニュージーランドの出身で、本人いわく海外旅行の経験はそれほど多くない。そんな彼が数年前に向かったのが、ペルーのイキトスだった。アマゾン川流域にある街で、目当ては近郊にある自然保護区。熱帯林と川の生き物をこの目で見てみたい、という、旅行としてはまっすぐな動機である。
不慣れだったのは土地勘のほうだ。街を歩いていても、自分と似たような身なりの旅行者を見かけることはほとんどなかった。そこに185センチという身長が加わるので、どこにいても良くも悪くもよく目立つ。本人いわく、立っているだけで嫌でも人目を引いてしまう状態だったという。要するに、初めて来た土地で、自分がどこから見ても「外から来た人」だと分かってしまう状況だったわけだ。
日が沈むのが、思っていたより早かった
そして油断していたのが、日没の速さだった。赤道の近くでは、太陽が地平線に対してほぼ真上から落ちてくるので、夕方の残り明かりがだらだら続かない。空が赤らんだと思った直後には、もう手元が見えない暗さになっている。
日本やニュージーランドの、じわじわ暗くなる夕暮れに慣れた体感でいると、この切り替わりの速さは完全に不意打ちになる。投稿者もそこで足をすくわれた。まだ大丈夫だろうと思っているうちに周囲は真っ暗になり、宿までの道のりを暗い中で歩いて帰るはめになったのである。
やらかしの一部始終
「うちの店を見ていかないか」
暗い道を歩いていると、ひとりの男が近づいてきた。この先の路地に自分の店があるから見ていかないか、というのが最初の誘いだった。声のかけ方は愛想がよかったが、指さした先は明かりのない細い路地である。
ここは投稿者もさすがに分かっていた。「自分もそこまで馬鹿ではないので」と本人が書いているとおり、丁寧に断って、そのまま歩き続けた。すると男は次に、寄付をしてほしいと言ってきた。これも丁寧に断った。ここまでは、旅先でありがちなやり取りの範囲である。
「すみません、なんて?」
ところが三度目のひと言だけ、それまでと調子が違った。男は声を落として、こうつぶやいたのだ。「金を出せ。さもないと刺す」
——投稿者には、これがまったく聞こえなかった。周囲は暗く、相手の声は小さく、そして本人は「相手が何か言いたいことがあるらしい」としか思っていない。そこで彼が取った行動が、この話の核心である。背の高い自分に合わせて相手が話しづらいのだろうと、投稿者は少し身をかがめ、耳を寄せて、丁寧にこう聞き返した。
「すみません、なんて?」
脅している側からすれば、たまったものではない。刃物をちらつかせるつもりで絞り出した一言に対して、返ってきたのは聞き返しである。投稿者いわく、この瞬間の男は「ヘッドライトに照らされた鹿」のような顔で固まっていたという。逃げるでもなく、凄むでもなく、ただ完全に止まってしまったのだ。
男がもう一度、今度ははっきり同じ言葉を口にしたところで、投稿者の頭にようやく意味が届いた。理解した瞬間に体が勝手に動き、彼は思わず大声で叫んでいた。「刺して金を奪ったりするか!」——男はその場から走り去り、何も起きないまま終わった。
その後
結果だけ見れば、投稿者は無傷で、財布も無事だった。ただ本人は、この夜の自分をまったく武勇伝だと思っていない。投稿の最後にはっきり、こう書いている。正直あれは愚かな行動だった、素直にいくらか現金を渡していたほうが、はるかに安全だった、と。
そのとおりだろう。相手が本当に刃物を持っていたのかどうか、投稿者は最後まで確かめていない。大声が効いたのはたまたまであって、同じ状況で相手が逆上していたら、旅先の病院で目を覚ますことになっていた可能性は普通にある。財布の中身と自分の体を天秤にかけるまでもない、というのが本人の結論である。
そのうえで、この話がどうしても笑ってしまうのは、投稿者自身が「うっかり相手を子ども扱いしてしまった」と要約している点だ。脅そうとした側が、丁寧に聞き返されて出鼻をくじかれる。狙ってやったのなら大した度胸だが、本当にただ聞こえていなかっただけ、というところに味がある。
海外の反応
1. やらかし名無しさん
脅し文句を丁寧に聞き返された強盗の気持ちを考えてしまった。あそこで一番きついのって、たぶん刺されることじゃなくて「もう一回言ってください」って言われることだと思う。
2. やらかし名無しさん(>>1への返信)
言い直しって、脅しにいちばん向いてない行為だよね。二回目はどうやっても迫力が落ちる。「……あの、やっぱりいいです」で撤収したくなる気持ちが分かってしまう。
3. やらかし名無しさん
「すみません、なんて?」って、そこまでして礼儀を通すんだ。ニュージーランドの人はみんなこうなんですか。礼儀正しさでよくネタにされるカナダ人の、南半球版みたいな話だ。
4. やらかし名無しさん(>>3への返信)
ニュージーランド出身って書いてあるけど、対応がとにかくイギリス的すぎる。刃物をちらつかされても、まず聞き返す前に謝るところから入っているのが本当にすごい。
5. やらかし名無しさん
皮肉なことに、本当に身の危険がある場面では、相手に向かって大声を出すのは有効な手のひとつではある。怒鳴られて平然としていられる人は少ないし、騒ぎになって誰かが割って入るリスクを嫌って立ち去る相手も多い。ただし、金を出せと要求されている段階なら、素直に渡すのが賢い判断なのは間違いない。
6. やらかし名無しさん(>>5への返信)
それ、相手を驚かせてしまったときが怖いんだよな。本当はやる気がなかった相手でも、黙らせるために今やってしまおう、という方向に転ぶことがある。
7. やらかし名無しさん(>>6への返信)
自分が言ったのは「何をしても襲われる状況なら」という前提の話で、金を渡せば終わる場面のことじゃないよ。そこは切り分けたほうがいい。
8. やらかし名無しさん(>>6への返信)
投稿者です。自分が身を置いた危険って、結局あの叫んだ一回だけだったと思う。今回はたまたま効いたけど、要するに数千円を失うのと、旅先の外国の病院で目を覚ますのと、どっちがマシかという話ですよね。答えは考えるまでもない。
9. やらかし名無しさん
数年前にアルゼンチンで似たことがあった。中心街からホテルまで歩いて戻る途中、思ったより早く暗くなって、そこで男に金を要求された。虫の居所が悪かったので、反射的に不機嫌な声で「いや」とだけ言って歩き続けたんだよ。運よく少し先にパトカーが現れて、相手はそのまま離れていった。心臓が暴れ出したのはそのあとで、ホテルに着くまでずっと手が震えていた。
10. やらかし名無しさん(>>9への返信)
強盗のほうが小声で「え、それ断れるの?」って戸惑ってる場面が見える。手順どおりに進まないと、脅す側もどうしていいか分からなくなるんだろうな。
11. やらかし名無しさん
タンザニアでサファリに行ったとき、ンゴロンゴロ(巨大なくぼ地がまるごと自然保護区になっている場所)の中をガイドの運転で回っていた。人の姿なんてほとんど見ない場所なのに、遠くから別の車が猛スピードで近づいてきて、目の前で停まった。降りてきた二人がガイドと言い合いを始めて、ガイドが英語で「金を出せと言っている」と伝えてきたんだ。
12. やらかし名無しさん(>>11への返信)
それでどうなったのか気になりすぎる。観光客の多い場所ほど、当局に本気で追われるようなことは避けたいはずだから、その場でひと稼ぎしたかっただけなのかもしれないね。
13. やらかし名無しさん
軍にいた友人が、仲間とメキシコのティファナで刃物を持った男に囲まれたことがある。酔っていた一人が柔術のつもりで蹴りを繰り出そうとして、あっさりふくらはぎを刺されて、結局そのまま全員の金を持っていかれた。正解はいつだって、現金を放り出して走ることだよ。
14. やらかし名無しさん(>>13への返信)
細かい話で申し訳ないけど、柔術には蹴り技はないはずなんだ。まあ教訓としては何も間違っていないので、そこは置いておこう。
15. やらかし名無しさん
高校の同窓会の夜、妻とちょっと着飾って会場まで歩いていたら、男がしつこく金をせびってきた。無視して歩いても、どんどん強気になってくる。とうとう足を止めて向き直り、「あのな、俺は結婚してるんだぞ。金なんかあるように見えるか?」と言ったら、相手は軽く肩をすくめて去っていった。
16. やらかし名無しさん
今の妻が、昔ニューヨークで夜中に良からぬ相手に絡まれたときの話。その場で急に体を大きく震わせて、「触らないで、私は病気なの」とか、意味の通らないことを口走り始めたらしい。相手はすっかり怖がって走って逃げていったそうだ。
17. やらかし名無しさん
ここは映画『クロコダイル・ダンディー』の名台詞、「それはナイフじゃない、こっちがナイフだ」を出す場面では。まあ相手が本物を持っている状況で言える度胸があれば、の話だけど。
18. やらかし名無しさん(>>17への返信)
いや、ここは「それはナイフじゃない、ただのスプーンだ」で押し通してほしい。相手の頭を完全に混乱させて撤退させる作戦、今回の投稿者の方針とも合っている。
19. やらかし名無しさん
「刺して金を奪ったりするか!」——のちに刺されて金を奪われた男の言葉。という墓碑銘が一瞬浮かんでしまった。今回は本当に何事もなくてよかったです。
20. やらかし名無しさん
まず相手の調子を崩す、というのは確かに理にかなってはいる。ただ今回のは狙ってやったわけじゃなくて、素で聞き返しただけというのが全部だよね。狙ってできる技じゃないので、真似はしないほうがいい。
まとめ
暗い路地で「金を出せ、さもないと刺す」と小声で脅されたのに、聞き取れずに身をかがめて「すみません、なんて?」——相手のほうが固まって逃げていった、という夜の話。コメント欄には各国での似た遭遇談が並び、「大声が効くこともある」「いや驚かせたら余計に危ない」と手法の議論も起きたが、最後は投稿者本人の一言に落ち着いた。財布の中身と自分の体なら、迷わず財布を差し出すほうがいい。うまくいったのはただの運で、教訓のほうは笑い話にせず持ち帰るのがよさそうだ。
元ソース: 強盗のセリフを聞き間違えてやらかした


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