毎朝、同じ時間に、同じ店で、同じものを買う。ただそれだけのことが、ある日を境に少しずつ居心地の悪いものに変わっていった。窓口の店員は、もう注文を聞いてこない。目も合わせないまま、片手に商品、片手に決済端末を差し出して、ただ笑っている。——今日こそ、この流れを断ち切ってやる。そう決めた朝が、彼にとって長い戦争の始まりだった。
※注:ここでいうドライブスルーのカフェは、車に乗ったまま注文して受け取れる店のこと。海外では通勤途中に立ち寄る定番で、行列は数十秒で流れていく。決済端末は、カードやスマホをかざして支払うタッチ式の機械で、窓口から差し出される。
何をやらかした?
📌 仕事の都合で引っ越して4ヶ月、投稿者は毎朝同じドライブスルーのカフェでアイスラテとチーズクロワッサンを買っていた。やがて店員は注文を聞かなくなり、無言で商品と決済端末を差し出すようになる。「お前は退屈な男だ」と言われている気がした彼は、ある朝「今日は水だけ」と宣言して流れを断ち切った。ところが翌日から店員は一転して丁寧になり、「いつもの」がまったく通じなくなる。パンの種類から追加の有無まで、毎朝一から確認される日々がもう2週間続いている。
事の発端
左折2回で着く、完璧に決まった朝
投稿者の平日の朝は、寸分たがわず同じである。起きて、歯を磨いて、シャワーを浴びて、着替えて、荷物をまとめて、車に乗る。そこから左に2回曲がれば、いつものドライブスルーのカフェに着く。仕事の都合でこの土地に越してきて4ヶ月、彼はこの順番を一度も崩していない。この店のチーズクロワッサンとアイスラテが本当に気に入っていて、本人いわく「一日にエンジンをかけるために欠かせない」ものだった。要するに、心から満足していたのである。ここまでは、誰にも文句のつけようがない気持ちのいい話だ。
数日で、車ごと覚えられていた
異変——というより好意は、通い始めて数日で始まった。朝番の店員が、彼の車を覚えたのである。最初は「おはようございます!今日も一日いけますか?」だった。次に「またどうも!アイスラテとクロワッサンですよね?」に変わった。この時点では正直、悪い気はしなかったと本人も書いている。顔を覚えられ、好みを把握され、名前を呼ばれないまま歓迎されるのは、引っ越してきたばかりの人間にはむしろありがたい。そして挨拶はさらに短くなり、やがて「はい、いつもので?」になった。ここまでは、まだ会話だった。
やらかしの一部始終
無言で差し出された、商品と決済端末
ところがある朝、あの連中はとんでもないことをやってのけた。列に並んで窓口までたどり着くと、店員はもう決済端末を構えていて、しかもこちらを見てすらいない。片手に飲み物と焼きたてのパン、もう片方の手に端末。そして例の笑みである。ひとことも交わしていないのに、その場にいる全員が話の中身を完全に理解していた。投稿者にはこう聞こえたという。「お前は退屈な男だな、坊や。俺はお前より、お前のことを知っている」。以来1ヶ月、彼は自分の口で注文をしていない。短縮された「どうも」か、笑顔と「はいどうぞ」だけ。彼はただ、自分の運命を受け取り続けていた。
「あ…いや、今日は水を」
そして先週。いつもどおり窓口に車をつけると、商品はすでに用意されていて、店員がそれを差し出そうとしていた。片手には輝かしいクロワッサンとラテ。もう片手には決済端末。——今日は違う。今日は言う。今日こそこの忌々しい流れを断ち切る。「あ…いや、今日は…水を」。「は?」。「そう!今日は水だけで、お願いします」。店員は信じられないという顔で彼を見た。裏切りは、見ているこちらの腹にこたえるほどだったという。店員はいったん窓の奥へ引っ込み、投稿者はその場から一歩も引かなかった。
「本当に、他に何も要らないんですか?」
戻ってきた店員は、水のボトルを手にこう言った。「こちらはお店のおごりです」。まるで、失った信頼をここで買い戻そうとするかのように。「ああ、どうも」。それでも店員はしばらくその場に立ったまま、じっとこちらを見ていた。気が変わるのを待っていたのである。「本当に、他には何も要りませんね?」。「ええ、間違いなく。良い一日を」。打ちひしがれた声で「そちらも!」。こうして彼は、勝利者として戦場を後にした。少なくとも、この時点では完全にそのつもりだった。
その後
翌日、彼はまた同じ窓口に並んだ。店員はどうやら教訓を学んだらしく、今度はきちんと「何になさいますか」と聞いてきた。よし、と思いながら彼は答えた。「いつもので」。店員がにやりと笑う。「いつもの、ですか?」。彼は目を見開いた。「……はい?」。「申し訳ありません、念のため確認させてください。ラテと、あとは?」。「クロワッサン…」。「タイム、白チーズ、ターキーのどちらになさいますか?」。「白…」。「追加のトッピングはいかがいたしますか?」。「え? いや…いつものやつで」。「もちろん存じております。念のためです」。——なんてことをしてしまったんだ。あれから2週間近く。以前は数秒で抜けられたドライブスルーが、今では永遠に感じられる。そして店員は、彼の顔を見るたびに毎回にやりと笑う。「戦闘には勝った。だがあの野郎は、戦争に勝った」。それが本人の締めくくりだった。なお投稿者は、コメント欄で「作り話だろう」と疑われた際に店の名前まで挙げて反論しており、さらにこうも書き残している。「今の俺たちには、猫とネズミみたいな特別な絆がある。次にどう仕返ししてやるか、もう考えているところだ。この小競り合いが、正直ちょっと楽しみになっている」。
海外の反応
1. やらかし名無しさん
正しいやり方はこうです。まずその日の分をいつもどおり受け取る。そのうえで「明日はちょっと違うものにするので、いつものは用意しないでくださいね」と伝えておく。そして翌日、堂々と水を買う。手順を一段飛ばしたのが敗因です。
2. やらかし名無しさん(>>1への返信)
ひとこと言えば済んだ話なんだよな。ただ正直に言うと、そのあと店員がにやにやしながら質問攻めにしてくるくだりは百点満点だと思っている。毎朝来る常連にささやかな仕返しをする権利くらい、接客業にはあっていい。
3. やらかし名無しさん
ドライブスルーのコーヒー屋で働いていて常連さんも山ほどいるけど、正直こちらは「この人また来たな」くらいしか考えていません。全員の注文を覚えるのは無理だと思っていたのに、なぜか勝手に覚えてしまうんですよ。不思議です。そしてだいたいの常連さんのことは普通に好きです。
4. やらかし名無しさん(>>3への返信)
つまり「お前は退屈な男だ」という部分は全部この人の自意識で、店員のほうは何も言っていないどころか何も思っていなかった可能性があると。急に切ない話に見えてきた。
5. やらかし名無しさん
はっきり言って自業自得だと思う。特に理由もないのに、積み上がっていた信頼と呼吸の合い方を自分から壊したわけで、その結果が返ってきているだけの話です。
6. やらかし名無しさん(>>5への返信)
接客する側にいたことがあるから分かるけど、あれは一度崩れると本当に元には戻らない。悪気があったかどうかは関係なく、空気が一段リセットされてしまう。
7. やらかし名無しさん
向こうは水をおごってまで関係を修復しようとしたのに、それでも2週間ずっと確認地獄が続いているんですよね。これはもう接客ではなく、判決を言い渡されて服役している状態だと思う。
8. やらかし名無しさん(>>7への返信)
「タイム、白チーズ、ターキーのどちらに?」がいちばん効いている。1ヶ月同じものを渡し続けてきた人間が知らないわけがないので、完全に分かったうえで聞いている。
9. やらかし名無しさん
毎朝顔を合わせているカフェの人に「こいつ退屈だな」と思われている気がする、というのはちょっと分かる。しかもこの人の場合、そのクロワッサンが本当にうまいから通っているだけなんですよね。
10. やらかし名無しさん
昔、通勤路に小さなパン屋があって、朝4時半に歩いているところをお店のおばあさんに見つかってから、毎朝ドーナツとコーヒーを窓のところに用意しておいてくれるようになりました。開店は6時なのに、です。お金を置いて袋を取るだけの十数秒が、あの頃の一日でいちばん良い時間だった。ある日そこは閉まっていて、それきり開くことはなかった。あれは間違いなく特権だったと思う。
11. やらかし名無しさん(>>10への返信)
いい話すぎて、逆に今回の投稿者の立場がどんどん悪くなっている。この人はその「特権」を、自分の手で解約届を出して手放したわけですからね。
12. やらかし名無しさん
「こうして彼は、勝利者として戦場を後にした」という一文の自己評価の高さで完全に笑ってしまった。水を1本もらっただけの人間が、どうしてここまで壮大な気持ちになれるのか。
13. やらかし名無しさん(>>12への返信)
しかもその翌日には全面降伏しているのが最高なんですよ。勝ち鬨を上げてから24時間以内に、注文の仕方を一から教え直されている。
14. やらかし名無しさん
店員側の心の動きを想像すると、なかなかつらいものがある。1ヶ月かけて完璧に仕上げた段取りが、朝いちばんで「水」のひとことで崩れるわけです。あの一瞬の「は?」に全部が詰まっている。
15. やらかし名無しさん
覚えてもらえるのって普通に好意なんですよ。あれは店員が客をなめているんじゃなくて、この人の朝を1秒でも短くしてあげようとしていただけだと思う。
16. やらかし名無しさん(>>15への返信)
それは分かる。ただ、あまりに完璧に先回りされると「読まれている」感じが出てきて、急に自分の生活が単純な作業に見えてくる瞬間があるのも本当。好意と圧が同じ形をしているのが厄介なところです。
17. やらかし名無しさん
話の運びがうますぎて、正直ちょっと出来すぎでは? と思ってしまった。日記としては面白いけど、会話の間の取り方まで完璧に覚えているのが少し引っかかる。
18. やらかし名無しさん(>>17への返信)
毎朝2週間くり返し同じ質問をされていたら、さすがに台詞は覚えると思いますよ。むしろ被害額ゼロでオチが「注文に時間がかかるようになった」だけというしょぼさが、作り話にしては地味すぎる。
19. やらかし名無しさん
投稿者本人が「猫とネズミみたいな絆ができた」「次の仕返しを考えている」と書いているのを見て、この人もう完全に楽しんでるじゃないかと思った。被害者の顔をしているが、そうではない。
20. やらかし名無しさん(>>19への返信)
毎朝の通勤に張り合いが生まれたのなら、これは負けたことになるんでしょうか。少なくとも、無言で商品を受け取っていた1ヶ月より今のほうが人生が濃い気はする。
21. やらかし名無しさん
今回の教訓は「習慣を変えるときは事前に予告しろ」に尽きます。相手はこちらの明日の予定まで組み込んで動いてくれているので、黙って変えると迷惑ではなく事故になる。
まとめ
毎朝の「いつもの」を先回りされ、それが「お前は退屈な男だ」と言われているように思えてきた投稿者が、ある朝「今日は水だけ」と宣言して流れを断ち切った。勝ったつもりでいたら、翌日から常連の特権をきれいに剥奪され、パンの種類から追加の有無まで一から確認される毎朝が始まった——被害額ゼロ、失ったのは数十秒の時短だけという、実に平和なやらかしである。海外の反応は「事前にひとこと言えば済んだ」という手順論と、「覚えてもらえるのは好意だったのに自分で捨てた」という惜しむ声、そして現役のドライブスルー店員による「こちらは本当に何も考えていません」という身も蓋もない証言で三分された。相手が良かれと思ってやってくれていることほど、断ち切るには作法が要るという話だった。
元ソース: やらかし:毎朝の習慣を断ち切ってしまった


コメント