新婚旅行の目玉は、東京ドームの巨人対阪神だった。前の年の11月に結婚したアメリカ人の男性は、韓国と日本を回る旅のために何か月も準備を重ね、9月12日の一戦のチケットを4枚押さえていた。自分たち夫婦のぶんと、東京に住む友人2人のぶんである。券の管理は自分が引き受けた。そして男性は、その4枚をアメリカの自宅に置いたまま飛行機に乗った。
※注:StubHub(スタブハブ)は海外最大手のチケット売買サイトで、個人が持っている券を出品して売買できる。今回の4枚もここで買った中古の券で、紙の券が投稿者のアメリカの自宅へ現物で郵送されていた。/記事の後半に出てくる「チケジャム」は、日本国内で同じように個人間のチケット売買を仲介するサービス。
何をやらかした?
📌 結婚したばかりの男性が、韓国・日本を回る新婚旅行の目玉として、9月12日の東京ドーム 巨人対阪神のチケットを4枚用意していた。ところが紙の券をアメリカの自宅に置き忘れたまま出発。ルームメイトに部屋中を探してもらっても見つからず、試合に間に合う郵送もできなくなった。妻は落ち込み、東京で待つ友人2人にも顔向けできない状態になっている。
事の発端
何か月もかけて組み立てた、韓国と日本の新婚旅行
投稿者夫婦が結婚したのは前の年の11月。そこから何か月もかけて、韓国と日本を回る新婚旅行の計画を練ってきた。行き先も日程も少しずつ詰めていった中で、本人が「旅のいちばんの目玉のひとつ」と位置づけていたのが、日本での1日だった。9月12日、東京ドームでの読売ジャイアンツ対阪神タイガース。
日本の野球になじみのない人向けに補足しておくと、この巨人対阪神という組み合わせは、日本のプロ野球でいちばん歴史が古く、いちばん客が入るカードで、「伝統の一戦」と呼ばれている。しかも9月ともなればシーズン終盤で、席の取り合いも激しくなる時期だ。海外から日本の野球を観に来る人が、数ある試合の中からわざわざこの1試合を選んだというだけで、けっこう真面目に下調べをしているのが伝わってくる。
券は4枚。東京にいる友人2人のぶんも自分が押さえた
買ったのは4枚だった。自分たち夫婦の2枚と、東京に住んでいる友人2人のぶんである。海外から来る新婚夫婦と、日本で暮らす友人。新婚旅行のついでに久しぶりに顔を合わせて、そろって東京ドームで試合を観る——投稿者にとってそれは、旅程の中でも指折りの楽しみだった。友人たちとのグループチャットには、届いた券を撮った写真も送っている。
そしてこの4枚は、投稿者が「自分が責任を持って管理する」とはっきり引き受けたものだった。ここが後で効いてくる。夫婦のどちらが持つかが曖昧なままなら、まだ言い訳の余地もあった。だが今回ばかりは、券の担当が誰なのかが最初から決まっていたのである。
やらかしの一部始終
紙の券は、太平洋の向こうの自宅に置いてきていた
今回のチケットは、スマホの画面で入場する電子データではなく、紙の現物だった。投稿者はこの4枚をStubHubで買っており、出品者から自宅へ郵送で届いていたからである。日本のプロ野球でも電子チケットは主流になりつつあるが、転売サイトを通じて個人から買う場合や、コンビニの端末で発券する券種では、いまも紙の券が現物としてやり取りされる。まして海外在住だと、日本の店頭で受け取ること自体ができない。だから4枚は紙のまま、アメリカの自宅に届いていた。
そして投稿者は、その4枚を家に置いたまま飛行機に乗った。気づいたのは、もう旅の途中である。
ルームメイトが部屋をひっくり返しても出てこない
すぐにアメリカに残っているルームメイトへ連絡し、部屋を探してもらった。投稿者の表現を借りれば「部屋をひっくり返して」もらったのに、4枚はどこからも出てこない。「地球上から消えてしまったみたいだ」と本人は書いている。見つからない以上、当然ながら試合に間に合うように日本へ送ってもらうこともできない。
投稿者は投稿者で、宿の部屋も荷物も片っ端から確認した。コメント欄で「まずスーツケースを三重に確認しろ。何か平たくて硬いものに挟んで、実は持ってきているかもしれない」と言われて、実際にやっている。結果は空振りで、本人いわく「ホテルの部屋は台風が通ったあとみたいになった」。
買い直しも、再発行も、道が全部ふさがっていた
では買い直せばいい、という話になるのだが、これも詰んでいた。まず、売り出されている券は完売。次に、買った先のStubHubに問い合わせても「こちらの手を離れている」という回答だった。そして東京にいる友人たちが確認したところ、日本は転売の規制が厳しいため、あの4枚の代わりを発行してもらうことはできないという。あの特定の4枚でなければ入れない、ということだった。
補足しておくと、日本には2019年に施行されたチケット不正転売禁止法があり、興行主が指定した券を、定価を超える値段で無断で転売することは禁止されている。そのぶん国内の売買サイトも取引の記録や本人確認に慎重で、券の再発行についても簡単には動かない仕組みになっている。海外の感覚で「事情を話せば何とかしてくれるだろう」と思っても、そう都合よくはいかなかったわけである。
その後
妻は「いろいろな段階の落ち込み方を順番に通過している」と投稿者は書いている。怒り、悲しみ、諦めが順ぐりに来ている、という意味だ。友人2人は表向き「気にするな」と言ってくれているが、投稿者は自分が期待を裏切ったことを分かっている。しかもこの件が、旅の残りずっと頭の上にのしかかりそうだった。本人がまとめとして最後に書いた一行が、「妻は怒り、男どもはしょんぼり」である。
ただ、話はここで終わらなかった。投稿を読んだ人たちが、次から次へと実用的な助言を書き込んだからである。日本の売買サイト「チケジャム」に同じ試合の出品がまだ残っているという情報が寄せられると、投稿者は「やってみる」と即答した。「東京ドームの窓口で事情を話してみろ、券の写真は残っているんだろう」という助言もあり、実際に投稿者は友人へ送った券の写真を1枚だけ持っていた。13日と14日には神宮球場でヤクルトの試合があると教えられ、「14日は日程的に無理だけど、13日は調べてみる」とも答えている。
そしてもうひとつ。「いつか元の4枚が出てきたら、額に入れて飾れ。こんな小さいことを結婚生活に引きずらせなかった記念品になる」という助言に対して、投稿者はこう返している——「これで妻が笑ってくれた。ありがとう。絶対にそうします」。この一件で、その日はほんの少し明るくなったそうだ。
海外の反応
1. やらかし名無しさん
とりあえず球場か販売元に連絡してみた? 支払いに使ったカードの情報から、どの席の券だったか照会できる場合がある。日本の球場は記録がしっかりしている印象なので、たどれる可能性はゼロじゃないと思う。
2. やらかし名無しさん(>>1への返信)
投稿者が答えてた。券はStubHubで中古で買ったもので、紙の現物がアメリカの家に郵送されていた。StubHubは「もう当方の手を離れている」の一点張り、東京の友人が確認したところ日本は転売の規制が厳しくて代わりの券は出せない、あの4枚でないと入れないとのこと。
3. やらかし名無しさん(>>1への返信)
販売サイトと球団は別ルートだから、球団のほうにも直接連絡してみるといい。知り合いの話だけど、新婚旅行でアメフトのチケットを買ったら現地で使えない券だと判明して、球団の担当者が出てきて特別室に案内してくれたことがあった。まぐれ当たりなのは分かってる。それでも、聞かないと何も始まらない。
4. やらかし名無しさん(>>3への返信)
これは本当に試す価値がある。自分も妻の誕生日にグラウンドへ入れる特別なパスを用意したのに、当日の受け取り窓口に記録が残っていなかった。案内された相談窓口で事情を説明したら、時間はかかったけどちゃんと入れてくれた。窓口の人は思っているより融通を利かせてくれる。
5. やらかし名無しさん
チケジャムという日本の売買サイトを見てみて。その試合の出品がいくつか残ってる。日本にいる間にアプリを入れれば買えるし、受け取り方法によってはコンビニの端末で紙の券として発券できるから、手元に残る形の券も手に入るよ。
6. やらかし名無しさん(>>5への返信)
実際に見たら1万円くらいの席がけっこう出てる。日本円だとぴんと来ないかもしれないけど、だいたい100ドルだ。シーズンの大一番になりうる試合の席が、その値段で買えるならまったく悪くない。全部が終わったわけじゃないよ。
7. やらかし名無しさん(>>5への返信)
買うときは席の位置だけ気をつけて。日本の球場はホーム側とビジター側で応援席がはっきり分かれていて、巨人側の席で阪神のユニフォームを着ていると、脱ぐか移動するかをお願いされることがある。4人並びが取れなければ2枚ずつ2組でもいいので、応援する側は必ずそろえること。
8. やらかし名無しさん
順番に片づけよう。1、スーツケースをもう3回確認する。ガイドブックや書類の間に挟んで、無意識に持ってきている可能性がある。2、見つからないなら4枚買い直す。並びで取れないなら2枚ずつでいい、全員が試合を観られればそれでいい。3、いつか元の券が出てきたら額に入れて飾る。これくらいのことを夫婦の間に引きずらせなかった記念品になる。
9. やらかし名無しさん(>>8への返信)
投稿者本人からの返事がついてた。1は実行済み、残念ながら空振り。2は完売していて難しいけれど、まだ望みは捨てていない。そして3を読んで妻が笑ってくれたので、それが今日いちばんありがたかった、絶対にそうします、とのこと。いい助言だったと思う。
10. やらかし名無しさん
念のため、パスポートを1ページずつめくってみてほしい。大事なものほど「なくさないように」と思って、パスポートに挟んだまま忘れる人は本当に多い。自分は搭乗券を挟んだまま3日間探し回った前科がある。
11. やらかし名無しさん(>>10への返信)
これに追加で、平たくて硬いものは全部チェック対象。ノートパソコンのケース、ガイドブック、機内で読んだ雑誌、パスポートケースの奥。紙の券は薄いから、挟まると本当に見えなくなる。荷物を全部ひっくり返す前に、まずその4か所を見たほうが早い。
12. やらかし名無しさん
現地の友人2人がいるのは大きな強みだと思う。日本の球場は当日券が出ることがあるし、公式の再販売の枠に急なキャンセルが流れてくることもある。日本語で手続きできる人が2人もいるなら、その2人に売り出しを見張ってもらうのがいちばん確実じゃないかな。
13. やらかし名無しさん
当日、東京ドームの窓口で事情を説明してみるのは絶対にやったほうがいい。券の写真を撮っていないか? 少なくとも一度は自分がその券を持っていた証拠になる。同情してもらえるとは限らないけど、もっと変な話が通った例をいくつも知っている。
14. やらかし名無しさん(>>13への返信)
東京ドームは規模が違うから同じにはならないかもしれないと前置きしたうえで言うけど、日本や韓国の球場で働いている人たちは、自分が今まで行った大規模なイベントの中でいちばん親切だった。韓国では2回表に窓口へ行ったら、試合が始まっているのにわざわざ担当の人が出てきて席まで案内してくれて、飲食券と帽子と応援旗までもらった。日本では安い席を買おうとしたら上の席に案内された。自慢したいわけじゃなくて、事情を説明できる相手にたどり着ければ、向こうは驚くほど何とかしようとしてくれるという話。
15. やらかし名無しさん
SNSで球団と販売元の両方に呼びかけてみるのも手だと思う。新婚旅行、海外から来た夫婦、目玉だった一戦。話としてきれいすぎるくらいなので、広報の担当者の目に留まったら何か動くかもしれない。ダメでもこちらは何も失わない。
16. やらかし名無しさん
12日がどうしてもダメだったときの逃げ道も作っておこう。13日と14日は神宮球場でヤクルトの試合がある。ここは1926年からある古い球場で、東京ドームとはまったく雰囲気が違うし、あれはあれで一度は観ておく価値がある。野球を観るという目的は果たせる。
17. やらかし名無しさん
水を差すようで申し訳ないんだけど、これで新婚旅行が台無しというのは少し大げさじゃない? 韓国と日本を何週間もかけて回る旅で、失われたのは1日の午後だけだ。今すごく落ち込んでいるのは分かるけど、5年後に思い出すのはたぶん試合じゃなくて旅そのものだと思う。
18. やらかし名無しさん(>>17への返信)
野球を本気で観る人にとっては、これでもかなり抑えた反応のほうだよ。年に一度あるかどうかのカードを現地で観るために日程を組んでいたわけで、その1試合が旅の設計の中心にあった。落ち込む権利くらいはあると思う。もちろん、そこから立て直せるかは別の話だけど。
19. やらかし名無しさん
少しは気が晴れるかもしれない話をひとつ。友人の結婚式でハワイに行ったとき、新郎が予約担当だった前夜祭の会場に着いたら、みんな外で立ち尽くしていた。新郎が予約したのは別の月、下手をすると別の年だった。結局は数日後に取り直せて、前夜祭が後夜祭になっただけで済んだ。担当を引き受けた人は、だいたい一度はこれをやる。
20. やらかし名無しさん
今後のために書いておくと、この手のチケットは本人確認が必要ないことが多くて、出品者から受け取り用の番号と必要な情報をもらえば、現地のコンビニで自分で発券できる。しかも当日に発券してもいい。自分は8月14日のイベントの券を、10日にコンビニで印刷した記録が残っている。わざわざ国際郵便で紙を送ってもらう必要はなかったんだ。
21. やらかし名無しさん
投稿と、友人とのやりとりを読んだ。この人のためなら自分も同じことをするな、と思える書きぶりだった。友人たちが笑い話にしてくれているなら、それは本気で怒っていない証拠でもある。あとは奥さんの機嫌が直るのを、真面目に土下座しながら待つだけだ。うまくいくことを祈ってる。
まとめ
新婚旅行の目玉として押さえた東京ドームの4枚を、太平洋の向こうの自宅に置いてきてしまった話だった。コメント欄は責める声よりも、球団の窓口に相談しろ、日本の売買サイトを見ろ、当日券を張れ、現地の友人に頼れ、という実用的な助言でほとんど埋まっていた。担当を引き受けた人が一度は経験する類のやらかしだからこそ、みんな他人事に思えなかったのだろう。券が見つかったら額に入れて飾ってほしい。

コメント