30人以上を面接して、ようやく手応えのある候補者に出会えた採用面接。候補者を見送った直後、IT企業でマネージャーを務める投稿者は、同席した開発リーダーと上司を呼んだ通話の第一声で、ナチスを笑いものにした有名コメディ映画の名ゼリフを、渾身の物まねで叫んだ。「あれこそ我らがヒトラーだ!」。開発リーダーは笑った。映画を知らない上司は、通話が終わるまで黙り込んだままだった。
※注:『プロデューサーズ』は、アメリカの喜劇人メル・ブルックスが監督した1968年のコメディ映画。落ち目の舞台プロデューサーと気弱な会計士が「わざと大コケする最低のミュージカルを作れば、集めた出資金を持ち逃げできる」と企み、いちばん客を怒らせそうな題材として、ヒトラーをたたえる劇(劇中劇『春の日のヒトラー』、原題 Springtime for Hitler)を上演しようとする話。ヒトラーとナチスを徹底的にコケにする風刺コメディとして知られる。2001年にはニューヨークの劇場街ブロードウェイでミュージカル化され、演劇界最高の栄誉とされるトニー賞で12部門を受賞した。2005年にはそのミュージカル版が映画化された。ネイサン・レインは、舞台版と2005年の映画版でプロデューサー役を演じたアメリカの俳優。
何をやらかした?
📌 IT企業で採用を担当するマネージャーが、面接を終えた直後、同席した開発リーダーと上司との打ち合わせ通話の第一声で、映画『プロデューサーズ』のヒトラー役オーディションの名ゼリフ「あれこそ我らがヒトラーだ!」を物まね。映画を知っていた開発リーダーは笑ったが、知らなかった上司は最後まで黙り込み、通話のあと個別に電話をかけてきて説明を求めた。
事の発端
30人以上を面接しても決まらない
投稿者はIT企業のマネージャーで、自分のチームに入ってもらう人材を募集している真っ最中だ。「知らない人のために言っておくと、採用活動って本当にしんどいんです。応募する側もつらいでしょうけど、採用する側もこの工程はほぼ同じくらい嫌なんですよ」と投稿者はこぼす。
これまでに面接した候補者は、30人をゆうに超える。大半は、実際に技術力を試す技術面接の段階で崩れていった。そこを突破した数少ない人たちも、社内の採用チームが通知を送るより先に他社の内定が決まり、次々と辞退していった。
やっと現れた、手応えのある候補者
そんな中で迎えた昨日の面接には、開発チームのリーダーと、投稿者の上司(部長クラスの管理職)も同席した。候補者の女性は、面接でとてもいい受け答えを見せた。気になる点がまったくなかったわけではないが、ごく小さなもので、3人とも彼女のことをかなり気に入った。
面接の最中も、3人は候補者に見えないところでチャットを飛ばし合い、次はどんな質問で力を試すか相談したり、受け答えの出来について感想を送り合ったりしていた。面接としては、かなりいい流れだったのだ。
やらかしの一部始終
打ち合わせ通話の第一声
面接が終わり、候補者にあいさつをして送り出したあと、投稿者は開発リーダーと上司の2人に通話をかけた。今の面接について話し合うためだ。そして、ここで「気の利いたひと言」を言うつもりで、第一声をこう切り出した。
「あれこそ我らがヒトラーだ!(That’s our Hitler!)」
しかも、ネイサン・レインの口調をまねた、自分なりに最高の物まねで。開発リーダーはネタに気づいて笑ってくれた。上司は笑わなかった。そのまま最後まで黙り込み、通話が終わると、今度は投稿者に直接電話をかけてきて、さっきのはどういうことなのかと説明を求めた。
投稿者が再現したかった場面
投稿者が再現したのは、2005年の映画版『プロデューサーズ』のひと場面だ。落ち目のプロデューサー(ネイサン・レイン)と、相棒の会計士(マシュー・ブロデリック)は、わざとコケさせるための最悪の脚本を探し回る。そして見つけたのが、元ナチス兵の男フランツ(ウィル・フェレル)が書いた、ヒトラーを賛美するミュージカルの脚本だった。脚本の出来はひどく、題材は客を激怒させること間違いなし。2人にとっては理想的な「失敗作」の種というわけだ。
問題の場面は、ヒトラー役を決めるオーディション。応募してきた役者の歌がどうにも気に入らず、作者のフランツは怒り出し、とうとう自分で舞台に上がって歌と踊りを完璧にやってのける。それを見たプロデューサーが立ち上がり、上機嫌でこう叫ぶのだ。「あれこそ我らがヒトラーだ!」——こうして、フランツ本人がヒトラー役に決まる。
役者を選ぶオーディションで「この人で決まり!」となる瞬間のセリフ。それを投稿者は、採用面接を終えたばかりの通話で持ち出してしまったのだった。
その後
ここから、メル・ブルックスの映画を人生で一本も観たことのない上司に、このあらすじを一から説明する時間が始まった。けなすつもりはまったくなかったと言い張りながら、投稿者は恥ずかしさと、自分の間抜けさへの後悔でいっぱいだった。上司は、精いっぱい礼儀正しく抑えた「あなた、バカなの?」という表情を投稿者に向けたあと、きっぱりと言った。「職場でヒトラーを引き合いに出すのは、やめておいたほうがいいでしょうね」。
投稿者は謝り、もう二度としないと約束した。そのうえで、あれはヒトラーを美化する映画ではまったくなく、むしろヒトラーとナチスを笑いものにしている作品なのだと何度も念を押し、しまいには上司に映画を観るよう勧めることまでした。
結局、正式なおとがめはなし。投稿者の見立てでは、開発リーダーがネタを分かって笑っていたこと、そして上司が真面目な人だけれど話の分かる人で、この恥ずかしい思いだけで罰としては十分だと判断してくれたからだろう、とのこと。それでも念のため、しばらくは上司の前では言動に気をつけているそうだ。投稿の最後に添えられた本人の要約は、「映画ネタが滑って、ちょっとだけ怒られた」。
海外の反応
1. やらかし名無しさん
あのセリフが通じるには、前提が最低3段階は要る。あの映画を観ていること、ナチスを笑いものにした風刺だと分かっていること、オーディションの場面だと覚えていること。しかも言った場所が職場。考えうる限り最悪の会場だよ(笑)
2. やらかし名無しさん(>>1への返信)
投稿者です。いや、少なくとも開発リーダーには通じたんですよ……。あそこで笑ってくれたのが唯一の救いでした(泣き笑い)
3. やらかし名無しさん(>>2への返信)
聞き手2人のうち1人に通じて、通じなかった1人がいちばん偉い人。ネタの成功率としては五分五分なのに、配分が最悪すぎる。
4. やらかし名無しさん
投稿者は悪くない。あのハチャメチャな傑作を観ていない上司が悪い!……と言いたいところだけど、まあ職場では通らない理屈だよな。
5. やらかし名無しさん(>>4への返信)
投稿者です。正直、誰もが観てる定番とまでは言えないと思います。ブルックス作品の中でいちばん有名というわけでもない。熱烈なファンのいる名作なのは間違いないですけど、西部劇をおちょくった『ブレージングサドル』や、『スター・ウォーズ』のパロディの『スペースボール』ほどは知られてないので。
6. やらかし名無しさん
劇中歌の歌詞をここに書き込もうとして、手が止まった。この流れで文脈なしに引用したら、投稿者の二の舞になるだけだと気づいたからだ。あの映画、切り取ると全部アウトに見えるんだよ。
7. やらかし名無しさん(>>6への返信)
投稿者です。そう考えると、あの通話で劇中劇の『春の日のヒトラー』まで歌い出さなかったのは、まだマシだったってことですかね?
8. やらかし名無しさん
上司にその場面の動画を送ればいい。いや、いっそ映画のブルーレイを丸ごとプレゼントするべき。『プロデューサーズ』を観たことがないほうが、人をヒトラー呼ばわりするより重罪だからな。
9. やらかし名無しさん(>>8への返信)
説明のときに、動画サイトにある該当シーンのリンクを送ってたら、少しは大目に見てもらえた気もする。……まあ、上司がそれをどう受け取るかは読めないけど。
10. やらかし名無しさん(>>9への返信)
説明を求められてる最中に「とりあえずこの動画を観てください」は、それはそれで火に油な気がする。しかも再生したら、始まるのはヒトラー役のオーディションだぞ。
11. やらかし名無しさん
個人的には大笑いした。ラリー・デヴィッドのコメディドラマ『ラリーのミッドライフ★クライシス』(主人公が気まずい失言で自爆し続ける話)の1話にそのまま使えそう。とはいえ、やらかしたのは確かだと思う。正直、自分もやりかねないけどね。自分はユダヤ系だから、この手のネタを言っても多少は許されやすい立場なんだけど。
12. やらかし名無しさん(>>11への返信)
そもそも、あの作品の生みの親であるメル・ブルックス自身がユダヤ系で、「ヒトラーは笑いものにして引きずり下ろすしかない」という趣旨のことをインタビューで語ってる。あの映画は、ヒトラーをたたえるどころか、徹底的にコケにするために作られてるんだよね。
13. やらかし名無しさん
上司に映画のあらすじを一から説明する時間、想像するだけで胃が痛い。ギャグって説明した瞬間に死ぬのに、よりによって「元ナチス兵が書いたヒトラー賛美のミュージカルがありまして」から始めなきゃいけないんだぞ。
14. やらかし名無しさん
これは「今どきは何を言っても叩かれる」みたいな話じゃないと思う。よく知らない相手との仕事の場で、物議を醸す人物を話題に出すのはシンプルにやめたほうがいい、ってだけ。
15. やらかし名無しさん
冷静に整理すると、同僚2人に向かって言って、そのうち1人はネタを知らなかった。で、説明を聞いたその人が「職場でヒトラーの話はやめておきましょう」っていう、ごく常識的なことを言った。上司が説明を求めたのって、そんなに大ごとかな? 普通の対応だと思う。
16. やらかし名無しさん(>>15への返信)
むしろ上司、かなり大人な対応だよね。通話中は開発リーダーの前で問い詰めず、黙って最後まで付き合って、あとで個別に確認してる。投稿者はいまごろ上司が怖くてビクビクしてるんだろうけど、あれは叱責というより事情聴取でしょ。
17. やらかし名無しさん(>>16への返信)
投稿者です。怖がってるというより、ひたすら恥ずかしくて、自分がバカみたいに思えてる感じです。会議中に盛大におならをしてしまったときと、たぶん同じ種類の気持ち。
18. やらかし名無しさん
厳しいことを言うけど、映画のネタかどうかは関係ないと思う。相手がネタを分かるかどうかも関係ない。IT企業だろうとどこだろうと、会社の仕事の場でヒトラーを持ち出していいと思っちゃう時点でアウト。管理職ならなおさら、その10倍アウト。人を採る側の人間がこれでいいのか、とは正直思う。
19. やらかし名無しさん(>>18への返信)
投稿者です。たった一度の悪ノリで、管理職としての資質まで判定されるとは……。不適切だったことはもう認めてますし、ネタを正当化するつもりも、上司を悪者にするつもりもありません。自分の間抜けな話をさらしてるだけなので、お手柔らかに。あと念のため、あれはヒトラーのジョークじゃなくて映画のネタです。
20. やらかし名無しさん(>>19への返信)
事実関係を説明するのと、言い訳して正当化するのは別の話だからね。「あれは映画のセリフでした」は言い訳じゃなくて、ただの事実。投稿者は謝ったうえで、そこを説明してるだけだと思う。
21. やらかし名無しさん
物まねの出来がよければよいほど、状況が悪くなっていくのが最高に面白い。映画を知らない上司の耳には、ミュージカル俳優ばりの抑揚で「ヒトラー!」と叫ぶ部下の声だけが届いてたわけでしょ。
22. やらかし名無しさん
いちばん怖いのは、もし候補者との通話を切り忘れてたら、ってこと。面接が終わった直後にあのセリフが聞こえたら、候補者は完全に自分のことを言われたと思うよね。ちゃんと見送ってから言った投稿者、そこだけは偉い。
まとめ
採用面接の直後、ナチスを笑いものにした名作コメディのオーディション場面を物まねしたら、映画を知らない上司には「ヒトラー」の一語しか届かなかった。コメント欄は「職場で出す話題じゃない」という声が多い一方、「上司の対応は大人」「むしろ上司に映画を観てほしい」という声も目立った。ネタは相手を選ぶ。とくに、通じない人がいちばん偉い人のときは。
元ソース: ある人をヒトラーにたとえてやらかした

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