「青酸カリじゃないけどさ」検事局に持っていくクッキーを、洗濯室の白い粉で作ってしまった話

「青酸カリじゃないけどさ」検事局に持っていくクッキーを、洗濯室の白い粉で作ってしまった話 職場

憧れの職場に入って最初の1週間。研修してくれた先輩がちょうど辞めることになり、送別会でみんなに配るクッキーを焼く——新人としては、これ以上ないくらい気の利いた申し出だったはずである。ところが冷蔵庫から出した生地の表面には、小さな白い点がびっしり浮いていた。海外の掲示板に投稿された19歳女性の告白は、彼女がその生地をかなりの量つまみ食いしたあとの話から始まる。

※注:地方検事局は、アメリカの郡や州で刑事事件の起訴を担当する役所。日本でいう地方検察庁にあたる。重曹(炭酸水素ナトリウム)はお菓子をふくらませるのに使う粉で、掃除にもよく使われる。過炭酸ナトリウムは名前がよく似ているが別物で、衣類のシミ抜きに使う酸素系漂白剤の主成分。

何をやらかした?

📌 19歳の投稿者は、地方検事局のインターンとして働き始めたばかり。研修担当の先輩の送別会に手作りクッキーを持っていくつもりで、洗濯室から重曹の袋を取ってきた。袋の口は金属クリップで留まっていて、表示は途中までしか読めない。生地を作り、味見と称してたっぷり食べたあとで、袋を最後まで読み直したところ「過炭酸ナトリウム」と書いてあった。

事の発端

初めての職場が、志望どおりの場所だった

投稿者は19歳の女性。法律の道に進むつもりで勉強してきて、そこに舞い込んだのが地方検事局でのインターンの話だった。人生で初めての本格的な仕事でもある。まだ何もかも手探りの初出勤週だったが、本人の言葉を借りれば「とんでもなく良い機会」だった。

その1週間、つきっきりで仕事を教えてくれたのが、同じ職場の女性である。ところが彼女は翌日で職場を去ることになっていて、ちょっとした送別会を開こうという話が持ち上がった。教えてもらったお礼をしたいし、新人としても良い印象を残したい。投稿者は自分から手を挙げて「みなさんの分のクッキーを焼いてきます」と申し出た。ここまでは、誰がどう見ても満点の新人である。

母語では、名前の並びが逆になる

ここで、あとの展開に効いてくる事情が二つある。

ひとつは言葉。投稿者はアメリカ出身ではなく、母語では物質の名前の語順が英語と入れ替わるのだという。英語で「ソジウム・バイカーボネート」と呼ばれる重曹が、彼女の母語では「バイカーボネート・オブ・ソジウム」の順になる。つまり彼女の頭の中では、あの粉は「〜オネート・オブ・ソジウム」という形で記憶されていた。後半の並びのほうが、記憶に強く残っていたわけである。

もうひとつは置き場所。実家では、重曹を台所ではなく洗濯室にしまっていた。掃除に使うから、というよくある事情だろう。この二つが重なったところに、彼女は取りに行った。

やらかしの一部始終

金属クリップで口を留めた、白い粉の袋

仕事を終えた投稿者は材料を買い込み、家に帰って作業を始めた。使うレシピには重曹が要る。洗濯室に向かうと、いつも重曹が置いてある場所に、口を金属のクリップで留めた白い粉の袋があった。

袋の表示は、クリップに隠れて全部は見えない。それでも「〜オネート・オブ・ソジウム」の部分は読み取れた。頭の中にある記憶と、ぴったり一致する。彼女はその袋を持って台所に戻り、レシピどおりに粉を混ぜ込んだ。

そして、焼く前の生地をつまみ食いした。かなりの量を。おいしいので。それから生地を冷やすため冷蔵庫に入れた。

生地の表面に浮いた、小さな白い点

数分後、投稿者はやたらとげっぷが出ることに気づく。炭酸飲料を飲みすぎたかな、くらいにしか思わなかった。

オーブンに入れようと冷蔵庫から生地を取り出すと、表面に小さな白い点がびっしり浮いていた。5秒ほど固まったあと、彼女は洗濯室に戻って、袋の名前を最後まで読んだ。

過炭酸ナトリウム。重曹ではなかった。名前の後半だけがそっくりな、酸素系漂白剤のほうである。

その後

「青酸カリではないけどさ」と本人は書いている。「でも私が働いてるのは刑事事件を扱う政府の庁舎で、あの白い点は皮肉なことに青酸カリみたいに見えるんだよね。何が入ってるか知らない人たちが、そう優しく受け止めてくれるとは思えない」

そして、食べた本人としてひとつだけ言えることがある、とも書いていた。あれを口に入れたあとは、何かがおかしいとはっきり分かる、と。げっぷが止まらなかったのは、たぶんそういうことだったのだろう。

生地は丸ごと捨てて、材料を買い直してゼロからやり直し。「焼く前に気づけて本当によかった。書類に残ったら、絶対に良く見えない出来事だったので」と投稿者は締めくくっている。翌日の送別会に何を持っていったのかは書かれていないが、少なくとも二度目の生地は洗濯室を経由していないはずである。

この告白に対して、掲示板の反応はきれいに割れた。今すぐ病院に行けと本気で心配する人、そもそも洗濯室から白い粉を持ってくるなと呆れる人、そして「話ができすぎている」と疑う人。もっとも票を集めたのは、職業を突いた一行だった。

海外の反応

1. やらかし名無しさん
よりによって、書いてあることを隅々まで読むのが仕事の職業を目指してるんだよね。世の中でいちばん「最後まで読む」が求められる分野で、袋の表示を途中でやめてしまったわけだ。

2. やらかし名無しさん(>>1への返信)
これ、宇宙が早めに実力テストしてきてると思う。洗濯用品のラベルすら最後まで読めないなら、司法試験の問題文はまだ荷が重いって。

3. やらかし名無しさん(>>1への返信)
弁護士は何人も見てきたけど、全員が全員そこまで丁寧に読んでるかというと、正直そうでもないんだよなあ。彼女はむしろ、その日のうちに教訓を回収できたぶん早熟だと思う。

4. やらかし名無しさん
洗濯室って、そもそも「食べ物じゃない薬品」を置く場所でしょ。そこにお菓子の材料をしまっている時点で、いつか誰かがやると決まっていたようなものだと思う。

5. やらかし名無しさん(>>4への返信)
まあ重曹は掃除にも使うからね。うちも掃除用は置いてあるけど、料理用とは袋も棚も完全に別にしてる。同じ場所に並べたら絶対いつか間違える。

6. やらかし名無しさん(>>5への返信)
これ本当に大事。掃除用の重曹は食用として売られていないこともあるし、掃除に使ったスプーンを使い回してたら何が混ざってるか分からない。ついでに言うと、料理用の酢と掃除用の酢も分けたほうがいい。

7. やらかし名無しさん(>>4への返信)
洗濯室にある粉を食べ物に入れる、という発想がまず出てこないんだよな。うちは家族全員に「洗濯用の棚のものは料理に使うな」とはっきり言い渡してある。子どもがいるとなおさら。

8. やらかし名無しさん
げっぷで済むような話ではないでしょ。口の中がひりつくはずだし、喉だっておかしくなる。体の中で分解されるものなんだから、作り話じゃないなら今すぐ病院に行ったほうがいい。

9. やらかし名無しさん(>>8への返信)
投稿者がこれを読めたら怒ってるだろうね。もっとも、最後まで読む人なら今回の事故は起きてないわけで、そこがこの話のいちばん切ない部分ではある。

10. やらかし名無しさん
生地をたっぷり食べたって書いてるけど、味の違いにはまったく気づかなかったの? そこがどうしても引っかかる。ふつう一口目で「あれ?」となりそうなものだけど。

11. やらかし名無しさん(>>10への返信)
バターと砂糖と塩とバニラが全部入ってる生地なら、小さじ1杯くらいの違いは普通に隠れると思う。生のクッキー生地って、そもそも味の主張がめちゃくちゃ強いから。

12. やらかし名無しさん
毒=死ぬ、ではないからね。具合を悪くさせるのだって立派に毒の働きなので、「危うくみんなを毒するところだった」という表現は誇張でも何でもないと思う。

13. やらかし名無しさん
そのまま焼いても案外食べられたんじゃないの。ふくらし粉にも重曹は入ってるんだし、味がちょっと変になるくらいで済んだ気がするけどな。

14. やらかし名無しさん(>>13への返信)
それは重曹の話であって、今回入ったのは過炭酸ナトリウム。名前の後半が同じなだけの別物だよ。漂白剤の成分とふくらし粉を同じ枠で語るのは、さすがにまずい。

15. やらかし名無しさん
次回作は洗濯用ジェルボール入りブラウニーでお願いします。数年前にあれを口に入れる動画が海外で流行って大問題になったやつ、あの流れをお菓子でやってほしくはないけど。

16. やらかし名無しさん
これから酸素系漂白剤の袋には、法律事務所監修の警告文がずらっと入ることになりそう。今回の件が判例みたいな扱いで語り継がれる未来が見える。

17. やらかし名無しさん(>>16への返信)
「本品の摂取による雇用主、同僚、友人、家族および本人の事故について、当社は一切の責任を負いません」。袋の裏に小さい字でびっしり書いてあるやつだ。

18. やらかし名無しさん
重曹は小さい箱入りのやつを買って、食品棚に置いておけばいいだけの話なんだよ。数百円だし、洗濯室のにおいを吸い込んでいないぶん、お菓子の出来もそっちのほうがいい。

19. やらかし名無しさん
酸素系漂白剤って、見た目もにおいも重曹とはかなり違うと思うんだけど。粒の大きさからして別物なのに、混ぜている最中に一度も気づかないものなのかな。

20. やらかし名無しさん(>>19への返信)
本文にちゃんと書いてあるよ。投稿者はアメリカ出身じゃなくて、母語だと名前の語順が逆になるから、クリップからはみ出て見えていた部分が自分の知ってる呼び方と一致しちゃったんだって。

21. やらかし名無しさん
焼く前に気づいて全部捨てた、その判断だけは満点だと思う。初日から良い印象を残そうとしていた新人が、材料費を丸ごと捨てて夜中に作り直したわけでしょ。そこは笑うところじゃない。

まとめ

初めての職場で良い印象を残そうとした19歳が、洗濯室から取ってきた粉で送別会用のクッキーを作りかけ、焼く直前に生地の白い点で我に返った話。反応は「読むのが仕事の職業なのに」「洗濯室に食材を置くな」「作り話では」と割れたが、全部捨ててやり直した判断を責める人はいなかった。台所と洗濯室の粉が同じ顔をしているうちは、他人事ではない。

元ソース: 職場のみんなを危うく毒するところだった

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