「待合室には自分しかいなかった」——「〜ソンさん」と呼ばれて付いていったら、扉の上に精神科病棟の文字

「待合室には自分しかいなかった」——「〜ソンさん」と呼ばれて付いていったら、扉の上に精神科病棟の文字 体調・身体

「〜ソンさん」。救急外来の待合室で白衣姿の男性2人がそう呼んだとき、その部屋に座っていたのは投稿者ひとりだけだった。自分の姓も「〜ソン」で終わる。だから当然、自分が呼ばれたのだと思って立ち上がった。ところが案内された先はレントゲン室ではなく、別棟のエレベーターを上がったところにある施錠された扉で、その上にはこう書かれていた。「精神科病棟」。

※注:アイスランドとスウェーデンには、姓が「〜ソン(-sson)」で終わる人が非常に多い。もともとは「父親の名前+息子(son)/娘(dóttir)」で人を呼び分ける仕組みで、アイスランドでは今もこの方式が現役だ。父親がヨンさんなら、息子はヨンソン、娘はヨンスドッティルになり、姓は一代ごとに変わる。スウェーデンでは同じ呼び方が数百年前に家名としてそのまま固定されたため、アンデション、ヨハンソン、カールソンといった「〜ソン」姓が国内で群を抜いて多い。つまり待合室で「〜ソンさん」と呼ばれても、それだけでは誰のことか絞り込めない。

何をやらかした?

📌 バーベキューの席で酔った男に殴られて意識を失い、1日半たってから救急外来を受診。レントゲンとCTの順番を待つ待合室で「〜ソン」で終わる姓を呼ばれ、自分だと思って名乗り出たところ、そのまま精神科病棟へ案内されてしまった。本人は道中ずっと「頭を打っているのだから、こういう評価も必要なのだろう」と自分を納得させ続け、案内された部屋で飲酒検査を受け、やけに優しい口調で投げられる質問に真面目に答えていた。人違いが判明したのは、最後に現れた医師が別の患者の名前を呼んだ瞬間である。なお本来の検査は無事に受けられ、骨折も内出血もなかった。

事の発端

バーベキューで殴られ、1日半たっても耳鳴りが消えなかった

投稿者はアイスランド出身で、現在はスウェーデンで暮らしている。ある日、バーベキューの集まりで酔った男に絡まれ、殴られて意識を失った。その場は収まったものの、体調は日をまたいでも戻らない。頭がふわふわして力が入らず、片方の耳では音が鳴り続けている。これはさすがにまずいのではないか——そう思ったのが、殴られてからおよそ1日半後だった。投稿者は自分の足で救急外来まで歩いていった。この「自分の足で歩いていった」という一点が、後になって妙な意味を持ってくる。

顎の腫れが引っかかり、レントゲンとCTの指示が出る

受付で何があったかを説明すると、必要な情報を控えたうえで、患者用のタグ(氏名などが印字された識別票)が渡された。ほどなくして診察室に通され、顔と耳に外傷がないかを見てもらう。そこで担当者が顎の腫れをかなり気にした。中で何か起きている可能性がある、ということで、その場でレントゲンとCTの指示が出た。「待合室に戻ってください。すぐに担当の者が来て、レントゲン室までご案内します」。投稿者は言われたとおり待合室に戻った。そして少しだけ意外に思った。救急の待合室なのに、座っているのが自分ひとりだったからである。

やらかしの一部始終

誰もいない待合室で、「〜ソン」と呼ばれる

10分ほどして、白衣姿の男性が2人やってきた。そして姓を呼んだ。投稿者はそれをはっきりとは聞き取れなかったのだが、末尾が「〜ソン」だったことだけは分かった。冒頭で触れたとおり、アイスランドでもスウェーデンでも「〜ソン」で終わる姓は掃いて捨てるほどある。投稿者の姓も、たまたま「〜ソン」で終わっていた。しかも待合室にいるのは自分だけである。「ああ、自分のことだ」。そう判断して立ち上がり、「私です」と名乗り出た。2人は軽くうなずいて、「隣の建物までご案内します」と言った。ここまでの流れに、不自然なところは何ひとつない。

「救急車で来られたんですか?」

歩きながら、2人はいろいろと質問してきた。まず聞かれたのが、救急車で来たのかどうか。投稿者が「いえ、歩いてきました」と答えると、2人は本気で驚いた顔をして、「それは本当に良い判断だったんでしょうか」と返してきた。投稿者からすれば、頭を打った人間が自力で歩いてきたことを心配されているだけに見える。実際には、この質問にはまったく別の意味があったのだが、そんなことは知る由もない。

質問はその後も続いた。ただ、スウェーデン語は投稿者の母語ではないので、聞き取りに苦労する場面がある。「スウェーデン語は第一言語ではなくて」と説明すると、では母語は何かと聞かれ、アイスランド語だと答えた。2人はなぜか、その答えに少し戸惑ったような顔をした。そのままエレベーターに乗せられ、上の階のボタンが押される。投稿者が「それで、これから何が始まるんですか」と尋ねると、返ってきたのは「お部屋にご案内しますので、そこで医師がお話しします」という答えだった。

エレベーターを降りた先、扉の上に「精神科病棟」

エレベーターを降りて廊下に向かうと、その先に施錠された扉があった。そして扉の上の表示に、投稿者の目が止まる。「精神科病棟」。頭が真っ白になった。なぜここに連れてこられたのか、まったく分からない。それでも投稿者は、その場で立ち止まって聞き返す代わりに、自分の中で懸命に筋を通そうとした。自分は頭部を強く打っている可能性がある。ということは、レントゲンとCTの前に、意識や記憶の状態を評価して記録を取る必要があるのではないか。だからこの部署に回されたのだろう——。こじつけと言えばこじつけだが、疲れ切ったうえに頭を打った人間が、白衣の相手に囲まれて出す結論としては、そう不自然でもない。

静穏室、飲酒検査、そしてやけに優しい質問

通されたのは「静穏室」と表示された部屋だった。気持ちを落ち着けるための個室である。座るように言われ、次に呼気にアルコールが残っていないかを調べる検査を受けた。「これは決まった手順で、しらふであることを確認するためです」と説明される。投稿者はこれも素直に受けた。

案内してきた2人のうち片方がそのまま同席し、個人的な質問を投げ始めた。ただ、その口調が妙だった。子どもに話しかけるような、そしてどこか見下ろすような調子なのである。投稿者はできるかぎり正直に答えたが、いちばん基本的なことを答えるたびに褒められるので、かえって混乱が深まっていく。今の気分は。今日は何日か。ここがどこか分かるか。答えるたびに「うん、しっかり答えられていますね」と返ってくる。何かがおかしい、という感覚は確実にあった。それでも投稿者は「記憶が飛んでいないか、周囲の状況を把握できているかを見る標準的な評価なのだろう」と、またしても自分を納得させた。この場面の投稿者を追い詰めていたのは、悪意ではなく、噛み合っていない前提だけである。

その後

数分後、ようやく医師が到着した。そして投稿者に向かって、ある名前を呼んだ。投稿者の名前ではない。「それは私の名前ではありません」。そう言った瞬間、部屋が静まり返った。全員がその場に立ち尽くし、明らかに困惑した顔でこちらを見ている。ようやく誰かが「では、あなたはどなたですか」と尋ねた。投稿者は名乗り、頭部を打ったので救急外来に検査を受けに来たのだと説明した。そこでスタッフはやっと患者タグを確認し、自分たちが別の患者を連れてきていたことに気づいた。

スタッフは何度も謝った。こんなことは今まで一度もなかった、と繰り返しながら、待合室までお送りしますと申し出て、最後に冗談を一つ添えた。「精神科病棟の見学ツアー分は請求しませんので」。ここでようやく、その場の空気が緩んだ。

戻り道での2人の態度は、行きとはまるで別人だった。投稿者が本当に精神科の患者ではなく、本当に自分の足で救急外来まで歩いてきたのだと、ここで初めて信じたわけである。行きに「歩いてきたんですか」と驚かれた理由も、この時点で全部つながった。待合室に着くと、今度こそ本来の担当者が投稿者を待っていた。そしてレントゲンとCTを受け、結果は骨折も内出血もなし。結果を伝えた医師も一言つけ加えたそうだ。「精神科病棟にちょっと連れ去られていた件は、報告書には書かないでおきますね」。

投稿者自身は「あのとき『今なんとおっしゃいました?』と聞き返していれば全部済んだ話だった」と書いている。ただし、疲れ切っていて、しかも頭を打っている状態では、その発想自体が浮かばなかったとも。海外の掲示板にこの告白が出ると、コメント欄の空気は最初から一方向だった。曰く、これは投稿者の落ち度ではない、と。

海外の反応

1. やらかし名無しさん
どの段階でも、次に進む前に本人確認をするべきだったのでは。名前を呼んで返事があったから本人、で通してしまうのが一番危ない。呼ばれた側は「たぶん自分だろう」で立ち上がるものだから。

2. やらかし名無しさん(>>1への返信)
引き継ぎのたびに姓と生年月日を確認するのは、まさにこういう事故を防ぐためなんだよな。面倒に見えるあの手順、全部こういう事例が積み重なって作られている。

3. やらかし名無しさん
イギリスだと、何をするにもまず下の名前と姓、それに生年月日を聞かれて、そのうえで手首のバンドを確認される。この話は明らかに手順のどこかが抜けている。誰かがやらかしたのは間違いない。

4. やらかし名無しさん(>>3への返信)
カナダも同じで、移動のたびに手首のバンドを機械で読み取る。読み取らないと次の工程に進めない仕組みになっているので、そもそも別の患者を連れていくことができない。

5. やらかし名無しさん
渡されている患者タグを見るのが、そんなに難しいことだったのだろうか。声をかけて、うなずいて、隣の建物まで歩かせている。その間に一度も確認していないというのがすごい。

6. やらかし名無しさん(>>5への返信)
しかも別棟に移してエレベーターに乗せて、施錠された扉をくぐらせて、部屋に座らせて、検査までしている。関わった人数を考えると、誰ひとり確認しなかったことのほうが不思議だ。

7. やらかし名無しさん
これは投稿者のやらかしではなくて、病院側のやらかしだと思う。二重に確認するのが病院の仕事であって、患者側が「今のは自分の名前でしたか」と毎回確かめる仕組みにはなっていない。

8. やらかし名無しさん(>>7への返信)
もっと悪い展開もありえた。投稿者「それ、私の名前じゃないです」/医師「なるほど」(カルテに「患者は自分を別人だと訴えている」と記入)。人違いを訂正するほど話がこじれる、という地獄が普通に想像できてしまう。

9. やらかし名無しさん
個人的にいちばん驚いたのは、救急の待合室に人がひとりもいなかったところ。うちの国の救急待合室は、いつ行っても縁日みたいな人だかりで、空いている椅子なんて見たことがない。

10. やらかし名無しさん(>>9への返信)
時間帯によると思う。同じ病院でも深夜3時は本当に誰もいないし、午後3時に行くと戦場みたいになっている。今回は運悪く、確認を省いても気づかれない条件がそろってしまった。

11. やらかし名無しさん
医療の現場で働いている。何をするにも患者が合っているか確認しろ、というのは毎日のように叩き込まれる。それでも起きるくらいには起きるので、うちでは移動でも投薬でも、必ず手首のバンドを読み取ってから動くことになっている。

12. やらかし名無しさん(>>11への返信)
確認がしつこいのには理由がある、という話で思い出した。学生時代に自転車で転んで親指を折り、救急にかかったときのこと。やたらとミドルネームと生年月日を聞かれるので不思議だったのだが、あとで分かった。同じくらいの年齢で名前もほぼ同じ男が、同じく親指の骨折で自分のすぐ後ろに並んでいたらしい。

13. やらかし名無しさん
呼ばれたときに「すみません、今なんとおっしゃいました?」と聞き返していれば、それだけで終わっていた話なんだよな。分かってはいるけれど、あの場面で聞き返せる人がどれだけいるかというと。

14. やらかし名無しさん(>>13への返信)
本人がコメント欄で答えていた。疲れ切っていて、しかも頭を打っている状態だったので、聞き返すという発想がそもそも浮かばなかったそうだ。頭がまともに働いていない人間を運ぶ場所で、その人の判断力に頼る設計になっているのがまずい。

15. やらかし名無しさん
何年か前、遠方に住む義父から「おばあちゃんが病院にいるのを知っているか」と電話がきた。ところが情報が微妙にずれている。生年月日が数日違うし、息子と同居していることになっているが、実際はひとり暮らしだ。念のため祖母の携帯に電話したら、普通に本人が出た。病院が別人のカルテを開いていたのである。

16. やらかし名無しさん(>>15への返信)
こういう話でいつも気になるのが、間違えられた側の人はどうなったんだろうというところ。今回も、本当に呼ばれるはずだった患者は待合室のどこかでずっと待たされていたことになる。取り違えは、連れていかれた側だけでなく、連れていかれなかった側の対応も止めてしまう。

17. やらかし名無しさん
手術の前に麻酔科医が来て雑談していたのだが、途中からどうも話が噛み合わない。最後に「では確認ですが、今日はどの手術でしたっけ」と聞かれて答えたら、相手の顔色が変わった。隣の部屋の患者と間違えていたのである。最後の確認をしてくれて本当に良かったと今でも思う。

18. やらかし名無しさん
その日彼らが本当に迎えに行くはずだった人が誰なのかは知らないけれど、相手が誰であっても、人には人として話しかければいいと思う。精神科の病棟にいる人が相手でも、子どもに言い聞かせるような口調に切り替える必要はどこにもない。

19. やらかし名無しさん(>>18への返信)
これは本当にそうで、悪気がなくてもあの話し方が刺さる人はいる。ただ今回のスタッフについて言えば、間違いに気づいた瞬間に何度も謝っているし、戻り道の態度もきちんと切り替わっている。悪人がいた話ではなく、確認の手順が抜けた話なのだと思う。

20. やらかし名無しさん
最後の「報告書には書かないでおきますね」という医師の冗談、正直あまり良くないと思う。取り違えは笑い話ではなく、記録して再発防止に回すべき案件だ。その場では気を遣ってくれたのだろうけれど、次に同じことが起きたときに困るのは患者の側なので。

21. やらかし名無しさん
鎖骨を折って6週間後に外来へ行ったら、なぜか執刀医が来ると言われた。手術はしていないのに変だなと思っていたら、医師は自分の名前と生年月日を確認したあと、しゃがんでズボンの裾をめくり上げ、「脚はきれいにくっついてきましたね」と言った。自分とまったく同じ氏名で生年月日も同じ、会ったこともない遠縁がいたのだった。

22. やらかし名無しさん
オチが「精神科病棟の見学ツアー分は請求しません」なのが最高すぎる。とはいえ笑って済ませられない話でもあるので、苦情としてではなく仕組みを直してもらうために、病院に一筆送っておくのは悪くないと思う。何より、レントゲンもCTも問題なしで本当に良かった。ついでに言うと、殴った側の男はいまだにどこかで元気にしているわけだ。

まとめ

バーベキューで殴られて意識を失い、1日半後に救急外来へ。誰もいない待合室で「〜ソン」で終わる姓を呼ばれ、自分の姓もそれで終わるので名乗り出たら、案内された先は精神科病棟だった——という取り違えの一部始終。読ませどころは、扉の上の表示を見てもなお「頭を打っているから必要な評価なのだろう」と自分を納得させ続けた投稿者の合理化っぷりである。海外の反応は「これは投稿者ではなく病院側のやらかし」でほぼ一致し、そこに各国の本人確認手順の話、同姓同名で危ない目に遭った体験談、「相手が誰であれ、人には人として話しかければいい」という一言、そして「取り違えを冗談で流さず記録に残すべきだ」という厳しめの声が重なった。教訓は身も蓋もない。名前を聞き取れなかったときは、その場で聞き返す。

元ソース: やらかした:名前を聞き間違えて、うっかり精神科病棟に案内された

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