良かれと思ってやったことほど、いちばん面倒な形で裏目に出る。イギリスに住む33歳の男性が打ち明けたのは、同居している女性の仕事用ブーツをきれいにしてあげようとした、ただそれだけの話だ。たったそれだけで、ずっとぎくしゃくしていた同居生活がもう一段こじれてしまった。
※注:舞台はイギリス。家賃が高く、三十代になっても血縁でも恋人でもない相手と一軒の家を借りて共同生活する「ハウスシェア」は珍しくない。また本文に出てくる「D10」は飲食店などで使われる業務用の洗浄除菌剤、「ダビンワックス」は革に塗り込んで防水するための油性ワックスのこと。
何をやらかした?
📌 同居人に頼まれて仕事用の革ブーツの泥を落とそうとしたが、指定された泡クリーナーがまったく効かなかった。そこで自分が16年使ってきた洗浄剤で代用したところ、それは革に使ってはいけないものだった。仕事道具を預けた同居人は激怒し、ただでさえ冷え切っていた二人の関係がさらに悪化した。
事の発端
5年目の同居、うち3年がしんどい
投稿者は33歳の男性、同居人は37歳の女性。知り合ってからは15年になる。かつては仲のいい友人同士で、だからこそ一緒に住みはじめた。ところが5年近い同居生活のうち、少なくとも3年はずっと関係がこじれたままだという。
本人の書き方が面白い。「公平を期すために言っておくと、彼女は9割こっちが悪いと思っているし、自分は9割向こうが悪いと思っている」。お互い穏便にやろうと努力はしている。そして何度も失敗している。
では出ていけばいいのかというと、それができない。二人とも収入が低く、引っ越す余裕がない。そのうえ今の家は家賃が安く、立地がよく、同じ地域で探せるどの物件よりも広い。相手のために自分が損をして出ていくなんて冗談じゃない、という気持ちも両方にある。結果、逃げ場のない二人が同じ屋根の下に留まり続けている。
軍払い下げの中古と、16年ものの相棒
同居人の仕事はイベントの警備。音楽フェスなどの現場に立つので、履いているのはマグナムという、軍や警備の現場向けに作られた革のコンバットブーツだ。今年になって軍の払い下げ品を扱う店で中古を買ったもので、仕事から帰ってきたときに手入れのことなど頭にない、というタイプの持ち主である。
一方の投稿者は、十代のころに入っていた軍の青少年訓練団(学校の部活に近い形で軍事教練を受ける、イギリスなどにある団体)の時代から、ローワという別ブランドの革のコンバットブーツを履き続けている。こちらは靴墨で定期的に磨き、泥がついたときだけD10という洗浄除菌剤で落としてから、また靴墨を塗り直す。この手順で16年もたせてきた。高い買い物だったが、いまだに防水は効いているし、笑えるほど履き心地がいいのだという。
つまり同じ「革のコンバットブーツ」でも、片方は手入れを一度も欠かさなかった16年ものの相棒、もう片方は今年買われた中古品で、長いこと防水処理もされていない。この差が、あとで効いてくる。
やらかしの一部始終
「シャワー浴びてる間に磨いといて」
その日、同居人は仕事に出る直前でばたばたしていた。ブーツは先週末の音楽フェスの泥がこびりついたまま。現場は土砂降りだったという。投稿者はいつもどおり、関係を少しでもましにしようとして「何か手伝おうか」と声をかけた。
返ってきたのは「シャワー浴びてる間にブーツ磨いといて」。使うものも指定された。缶入りの泡タイプのクリーナーを吹きつけて、そのあとダビンワックスを塗っておいて、と。投稿者は引き受けた。ここまでは、うまくいきかけていた一日だった。
泡がまるで効かず、自己流に切り替えた数分
まず靴底に1センチ近く固まっていた泥を叩き落とす。革の表面にも薄い泥の膜ができている。そこへ指定された泡スプレーを吹きつけ、布でこすった。何も落ちなかった。文字どおり、まったく変化がなかったという。
ここで投稿者は深く考えず、自分のブーツにいつも使っているD10に手を伸ばす。原液ではなく、飲食店で推奨されている濃さまで薄めた液だ。ブーツに吹きつけて拭き取ったら、泥の層はあっさり取れた。ところが同居人はまだシャワーに行っておらず、その一部始終を見ていた。
「これ、革に使っても大丈夫なやつだから」。投稿者はそう説明した。16年使って一度も傷んだことがないし、そもそも職業軍人だった当時の教官にそう教わったのだ。ところが同居人がその場で検索すると、D10は革にはまったく安全ではないと出てくる。洗剤であることは投稿者も知っていた。ただ自分の経験と、教わった手順が正しいと信じていた。ネット上の情報は、革に触れた瞬間に取り返しのつかないダメージを与える、と書いていた。
さらに間の悪いことに、同居人のブーツは長らく防水処理をしていなかったせいで、吹きつけた液がその場で革に吸い込まれてしまっていた。投稿者は仕上げに靴墨を塗りたいと申し出たが、彼女はもう怒っており「ダビンワックスだけ塗って終わりにして」と言い放った。言われたとおりにワックスを上から重ねたので、染み込んだ洗剤はブーツの中に残ったままだ。
その後
そこから口論になった。嘘をついた、仕事用のブーツを壊した、買い替える金なんてお互いにない――そう言って怒鳴られた。とくに刺さったのは「指定したものが効かなかったなら、なぜ私に聞かなかったのか」という一点だったという。投稿者もそこはある程度認めている。ただ、シャワーを邪魔したくなかったし、自分には16年うまくいってきた方法があった。
謝罪は2回した。1回はその場で反射的に、もう1回は口論の最中に促されて。同居人はそのまま仕事に出ていった。
残された投稿者は、冷静に自分を振り返っている。本当に傷つけたのなら、できる限り弁償するつもりだ。同情がほしくて書いたわけではない、とも書き添えている。自分のブーツが16年平気だったのは、靴墨の層をきちんと維持していたからで、洗剤が革まで届かなかったからだろう。彼女のブーツがその状態でないことは、自分がいちばん知っていたはずなのに、そこを考えなかった。
ただし弁償の申し出は、この時点ではまだ口にしていない。同じものを買い直すと4万円以上かかるが、二人とも低収入で、どう工面しても10月の終わりになる。それまで彼女は仕事中ずっと足が濡れたままになってしまう。しかも状態が分からないうちに「弁償する」と言った瞬間、「完全に駄目になったから買い替えて」という話になるのが目に見えている、というのが本音だ。
今週は久しぶりに関係が穏やかだった。それをまた自分の手で台無しにしてしまった。彼女が留守のあいだ、気まずさだけが家に残っている――投稿はそう締めくくられている。
海外の反応
1. やらかし名無しさん
仕事で革ブーツを売っている者だけど、この件は騒ぎすぎだと思う。D10が革用に作られた洗剤かと言われればノーだ。ただ、こびりついた泥は革にとってそれと同じか、それ以上に悪い。落としたあとにしっかり水気を拭いて、ワックスなり保革油なりを入れ直すなら何の問題もない。元が防水されていたブーツなら、今も防水されている。
2. やらかし名無しさん(>>1への返信)
投稿者です。否定はしません。使ったのは原液ではなく、飲食店で推奨されている濃度まで薄めた液でした。順番としては、まず靴底に1センチ近くこびりついた泥を叩き落として、市販の泡スプレーを吹いて布でこすった。これが本当に何も落ちなかったんです。それでD10を吹きつけて拭き取ったら泥の層は取れたんですが、彼女のブーツは長いこと防水処理をしていなくて、液がその場で染み込んでしまいました。
3. やらかし名無しさん(>>2への返信)
薄めたものを一回使っただけなら、もともと付いていた泥より悪さはしないよ。革のブーツってそんなに簡単には壊れない。塩酸をかけたとか、バーナーで炙ったとかならともかく、洗剤を一回吹いたくらいでお釈迦になるような代物じゃない。
4. やらかし名無しさん
まず大前提として、泥を付けたまま放置しないこと。自分はブーツを風呂場に持ち込んで一緒に洗い流して、そのまま横に立てて乾かしている。急いで乾かそうとするのだけはやめたほうがいい。革の中の水分まで一緒に飛んで硬くなる。いまの状態を見て、革がしなやかでひび割れていないなら大丈夫。硬くなってひびが入っているなら、それは洗剤のせいじゃなくて、もっと前から手遅れだったということ。
5. やらかし名無しさん(>>4への返信)
まさにそこなんです。自分のブーツが16年もっているのは、泥を一度も放置しなかったからで。彼女のほうはフェスで4、5日履きっぱなし、帰ってきてからも泥まみれのまま数日置かれるのが普通でした。いまのところ革はしなやかです。帰ってきたら一から洗って防水し直すと、さっき連絡を入れました。
6. やらかし名無しさん
革用のコンディショナーか、ミンクオイル(革に油分を戻すための保革油)を指で塗り込んでやれば、たぶん何事もなかったみたいに戻ると思う。乾いた革は油をよく吸うから、一回で足りなければ日を置いてもう一度やればいい。そんなに大ごとにする話じゃないよ。
7. やらかし名無しさん
その場で謝って、壊れていたら弁償するつもりもある。これ以上何をしろというんだ。強いて言うなら、染み込んだ洗剤をもう一度洗い流して、それでも不安なら専門の修理屋に見てもらうくらいだろう。わざと壊そうとしたわけでもあるまいし。
8. やらかし名無しさん(>>7への返信)
弁償を申し出た、とは書いていないので、誤解させていたら申し訳ないです。やらないという意味ではなく、単純に予算がない。同じものを買い直すと4万円以上して、二人とも収入が低いんです。本当に駄目になっていたら貯めて買います。ただ一番早くて10月末で、それまで彼女は仕事中ずっと足が濡れたままになってしまう。
9. やらかし名無しさん(>>8への返信)
それと、状態が分からないうちに「弁償する」と言い出したくないのも正直なところです。油を入れ直せば済む程度だったとしても、その一言を口にした瞬間に「完全に駄目になったから買い替えて」という話に確実になるので。まず状態を見てから決めたいんです。
10. やらかし名無しさん
頑固だなあ。いまできる手入れを全部やって、買い替えの計画も立てて、それを本人に伝えて、そのとおり実行する。それだけの話でしょう。相手の立場になって考えろ、というやつだよ。今回はまさに靴の話なわけだけど。
11. やらかし名無しさん
20年前、同じ家に住んでいた女性のルームメイトと決定的に仲が悪くなった原因がこれだった。彼女は下着を乾燥機に入れてはいけないと言っていて、それは了解していた。ある週末、洗濯機に下着を入れっぱなしで出かけてしまって、こっちは自分の洗濯をしたかった。いつも彼女がやっているとおりに浴室に干して、自分の洗濯を回した。数日後に帰ってきた彼女は、見たこともないくらい激怒した。それきり友情は戻らなかったよ。
12. やらかし名無しさん(>>11への返信)
うちでもまったく同じ口論をやりました。人の下着に触るな、と。洗濯機に入れっぱなしで自分が使いたいときでも、カゴに移して傷むにまかせるのが正解らしいです。理屈はさっぱり分からないんですが、滅多に起きないことなので以来そうしています。
13. やらかし名無しさん(>>11への返信)
男の立場から言うと、どんなに善意でも同居している女性の洗濯物には手を出さない。洗濯機を占領されたまま週末いなくなったら、自分なら全部カゴに放り込んで、臭くなるのは向こうの責任ということにする。干してあげるのは、たとえ聖人みたいな気持ちでやったとしても、向こうからすればプライバシーに踏み込まれた話になりかねないから。
14. やらかし名無しさん
これはもうブーツの話じゃないと思う。揉める口実が欲しいだけの人だよ。家がそんなに気に入っているなら住み続ければいいけど、助けようとした相手にここまでやるのは、自分なら一度で見切りをつける。以後は必要最低限の会話だけにするね。
15. やらかし名無しさん
こういう小さな衝突のたびに、平和を保とうとしてやったことを片っ端から粗探しされていませんか。単に神経質な人という可能性もあるけれど、こういう批判の仕方で相手を少しずつ支配していく人もいる。悪いのは自分だと思い込ませて、機嫌を取るために何でもやらせる、というやり方です。
16. やらかし名無しさん(>>15への返信)
そこまで決めつけるのは、さすがに話を飛ばしすぎでは。自分が仕事で毎週履く道具を、指定したのと違う薬剤で洗われたら誰だって怒ると思う。しかも「これは革に安全だから」と言われた直後に、調べたら安全じゃなかったわけで。シャワーの前に一声かけて確認していれば、全部起きなかった話だよ。
17. やらかし名無しさん
家にいるのがしんどいなら、それは相手のために引っ越すんじゃなくて、自分のために引っ越すということだよ。運が良ければ向こうが先に出ていくかもしれないけど、なるべく負担の少ない形で次の部屋を探しはじめてもいいんじゃないかな。同じ屋根の下にいなくなった途端、またいい友達に戻れる気がする。
18. やらかし名無しさん
三十代の半ばから後半にもなって、恋愛関係でもない相手と一緒に住み続けているのが正直しんどそうに見える。立地とか家賃とか言っている場合じゃなくて、自分の部屋を持ったほうがいい。結婚の悪いところだけを全部残した状態になっているよ。
19. やらかし名無しさん(>>18への返信)
簡単に言うけど、その「自分の部屋」がまともな値段で見つからないから、二人ともそこにいるんでしょう。同じ広さで同じ立地の物件を一人で借りたら家賃は跳ね上がる。低収入だと本人が書いている以上、出ていけで話が終わるなら最初から悩んでいないよ。
20. やらかし名無しさん
副業を探すのはどうだろう。時間の融通が利くところで週に10〜20時間も入れば、顔を合わせる時間が減って家の空気もましになるし、4万円の出費が「緊急事態」じゃなくなる。一石二鳥だと思うんだけど。
21. やらかし名無しさん
見た目に変化が出ていないなら、たぶん本当に何ともなっていない。革は傷むと色が抜けたり手触りが変わったりして、わりと分かりやすく主張してくるものだよ。何日か置いてから履き口のあたりを指で曲げてみて、硬くなっていなければ心配しなくていい。
まとめ
頼まれたとおりの道具が効かなかった。だから自分の16年分の経験に頼った。その数分の判断が、相手にとっては「勝手に別のものを使われ、あげく安全だと嘘をつかれた」という話になってしまった。コメント欄では革の扱いに詳しい人ほど「そのブーツは無事だ、落ち着け」と口を揃え、一方で「シャワーを邪魔したくないより、一声かけるほうが大事だった」という指摘も並んだ。さらに多かったのが、そもそもブーツは問題の本体ではないという声だ。仲がこじれた家では、親切さえ火種になる。

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