寝不足の頭で獣医と話していたら、飼い猫のことを、まるで自分と血のつながった身内であるかのように語ってしまった——そんな告白が海外の掲示板で6000を超える支持を集めた。犯人は疲れ、共犯は口。診察室に落ちた沈黙は、洗面台の中でくつろいでいた当の猫までが何事かと顔を上げるほど重かったという。
※注:メインクーンは体の大きな猫種で、成長がゆっくりで3〜4年かけて大人の体になるとされる。同じ月齢のほかの猫と並ぶと、一回りも二回りも大きく見えることがある。猫の名前「シュレディンガー」は、箱を開けるまで生きているか死んでいるか決まらない、という物理学の有名なたとえ話「シュレディンガーの猫」から取られている。飼い主いわく「物理が好きなので、これはもうやるしかなかった」とのこと。
何をやらかした?
📌 疲れ切った投稿者が、体調を崩した愛猫シュレディンガーを動物病院へ連れて行った。原因は床に落ちていた物をまた食べたことで、猫自体は無事。ところが診察中、獣医から体格について指摘された投稿者は、猫の体重の話をしているつもりで「太りやすいのはうちの家系なので」と口走ってしまう。その瞬間、猫は投稿者の血縁者になった。
事の発端
二日分の忙しさのあとに来た、何もしないはずの朝
投稿者の愛猫シュレディンガーは、数日前から体調を崩していた。ちょうど二日続けて目の回るような忙しさで、ようやく何もしない一日を迎えられる——そう思っていた朝である。その猫が、また血の混じった便をした。前にも同じことがあったので、投稿者には原因の見当がついていた。ゆっくり過ごす予定はその場で消え、二人はまた動物病院へ向かうことになる。
床に落ちている物を食べるのが、この猫の生きがい
診断は前回と同じだった。食べてはいけない物をまた口に入れただけで、命に関わるようなことは何もない。投稿者に言わせれば、この猫は「床に落ちている、食べてはいけない物を見つけ出して食べる」ことを人生の目的にしているらしい。本人が本文で使った表現をそのまま訳せば、ひとこと「厄介者」。とにかく無事だと分かったところで、診察はいくらか気の抜けた世間話の時間に入った。
やらかしの一部始終
「この子、月齢のわりにずいぶん大きいですね」
ふと獣医が体格に触れた。投稿者は少し得意げに説明する。メインクーンという大きくなる猫種であること。そして父親のハデスが太くて重い骨格をしていて、シュレディンガーはそれをそっくり受け継いだこと。要するに、太っているのではなく元から枠が大きいのだ、と言いたかったわけである。獣医は無言で投稿者をひたと見て、それだけ返した。「体重には気をつけてあげてくださいね」。
「いやほら、太りやすいのはうちの家系なので」
ここで投稿者の疲労が限界を超えた。数秒その場に立ち尽くしたあと、口から勝手に出てきたのがこの一文だった。「いやほら、太りやすいのはうちの家系なので」。言った本人が一番驚いた。
※ 英語では「それはうちの家系を流れている(run in the family)」という言い回しが、体質や病気の遺伝を指す決まり文句になっている。だから猫の体重の話でこれを使うと、「この猫は私と血がつながっています」と診察室で堂々と宣言したのと同じ意味になってしまう。
沈黙が診察室を満たした。投稿者いわく「耳が痛くなるほどの静けさ」。そして、いつの間にか洗面台の中にすっぽり収まってくつろいでいたシュレディンガーまでが、何事かとゆっくり顔を上げたという。猫にすら伝わったのである。
その後
この状況で投稿者に残された道は一つしかなかった。ため息をひとつついて、こう言った。「大丈夫です、自分でも聞こえてましたから。このまま失礼します」。そして診察室をあとにした。
名誉のために書いておくと、シュレディンガーはこの動物病院の人気者である。本人は待合室も診察室も自分専用の遊び場だと思っているらしく、診察中にドアがノックされて「すみません、シュレディンガー君が来てるって聞いて——あらー、かわいい!」とスタッフが用もないのに顔を出してくるほどだという。投稿者は普段から二匹の猫を「毛むくじゃらの悪魔の子たち」と呼んでいて、獣医もその呼び方には慣れている。ただ、今回のはさすがに次元が違った。
ちなみに体重の疑いについては、投稿者にも言い分がある。餌はいつでも食べられるように置いてあるが、まったく同じ育て方をしている妹のアンジェリーナはちっとも太っていない。だからやはり、これは父ハデス譲りの骨格なのだ——というのが、飼い主のゆずれない主張である。
海外の反応
1. やらかし名無しさん
うちの子は遺伝上の息子だと本気で思っているので、投稿者の言い分は全面的に支持する。血がつながっていないという指摘については一切受け付けていない。
2. やらかし名無しさん(>>1への返信)
私はいつも「一人目のときのほうが二人目よりずっと楽だった」と人に話している。ちなみにうちの一人目は7歳の犬で、二人目が1歳の人間の子どもです。
3. やらかし名無しさん
太りやすいのがうちの家系なのも事実なので、この投稿者をまったく笑えない。自分の猫の体格を説明するときも、たぶん私は同じ言い方をしていると思う。
4. やらかし名無しさん(>>3への返信)
うちの家系では脂肪は「流れて」いない、ヨタヨタ歩いている。流れるくらい動けていたら、そもそもこの体型になっていないので。
※ 前述のとおり英語では体質の遺伝を「家系を流れている(run in the family)」と表現する。その「流れる」を運動能力の話に取り替えた返し。
5. やらかし名無しさん
それはそうと、肝心の猫の写真がまだ出ていませんね。海外の掲示板では猫の話を持ち出したら写真を貼るのが暗黙の決まりで、これを「猫税」と呼ぶ。現時点で未納です。
6. やらかし名無しさん(>>5への返信)
投稿者が貼ってくれた写真、洗面台にみっちり詰まった巨大な毛玉で笑ってしまった。あれは確かに太っているというより、そもそも枠が大きい。骨格の主張、全面的に認めます。
7. やらかし名無しさん
「シュレディンガーまでシンクから顔を上げた」の一文で完全にやられた。この話で一番おもしろいのは、たぶんその場にいた猫がきっちり空気を読んだところだと思う。
8. やらかし名無しさん(>>7への返信)
投稿者です。あの子は動物病院が大好きで、あそこを自分専用の遊び場だと思っています。診察の途中でドアがノックされて「すみません、シュレディンガー君が来てるって聞いて——あらー、かわいい!」とスタッフが入ってくるくらいには人気者。
9. やらかし名無しさん
猫のほうも君のことをちゃんと家族だと思っているだろうから、何ひとつ問題はない。血縁がどうという話は、そもそもあの生き物たちの世界には存在しないので。
10. やらかし名無しさん(>>9への返信)
投稿者です。それは間違いなくそうで、あの子は私に話しかけるとき「ママ」に近い音を出せるようになりました。教えたわけでもないのに、勝手に覚えたんです。
11. やらかし名無しさん
うちの獣医は、私がアレルギーを持っている抗生物質を猫に処方した。心配そうな顔をされたので「この子は養子なので、同じアレルギーは持っていないはずです」と説明したら、全員で一度笑ったあと、静かに手袋を渡された。
12. やらかし名無しさん(>>11への返信)
投稿者です。ところでその手袋、猫が薬の存在に気づいてから何秒もったんでしょうか。うちの経験だと、手袋の有無は最終的な結果に一切影響しないんですが。
13. やらかし名無しさん
動物病院で働いているけれど、私たちも自分のペットについて日常的に同じことを言っている。診察室で聞いても誰も笑わないし、あとで話題にもしない。本当に気にしなくていいですよ。
14. やらかし名無しさん
私は昔、女性同士のご夫婦に子どもの巻き毛の話をしていて、産んだほうではない奥さんに向かって「これは奥さんの家系ですね」と言ってしまったことがある。自分の口を縫いたくなった。
15. やらかし名無しさん(>>14への返信)
大丈夫、その奥さんは絶対うれしかったと思う。血のつながりを気にしていない人として扱われたわけで、たぶん一番言われたかった言葉のはずだ。
16. やらかし名無しさん
妻が「うちの犬が大きな病気になったらと思うと怖い」と言うので、私は「大丈夫だよ、うちもきみの家系もそういう病気の家系じゃないから」と返した。言った直後に自分で固まった。2年経った今も、事あるごとにいじられている。
17. やらかし名無しさん
厳密に言えば、猫は投稿者のかなり遠い親戚ではある。哺乳類としての共通の祖先までさかのぼれば、まあ確かに家系はつながっている。ものすごく遠いけれど、親戚は親戚だ。
18. やらかし名無しさん
猫好きが集まる掲示板だと思って読み進めていたので、猫を自分の子どものように呼ぶことのどこが問題なのか、しばらく本気で分からなかった。飼い主はだいたいみんなやっている。
19. やらかし名無しさん(>>18への返信)
投稿者です。私も普段から二匹を「毛むくじゃらの悪魔の子たち」と呼んでいて、獣医もその呼び方にはすっかり慣れています。ただ今回のは、さすがに次元が違った。
20. やらかし名無しさん
冷静に考えると筋は通っていて、食べすぎやすい体質が家系にあるなら、飼い主が猫にも食べさせすぎるという話にはなる。遺伝ではなく生活習慣の伝染というやつ。
21. やらかし名無しさん(>>20への返信)
投稿者です。ただ、餌はいつでも食べられるように置いてあって、まったく同じ育て方をしている妹のアンジェリーナはちっとも太っていない。だからやはり、これは父親のハデス譲りの骨格だと言わせてほしい。
22. やらかし名無しさん
猫があの目でこちらを見てくる瞬間が好きだ。うちの子と並んで鳥を眺めながら「鳥って空の魚みたいだよな」と言ったら、心底あきれた顔でゆっくり振り返られた。「わかってる、自分でも聞こえた」としか言えなかった。
まとめ
寝不足の頭で猫の骨格を弁護しているうち、うっかり猫を自分の血縁者にしてしまった投稿者。コメント欄は「うちの子は遺伝上の息子です」「一人目の犬のほうが二人目の人間より楽だった」と、同じ穴を掘った飼い主たちが次々に名乗り出る展開になった。獣医の前でだけ親バカが表に出てしまう現象は、どうやら国を問わないらしい。当のシュレディンガーは無事で、今日も自分専用の遊び場だと思っている動物病院で愛されている。

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