「送信」を押した直後の、あの0.5秒。宛先の欄に見覚えのない人数がずらりと並んでいるのに気づいてしまったときの、血の気が引く感じ。海外の掲示板に、その0.5秒を全社規模でやってしまった23歳の女性の告白が投稿された。しかも添付されていたのは、彼女がカニの刺繍が入ったエプロンを着て、力こぶを作っている写真である。
※注:この職場では社内の連絡が「全員宛」の一斉配信メールにまとまっていて、そこには外部の委託業者まで含まれている。日本の会社でいう「全社メール」に、取引先も乗っているイメージ。
何をやらかした?
📌 金曜夜の募金パーティーの準備で「エプロンか工具ベルト貸して」という募集メールが社内に回った。仲のいい同僚に返すつもりで、投稿者は自前のカニのエプロンを着てボディビルダーのポーズを決めた自撮り写真を添付。送信し終えてから宛先を見たら、上司も、上司の上司も、外部の業者も入った「全員」だった。
事の発端
金曜の夜に控えていた、少しばかり格式の高い集まり
その週の金曜の夜、投稿者の職場では大きな募金パーティーが予定されていた。講演者にはNASAの関係者、来場者には古くからの資産家も並ぶ、いわゆる「ちょっとお高い」種類の会である。準備は大詰めで、社内のメールも慌ただしくなっていた。
そんな中、同僚の一人からこんな募集が流れる。「くじ引きの券とかペンとか、細々したものを持ち歩きたいんだけど、エプロンか工具ベルト持ってる人いない?」
「かしこまったメール」と「スタンプが飛び交うメール」
投稿者が職場で送るメールには、はっきり2種類あった。ひとつは「〇〇様、いつもお世話になっております」で始まり「よろしくお願いいたします」で締める、完全にかしこまったやつ。もうひとつは、直属の上司とごく一部の同僚に送る、画像やスタンプが飛び交うくだけたやつだ。
23歳の投稿者は、この職場の最年少だった。次に若いのが30代前半の直属の上司。つまり社内は、くだけたやり取りを楽しむ層と、紙とペンでメモを取る昔ながらの層に、きれいに二分されていた。そしてエプロンを募集したのは前者の、投稿者と仲のいい同僚である。だから投稿者は、半分は親切で半分はふざけた返信をすることにした。
やらかしの一部始終
カニの刺繍と、力こぶのポーズ
投稿者は実際にエプロンを持っていた。パーティー向けの上品なものではないが、条件は満たしている。茶色い生地の隅に、小さなカニが一匹あしらわれたエプロンだ。大学時代に健康的な料理にハマっていた時期、Amazon Vine(写真や動画つきの詳しいレビューを書く代わりに、商品を無料でもらえる海外の招待制サービス)でもらったものだった。
そしてレビュー用に撮った写真が、手元に残っていた。そのエプロンを着て、ボディビルダーみたいに力こぶを作りながら、こちらを指差しているポーズの一枚。仲のいい同僚に送るには完璧な素材だ、と投稿者は思った。思って、添付して、送信を押した。
送りきってから、宛先の欄が目に入った
全員だった。
上司。上司の上司。パーティーの企画担当。さらには外部の委託業者まで。会社に関わる人間が丸ごと入った宛先に、カニのエプロンで力こぶを作った23歳の写真が、一斉に配信されていた。取り消しの猶予は、もう一秒も残っていなかった。
その後
厄介なのは、この職場の人たちがイジりを心から愛していることだった。共用スペースの掲示板には「ネイトの壁」(本人が仮名と断っている)という一角がある。ネイトという同僚の写真ばかりを貼るコーナーで、ポテトを食べている写真、バイクにまたがっている写真、偽の雑誌表紙に加工された写真、ハロウィンの首なし騎士の仮装をした写真まで並んでいるという。ほかの社員も無事ではない。有給休暇で不在にしていると、その人のドアに指名手配ポスター風の写真が貼り出される。
返信は即座に来た。「今日からあなたは『カニの女王』です」。そしてもう一言。「その写真はデータベースに入りました」。
別の同僚は、その直後にバットマンのユーティリティベルトの画像を送り返してきた。全員そういうノリだった、ということらしい。投稿者はマネージャーの部屋に駆け込んで「辞めます。国外に引っ越します」と宣言したものの、「ダメです」と却下されたそうだ。逃げ道はない。
入社してまだ数ヶ月。ひどい加工写真の被害には、幸いまだ一度も遭っていなかった。その最初の燃料を、自分の手で投げ込んでしまったことになる。
そして最後にもうひとつ。エプロンを募集したその同僚は、そもそも投稿者のエプロンを使う気がなかった。
海外の反応
1. やらかし名無しさん
送りきったあとで宛先の欄が目に入る瞬間、想像しただけで胃が痛くなる。しかもポーズがボディビルダーって、言い訳の逃げ場がどこにも無いのがすごい。今日読んだ中で一番いい話だった。
2. やらかし名無しさん(>>1への返信)
その写真、実際に見せてもらったけど正直かなり良い一枚なんだよな…。堂々としてるし、カニもちゃんとかわいい。恥ずかしがる要素、思ったより少ないのでは。
3. やらかし名無しさん(>>1への返信)
投稿者、その場でマネージャーの部屋に駆け込んで「辞めます、国外に引っ越します」と言ったら「ダメです」と止められたらしい。逃走経路まで塞がれてるの、笑うしかない。
4. やらかし名無しさん
この話の一番の収穫は、投稿者と同僚たちがめちゃくちゃ楽しそうに働いてるってことだと思う。イジられる前提で成立してる職場って、実はかなり恵まれてるよ。おめでとう。
5. やらかし名無しさん(>>4への返信)
分かる。ただ休み明けに自分の指名手配ポスターがドアに貼ってあるのは、面白いけど心臓には悪い。連休明けの朝一にあれを見たら、一瞬フリーズする自信がある。
6. やらかし名無しさん
まあ笑い飛ばしておけばいい。恥ずかしいのは事実だけど、この手のやつは半年もすれば誰も覚えてない。そのころには別の誰かが別のやらかしをしてるから。
7. やらかし名無しさん(>>6への返信)
いや、自分がこの人と同じ職場にいたら絶対に忘れさせない。もちろん悪意はゼロだけど、これは一生イジる。誰も傷つかないタイプの大失敗って、職場ではかなり貴重な資源なんだよ。
8. やらかし名無しさん(>>7への返信)
実際その直後に、別の同僚がバットマンのベルトの画像を返信してきたらしい。責める人がゼロで、全員が乗っかりに行ったということだよね。良い職場すぎる。
9. やらかし名無しさん
一番怖いのは「カニの女王」でも上司の上司でもなく、「その写真はデータベースに入りました」の一文だと思う。データベースって何。誰が管理してるの。削除の申請窓口はどこ。
10. やらかし名無しさん(>>9への返信)
入社数ヶ月でコラ素材のデータベースに正式登録される新人、ある意味で出世が早い。数年後には壁に専用コーナーができてると思う。
11. やらかし名無しさん
全員宛メールの本当の恐怖って、事故そのものより後片付けなんだよね。「私宛ではないので外してください」という連絡が、なぜかまた全員宛で飛んできて、それに「私もです」が延々と続く地獄。
12. やらかし名無しさん(>>11への返信)
それだ。うちで一度それが起きて、最終的に「全員に返信するのはやめてください」というお願いが全員宛で流れてきた。誰も連鎖を止められなかった。
13. やらかし名無しさん
自分は取引先に出すはずの見積もりを、社内の全部署宛に投げたことがある。数字が数字だったので、その日は一日じゅう知らない部署の人に話しかけられた。カニのほうが100倍マシです。
14. やらかし名無しさん
個人的には、宛先を確認しなかった罪より「レビュー用のポーズ写真をためらいなく添付できる度胸」に感心してる。普通そこで一瞬手が止まるでしょ。
15. やらかし名無しさん(>>14への返信)
その度胸があるから仲のいい同僚には受けたわけで、たまたま届く範囲が全社だっただけなんだよな。方向性は何ひとつ間違ってない。射程距離だけが致命的に間違ってた。
16. やらかし名無しさん
無料で商品がもらえるサービスの話が急に出てくるあたり、さりげない宣伝が混ざってない? と一瞬だけ疑ってしまった。
17. やらかし名無しさん(>>16への返信)
投稿者いわく、あれは招待制で本人は1年前にやめたらしい。3ヶ月で最低50個レビューしろと言われて、レビューのために物を注文する状態になったとか。もらった品は半年間売れない決まりもあって、途中から完全に作業だったそう。エプロンの写真が手元にあった理由の説明として出しただけ、とのこと。
18. やらかし名無しさん
元の文章では講演者のことを「スピーカー」と書いてあって、一瞬あの音の出るスピーカーの話かと思った。宇宙仕様の特注品なのかな、でも音の鳴り方って宇宙でも同じでは…と真剣に悩んだ。普通に講演者だった。
19. やらかし名無しさん
何度読んでも一番効いてるのは最後の一行だと思う。ここまで全部やらかした上で、そもそも同僚はそのエプロンを使う気がなかったという。犠牲になった意味すら無い。そこが最高にいい。
20. やらかし名無しさん
うちの会社で同じことをやったら翌日に呼び出しなので、笑い話で済む職場にいるのが普通に羨ましい。エプロンを貸す貸さないでここまで盛り上がれる会社、ちょっといいなと思ってしまった。
まとめ
仲のいい同僚に送ったつもりの、カニのエプロンと力こぶの一枚。宛先が全員だったと気づいたときにはもう配信済みで、投稿者はその日から「カニの女王」になった。反応は「一生イジる」「笑い飛ばせ」「うちなら始末書」と割れたが、共通していたのは、誰も彼女を責めていないことだった。送信ボタンの前で一呼吸置く癖、そろそろ自分もつけようと思う。
元ソース: 職場のメールで「全員に返信」を押してしまった

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