面接に行ったら、面接官が開口一番「あなたほどの経験を持つ人は、ほかに面接に来ていない」と言った。職場をひととおり案内され、質問らしい質問はほとんどされず、実際に手を動かして見せる時間まで与えられた。最後に一言、「何日か考えて、やりたければ電話をください」。……これ、要するに採用ってことだよね? 投稿者はそう受け取った。そして今の仕事を辞め、同僚たちにも次の職場のことを話してしまった。
※注:これは海外の職場でのできごと。日本の「内定」にあたるものは、多くの国では〈採用条件を書いた書面〉と〈署名した雇用契約〉がセットになって初めて成立する。裏を返せば、面接で口頭でどれだけ持ち上げられても、書面が出てくるまでは何ひとつ決まっていない。この記事に何度も出てくる「書面のオファー」「契約書にサインする」は、その一線のことを指している。もうひとつ、募集で人を選ぶときに面接を二段階・三段階に分け、一次を通った人だけを次に呼ぶやり方も海外では一般的で、この話の分かれ目もそこにある。
何をやらかした?
📌 面接で高く評価され、「数日考えて、やりたければ電話をください」と言われた投稿者。これを採用の合図と受け取り、電話で「ぜひやりたい」と伝えた時点で話は決まったものと思い込んだ。だが実際には合意も書面も何もなく、先方はもう一人の候補者も検討中だった。判明した時点で投稿者はすでに退職済み。同僚たちにも「次はあそこに行く」と話したあとだった。
事の発端
面接というより、ほとんど見学だった
その日の面接は、投稿者が身構えていたものとはずいぶん違った。面接官の女性は最初に、あなたほどの経験を持った応募者はほかに面接に来ていない、だから自分としてはあなたがいい、という趣旨のことを言った。それから職場を案内して回り、設備や仕事の流れを見せた。志望動機や前職の退職理由といった、あの妙に長い質問責めはほとんどなかった。代わりに与えられたのは、実際に手を動かして「自分はこういうふうに仕事をします」と見せる時間である。面接というより、もう仲間として迎える前の顔合わせに近い空気だった——少なくとも、受けている側にはそう感じられた。
「数日考えて、やりたければ電話をください」
締めくくりの一言がこれだった。何日か考える時間をあげるので、この仕事をやりたいと思ったら電話で知らせてほしい。投稿者はこれを、ボールが自分の側に渡された合図だと受け取った。向こうはもう自分を選んでいる。あとは自分が「やります」と言うかどうかだけ。だから電話をかけて受けると伝えれば、その時点で話は成立する。そう考えたのが、この記事のすべての出発点である。投稿者自身、当時をふり返って「経験の浅い頭で」と書いている。実際、これは経験の量だけの問題ではない。よく知らない相手から思いがけず褒められたとき、人は褒め言葉のほうを事実として受け取り、決まっていない部分をそっと埋めてしまう。
やらかしの一部始終
電話をかけ、その勢いで辞表を出した
数日後、投稿者は言われたとおりに電話をかけ、この仕事をやりたいと伝えた。手応えは悪くなかった。ここで話は決まった、と本人は理解した。そして次にやったのが、今の職場に退職を申し出ることである。海外では、辞めると決めたら何週間か前に申し出て引き継ぎをして去る、という運びが一般的で、逆に言えば言い出したその時点から時計が動きはじめる。投稿者はさらに、同僚たちにも新しい職場のことを話した。次はあそこに行くんだ、と。ここまでの流れに一つとして嘘や悪意はない。ただ、いちばん最初の前提だけが間違っていた。
父の一言で、前提が崩れた
雲行きが変わったのは、話を聞いた父親が「一度きちんと確認したほうがいい」と言ったからだった。言われてみれば、こちらは受けると伝えただけで、向こうから「決まりです」と言われた覚えはない。投稿者は面接官に連絡を取り、自分がどう受け取っていたかを正直に伝えた。誤解していました、と。返ってきたのは、投稿者が想定していたのとはまるで違う話だった。合意など一度もしていない。そして先方は、もう一人の候補者も検討している最中だった。すでに退職を申し出て、同僚にも言ってしまったあとで、足元の床板がまるごと消えた瞬間である。
その後
面接官の説明は、聞いてしまえば筋の通ったものだった。この募集では、選ばれた候補者が二段階目の面接に進む。投稿者があの日に受けたのは、その二段階目にあたる内容である。というのも、通常の一次面接の日程のときに投稿者は休暇中で、わざわざ呼び戻して休みを台無しにするのは気の毒だと考えた面接官が、一次と二次をまとめて先に見た。だからあの日は職場を案内され、実際に作業を見せる時間まであった。そして——ここが一番こたえる部分だが——その事情は面接の場でもきちんと説明されていたらしい。褒め言葉と「電話をください」だけが耳に残って、あとの説明は頭を素通りしていた、ということになる。
結果として、投稿者は仕事を一つ手放した状態で、もう一人の候補者と並んで結果を待っている。本人いわく可能性は五分五分。うまくいけば何ごともなかったように新しい職場へ移れるし、駄目なら、同僚たちのところへ戻って「やっぱり行きません」と言い直さなければならない。投稿者はそれを「羞恥の儀式」と呼んでいた。恥ずかしくて頭がどうにかなりそうだ、とも書いている。元の投稿にはもっと激しい自嘲の言葉が並んでいるのだが、要するに、自分が情けなくてたまらないという話である。
念のため書いておくと、この件はまだ終わっていない。投稿の時点で結論は出ていないし、投稿者もそれ以降のことは書いていない。分かっているのは、勝率が半分残っているということと、この人はもう二度と、書面が出る前に辞表を出さないだろうということくらいだ。
海外の反応
1. やらかし名無しさん
基本中の基本として、今の職場に退職を申し出るのは、新しい職場から書面で条件が出てきたあと。これは会社勤めなら業種を問わず同じで、口約束は本当に何の意味も持たない。投稿者が悪いというより、誰かが先に教えておくべきだった話だと思う。
2. やらかし名無しさん(>>1への返信)
書面が来ただけでも足りない。署名まで済んで、開始日が契約に入って、それを確認してからようやく退職を申し出る。英語に「戻る橋を焼くのは、向こう岸に渡りきってからにしろ」という言い方があるけど、まさにこれ。
3. やらかし名無しさん(>>1への返信)
自分は身元確認の結果が出るまで動かない。新しい職場にも最初から「確認が終わってから2週間後に入れます」と伝えている。それを渋るような相手なら、そもそも行かなくていい職場だと思っているので、ここは一度も譲ったことがない。
4. やらかし名無しさん
うちの同僚が同じ目に遭った。採用と言われたけど開始日が曖昧なまま、彼は退職を申し出て4週間の引き継ぎに入った。その4週間のあいだ、新しい職場は開始日を後ろへ後ろへとずらし続け、最後に「もう人を増やせなくなった」と言ってきた。彼は慌てて退職を取り消してくれと頼んだが、うちはもう後任を採用して研修まで終えていた。自分から辞めた形なので失業手当も出ない。今も無職のままだ。
5. やらかし名無しさん(>>4への返信)
それは弁護士に相談する価値がある。国によっては「採用すると言われたのを信じて前の仕事を辞めた」という一点で、言った側に責任を負わせる考え方がある。まったく打つ手がないと思い込んで泣き寝入りするのが一番もったいない。
6. やらかし名無しさん
面接官のほうも、あの日は本気で「この人でいい」と思っていた気がする。そのあと別の候補者が現れて、社内で「ちょっと待って」となったパターンでは。だとしても投稿者に伝わっていないのが問題なんだけど、悪意で泳がされたわけではないと思いたい。
7. やらかし名無しさん
2週間前に自分もまったく同じことをやった。仕事の話をもらって「すぐに決まります」と言われたので、職場に「近いうちに辞めます」と伝えた。手続きを始めたところで先方から連絡が途絶え、この1週間、担当者とまったく連絡がつかない。まあ恥ずかしいけど、終わってしまえば橋の上を流れる水だよ。
8. やらかし名無しさん(>>7への返信)
橋の「上」を流れてたらそれ洪水では。過ぎたことを表す言い回しは「橋の下を流れる水」のほうで、上を流れているなら、それはもう過ぎたことじゃなくて現在進行形の災害だと思う。
9. やらかし名無しさん(>>8への返信)
その橋、仕事を失ったあとに本人が下で暮らすことになるやつだから、位置関係としてはたぶん合ってる。
10. やらかし名無しさん
契約書にサインするまで、その仕事は存在しない。存在しないものを前提に人生の予定を組んではいけない。厳しい言い方に聞こえるかもしれないけど、これを一度覚えると、この先の転職が全部ラクになるので今のうちに覚えておいたほうがいい。
11. やらかし名無しさん(>>10への返信)
知り合いに、友人から「うちに来られるぞ」と言われただけで舞い上がった男がいた。辞めるまでの数日、職場じゅうで上司と同僚の悪口を言いふらして、「次に行くところに比べたらこんな場所は最低だ」と触れ回っていた。初日に契約書を書くつもりで出社したら、その友人から「君の枠は別の人で埋まった」と言われた。逃げ場が完全に消えた瞬間だと思う。
12. やらかし名無しさん
仕事を辞めたことより、同僚に言ってしまったのが効いてる。黙っていれば取り消しは誰にも気づかれないけど、言ってしまうと取り消しに観客がつく。自分の経験上、次が確定するまでは職場では一言も匂わせないのが結局いちばん傷が浅い。
13. やらかし名無しさん
何ごともなかった顔で元の職場に出勤し続けるという手が残っている。海外のコメディなら普通にやる展開だし、案外みんな何も言わずに受け入れてくれるかもしれない。
14. やらかし名無しさん(>>13への返信)
「え、なんでみんな俺が辞めたと思ってるの? この建物、ガス漏れしてない? 一度ちゃんと調べたほうがいいと思うんだけど」と真顔で言い続けて、周りの記憶のほうを疑わせにいく作戦。
15. やらかし名無しさん
投稿者を責める気にはなれない。「あなたほどの経験の人はいない」「数日考えて電話をください」を並べられたら、初めての転職なら十中八九そう受け取ると思う。本当は「受ける気があるなら次の段階に進みましょう」という意味なんだけど、その差は経験しないと分からない。
16. やらかし名無しさん(>>15への返信)
(投稿者)思い返すと、確かに二段階目がどうという話も出ていた気がします。ただ自分の頭の中ではもう採用の話になっていて、そこから先は全部「入ってからの説明」として聞いていました。褒められた部分だけが妙にはっきり残っているのが、我ながら情けないです。
17. やらかし名無しさん
お父さんが「一度確認しろ」と言ってくれたのが、この話で唯一まともに機能した部分だと思う。しかも投稿者はそれを素直に実行して、自分から誤解でしたと伝えている。黙って結果を待つより何倍も勇気がいるし、正直これは褒めていい。
18. やらかし名無しさん(>>17への返信)
実利の面でも正解。こちらが退職済みだと伝わった以上、先方も「早めに結論を出してあげないと」という気持ちになる。黙っていたら、もう一人の候補者の予定に合わせて何週間も宙づりにされていた可能性が高い。
19. やらかし名無しさん
自分が最後に職場を変えたときは、最初の面接から入社まで4か月かかった。面接3回、経歴の確認、信用情報の確認まであって、全部終わってサインしたあとも開始日は2か月先だった。そこから貯めていた有給を6週間消化して、最後に退職を申し出て、退職日と新しい職場の初日が重なるように調整した。こうしておくと健康保険が一日も切れない。まともな仕事ほど手続きは遅い、と覚えておくといい。
20. やらかし名無しさん
20代でこれをやると一生忘れないので、授業料としては悪くない。自分も昔、口約束を信じて引っ越しの手付金まで払って、全部飛んだことがある。あれ以来、紙に書いてないものは存在しないと思って生きている。おかげでその後20年、同じ失敗は一度もしていない。
21. やらかし名無しさん(>>20への返信)
それだ。恥ずかしい話ほど身体に残るから、結果的にいちばん高い保険になる。投稿者はまだ半分勝ってるわけだし、あまり自分を殴らないでほしい。
22. やらかし名無しさん
現実的な助言をすると、結果を待っているあいだも次を探し続けたほうがいい。落ちたときに同僚へ言い直す恥ずかしさは1週間で消えるけど、無職の期間は経歴に残ってしまう。恥のほうは安い。今日から求人を見ておくのが、たぶん一番効く。
まとめ
面接で持ち上げられ、「数日考えて電話をください」と言われた。それを採用通知だと受け取って退職し、同僚にまで話してしまった——というのが今回の一件である。海外の反応は「書面が出るまで辞表は出すな」という実務的な忠告が中心で、そこに「自分も同じことをやった」という告白が次々ぶら下がった。投稿者を笑う声より、口約束を信じて職を失った人の実例が多かったのが印象的だった。結果はまだ五分五分。この記事を読んだ人が同じ電話をかける前に一度立ち止まれるなら、投稿者の羞恥にも少しは元が取れる。
元ソース: 採用されたと思い込んで、今の仕事を辞めてしまった


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