14か月、毎週土曜の朝7時15分。隣の家のデイブさんが、業務用の落ち葉掃除機を全開にする。こちらは生後4か月の赤ちゃんがいて、本人は病院の夜勤明け。ある朝、ついに何かが切れた投稿者は、バスローブのまま隣家の車寄せへ歩いていった。……そして、そこから先の記憶が本人にもほとんど残っていない。
※注:リーフブロワーは、落ち葉を強い風で吹き飛ばして掃除する機械。エンジン式は掃除機どころではない轟音が出るため、家と家が近い米国の郊外では騒音トラブルの定番になっている。「馴化(じゅんか)」は、同じ刺激をくり返し受けているうちに体が慣れて反応が薄くなること、という意味の心理学の用語。
何をやらかした?
📌 毎週土曜7時15分の落ち葉掃除機に14か月耐えた投稿者が、とうとうバスローブ姿で隣家に乗り込んだ。ところが頭が真っ白になり、気づけば「ジュネーブ条約」「音響戦」と口走りながら、なぜか太陽を指さして演説していたらしい。集まってきた近所の人にゆっくり拍手され、隣人には「あんた、根性あるな」と握手を求められて終わった。
事の発端
毎週土曜、7時15分
投稿者の隣に住んでいるのがデイブさん。「デイブと呼ぶことにする。本名がデイブだし、もうかばってやる義理もないので」とのことなので、ここでもデイブさんで通す。
そのデイブさんが、14か月にわたって毎週土曜の朝7時15分ちょうどに、家庭用ではない業務用の落ち葉掃除機のエンジンをかける。投稿者いわく「うちの前にジャンボ機が着陸してくる音」。しかも投稿者の家には生後4か月の赤ちゃんがいて、本人は病院の夜勤で働いている。土曜の朝7時15分は、この一家にとって一日でいちばん眠りたい時間帯だった。睡眠時間について投稿者は「だいたい11分」と書いている。
「大人になれ」と言い聞かせた14か月
それでも投稿者は、ずっと自分に言い聞かせていた。器の大きい人間でいろ。ご近所づきあいは大事だ。角を立てるようなことじゃない。
そうやって自分を説得しながら、毎週土曜の7時15分、天井を見上げてマットレスに溶けて消えたいと願っていた。14か月。回数にして60回近く。誰にも一言も言わないまま、である。
やらかしの一部始終
妻の「やめて」を振り切って
そしてその朝、投稿者の中で何かがぷつりと切れた。着ていたのはバスローブ。そのまま玄関を出た。背中に妻の「ねえ、やめて」が飛んできた。やめて、はしなかった。
45秒間、バスローブで待った
デイブさんは体格のいい大男で、しかも投稿者にまったく気づかない。防音イヤーマフをしていたからだ。音を出すために作られた機械を動かしながら、自分だけは音を遮断していたのである。
投稿者は声をかけることもできず、バスローブ姿のままそこに立って待った。まるまる45秒。その間デイブさんがやっていたのは、3枚の落ち葉を車寄せの端から反対側の端へ吹き飛ばすという作業だった。
「奥さんのクッキー、最高ですよ」
ようやく投稿者に気づいたデイブさんは、機械を止め、イヤーマフを外し、こちらを見た。そして投稿者が一言も発しないうちに、先にこう言った。
「やあ! 君が旦那さんか。奥さんが町内会に持ってきてくれるクッキー、あれ最高だよ。いい奥さんだね」
ここで投稿者の意識は一度飛んだ。本人の表現では「ちょっとブラックアウトした」。
気がついたときには、自分の口がジュネーブ条約について何かを語っていた。「音響戦」という単語も使っていた。そして落ち葉掃除機のほうへ手を差し向けていた。法廷で証拠品を提示する検察官のような手つきだったらしい。何を喋ったのかは、本人もほとんど覚えていない。
ただ一つだけ、はっきり記憶に残っている単語がある。「馴化」。投稿者は隣人の車寄せで、心理学の専門用語を使ったのだ。
その後
演説が終わるころには、近所の家から3人が出てきて外に立っていた。そのうちの一人が、ゆっくりと、間を置いて手を叩き始めた。拍手である。投稿者はこの時点で消えてしまいたかった。
ところがデイブさんの反応は、投稿者の予想と正反対だった。素直に謝ったのだ。「誰かに聞こえてるなんて、考えたこともなかった」。しかも「うちの妻にも前からずっと言われてたんだ」と白状し、そのうえで手を差し出して「あんた、根性あるな」と握手までしてきた。
家に戻ると、妻は笑いすぎて泣いていた。窓から一部始終を見ていたらしい。妻の証言によれば、投稿者は演説の途中でまっすぐ太陽を指さしたという。なぜそうしたのかは、誰にも分からない。本人にも分からない。
その後、落ち葉掃除機は一度も動いていない。4時間が経過し、赤ちゃんは眠っている。デイブさんの家からは差し入れの煮込み料理まで届いた。米国の住宅街では、ちょっとした詫びや歓迎の印にグラタン皿ごと焼いた料理を持っていく習慣がある。つまり関係はむしろ良くなっている。
それでも投稿者は書いている。「本当は喜ぶべきなんだと思う。でも、自分が『馴化』と言った場面のことが頭から離れない」。
ちなみに投稿者は本文の冒頭で「今朝の出来事」と書いていたが、コメント欄で「今日は火曜日なんだが」と大量に突っ込まれ、あとから追記している。「これ、土曜の話でした。自分が今どういう状態か、察してもらえると思います」。14か月ぶんの寝不足は、曜日の感覚まで持っていったらしい。
海外の反応
1. やらかし名無しさん
「誰かに聞こえてるなんて考えたこともなかった」って言ってるけど、本人が業務用の防音イヤーマフをつけてる時点で答えが出てるんだよな。うるさいと分かってるから自分の耳だけ守ってる。
2. やらかし名無しさん(>>1への返信)
音を消す機械じゃなくて、音を出す機械を動かしてるんだぞ。自分ひとりだけ静かな世界にいて、半径50メートルは地獄。この構図が完成されすぎてて笑う。
3. やらかし名無しさん
「やめて、はしなかった」の一行のために、この投稿は保存されるべきだと思う。文章がうますぎるだろ。何をやらかしたか以前に、書きっぷりで最後まで読まされた。
4. やらかし名無しさん(>>3への返信)
太陽を指さしたくだりも含めて再現度が高い。しかもそれを本人じゃなく、窓から見てた奥さんが証言してるのが一番おいしいところだと思う。
5. やらかし名無しさん
言いにくいけど、これ海外の掲示板でよくある「そしてみんなが拍手した」の見本みたいな話だよね。話を盛った作り話の締めくくりに使われる定番の決まり文句が、そのまま本文に入ってる。
6. やらかし名無しさん(>>5への返信)
隣の落ち葉掃除機がうるさい、という部分だけは信じることにしてる。そこから先は全部きれいすぎる。
7. やらかし名無しさん
自分が言った気の利いたセリフは全部忘れてるのに、相手が平謝りして近所の全員が拍手した部分だけ鮮明に覚えてる、っていうのがね。記憶ってそういう都合のいい飛び方はしない気がするんだ。
8. やらかし名無しさん(>>7への返信)
続きは知ってる。拍手が鳴りやんだあと大統領経験者が現れて、その場にいた全員に100ドル札を配って去っていくんだろ。
9. やらかし名無しさん
本文に「今朝の出来事で、まだ手が震えてる」と書いてあるのに、やらかしは「毎週土曜」の話。こっちの暦だと今日は火曜なんだが、どこの国に住んでるとそうなるんだ。
10. やらかし名無しさん(>>9への返信)
それ、追記で「土曜の話でした。自分が今どういう状態か察してほしい」って返してて、正直そこが記事全体でいちばん説得力あった。寝てない親は本当に曜日が消える。
11. やらかし名無しさん
バスローブ一枚で単身敵陣に乗り込んで、しかも勝って帰ってきてるんだよな。本人は恥だと思ってるけど、これは町内平和賞ものの功績だと思う。誰か推薦してやってくれ。
12. やらかし名無しさん
新生児がいた夏、うちは冷房がなくて窓を開けっぱなしにするしかなかったんだけど、その時期に限って隣が斧投げを趣味にし始めた。一日中カンカン鳴ってる。工事だと思って最初はしばらく我慢してた。夜10時半に限界が来て、寝間着のまま1.8メートルの柵をよじ登って怒鳴り込んだ。産後の母親に至近距離で叫ばれた彼らは、それ以来ぴたりとやめた。
13. やらかし名無しさん(>>12への返信)
寝不足の親を本気で怒らせたときの、あの場が静まり返る感じ。あれは理屈じゃなくて本能的な恐怖なんだと思う。
14. やらかし名無しさん
自分は深夜3時半にやられた。近所が焚き火の薪を足すためにチェーンソーを回し始めたんだ。玄関先に立って「こっちは救急隊員だ、寝かせてくれないと人が死ぬ」と数分間ひたすら叫んだ。ようやく静かになったら、暗がりの別の家から「そうだ! よく言った!」と声が上がって、そこで死にたくなった。うるさい連中に聞かれるのは平気だったけど、町内全員に聞かれるのは想定外だった。
15. やらかし名無しさん
今のアパートに越して1か月後、上の階の人が犬を飼い始めて、留守のあいだじゅう吠えるようになった。一日8時間、2秒に1回。ひどい飼い主だと決めつけて、殴り合いになる覚悟で階段を上がった。出てきたのは、収容場所が足りなくて処分される寸前だった分離不安の犬を一時的に預かっている、とても感じのいい女性だった。怒りを溜め込んでいる時間が長いほど、相手は頭の中でどんどん巨大な悪役に育っていく。
16. やらかし名無しさん(>>15への返信)
「頭の中で悪役が育つ」は本当にそう。実際に顔を合わせて喋ってみると、だいたい半分はこっちの勝手な想像だったと分かる。残りの半分は普通にひどい人なんだけど。
17. やらかし名無しさん
そもそもなんで14か月も黙ってたんだ。1回「朝7時はさすがにきつい」と言えば済んだ話だろ。今回だって、言ったら翌週から止まったわけで。
18. やらかし名無しさん(>>17への返信)
一言で済むと頭では分かってるのに言えないんだよ。で、14か月ぶんを溜め込んだ結果、バスローブで爆発してジュネーブ条約の話を始めることになる。順番が逆なだけで、みんな通る道だと思う。
19. やらかし名無しさん
夏の芝刈りは朝のうちが涼しくて楽なんだけど、隣が夜勤なのを知ってるから絶対に朝はやらない。自分も昔は夜勤だったから、寝ようとした瞬間に外で機械が回り出す地獄が分かる。気温38度の午後4時にやるほうがまだましだ。
20. やらかし名無しさん
どういう文脈で「馴化」という単語が出てきたのか、それだけはどうしても知りたい。催眠療法で記憶を掘り起こしてでも確認する価値があると思う。
21. やらかし名無しさん
たぶん再現できるぞ。太陽を指さしたのは「まだこんな時間だぞ」という意味。「馴化」は毎週土曜に繰り返される習慣のことを指したはず。ジュネーブ条約は、住宅街であの音量を出すのは戦争のルール違反だという主張。並べてみると完璧に筋が通ってる。堂々と胸を張っていい。
22. やらかし名無しさん
今度はクッキーを持って行って「先日はやりすぎた、ごめん」と言えばいい。そのうえで「おかげで久しぶりに静かな一日だった、赤ん坊もよく寝た」と伝える。それで全部丸くおさまる。デイブさん、たぶん悪い人じゃないよ。
まとめ
14か月ぶんの我慢がバスローブ姿の演説として噴き出し、ジュネーブ条約と太陽を巻き込んだ末に、なぜか近所づきあいが改善してしまったという話。コメント欄は「そしてみんなが拍手した」型の作り話では、という疑いの声と、寝不足で騒音に怒鳴り込んだ実体験の告白に真っ二つに割れた。どちらの側も一致していたのは、一言目を14か月先送りにすると、その一言はもう普通の形では出てこないということだった。
元ソース: 隣人の落ち葉掃除機に文句を言いに行ったら、うっかり近所の伝説になってしまった(自慢じゃない、恥ずかしくて死にそうだ)

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